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『近所に引っ越してきた櫻子はツンデレだけど嫌いじゃない!件』 その2話 彩夏の親友 嶽國美沙

学校での友人は沢山いたけど一年生からずっと同じクラスの美沙が一番の友達だ。

美彩は、おとなしくておっとりしていておさげの似合うアニメが大好きな女の子で

私とは正反対の性格だ。勉強も超できるし私の事を誰よりも理解してくれていて、ちょっとしたことですぐ機嫌が悪くなる私を、怒りだす前に落ち着かせてくれたり、宥めてくれたりしてくれる。


そんな美沙と休み時間におしゃべりしていると、後方からクスクスと笑い声が……その笑い声に美沙と二人で振り返る。すると櫻子を中心に取り巻きの女の子達が私達を見てニヤニヤしている。

(言い忘れていたけど櫻子は、同じクラスだ)そして一人がヒソヒソと耳打ちをするとまたみんなでニヤニヤ。そこはもとからそういう噂話が好きな子達が集まっているグループで、転向してきた櫻子をすぐに自分達のグループへ取り込んでしまった(櫻子ってそういう子だったのかな)


その櫻子、この前私が目を離した隙に美沙を泣かせていた。後ろから美沙に向かって『ちょっと!』だなんて何様のつもりだ、私の友達になにすんのよって! その時は本当になんかむかついた。



【私と美沙と剣道】


私はお母さんの勧めで小学校三年生から剣道を続けている。私自身あまり強くはないけど同学年の団体戦メンバー五人の中には何とか選ばれている。

そして三年生の終わりに何故か運動が苦手な美沙が入部してきた。その時、なんで入部したのか聞くと、


「私、走るの遅いし運動が全然だめ……だから何でもできるさやちゃんがうらやましい。私もさやちゃんみたいに運動がいっぱいできるようになりたい! さやちゃんみたいに強くなりたい!」

  

この時は今より幼かったので勉強もできて運動もできる美沙が、私のようになりたいって言ったことが理解できなかった。私は勉強も運動も出来る美沙の方が羨ましいと思っていた。

とにかく友達が入部してきたので気持ちが上がったのは確かだった。だけどその頃、皆の剣道のレベルは正直高かった。美沙は体力がなく運動も苦手だったから稽古についていくのは、相当きついだろうなと思っていた。今でも体格が細めの美沙に防具をつけての稽古は、やはり辛いようで足がもつれて膝をつくこともある。でも美沙は、


「大丈夫!」


そう言って何とか皆についていこうと必死に頑張るけれど、なかなか上達せず下級生にも追い越される程だった。


そんな美沙に少し変化が見られ始めたのは、六年生になってから暫くたってからの事。ある稽古の日、五、六年生での立ち合い稽古が始まった。立ち合い稽古とは、試合と同じ方法で、時間内に二本先に技が決まったら勝ちになる試合を想定しての稽古だ。私はここまで八戦四勝と五分。私と美沙との立会い稽古の番が来た。美彩には欠点があり、剣先を下に向ける癖がある。何度も教えてあげているのになかなか治らない。


「始めっ!」


先生の声が響く。中央で竹刀を合わせて気合を入れる。


「やぁぁぁ!」


美沙も私に合わせるように声を出す。

私が攻め込むと美沙は後ろに下がる。(美沙、後ろに下がっちゃだめだ!)と思っていると

美沙の剣先が下がった(いまだ!)


「小手ぇぇぇ!」


と踏み込むとさっとかわされ


「面ぇぇんっ!」


と逆に面を返された。(やられた⁈)と思ったけど審判の旗が三人中一人しか上がらなかったので『一本』にはならなかった。打たれた時は、びっくりしたけど、油断していたから私は絶対まぐれだと思った。実際そのあとは、一本も決められることなく私が二本を先取し勝った。


その日の稽古が終わると先生から近々、今度の新人戦に出場する選抜メンバーを選ぶ試合を行うとの話があった。


「新体制での初試合、まだ誰を選ぶか決まってない。いつも選ばれている者を今回も選ぶとは限らんからな。皆気を引き締めて稽古に励むように!」


と先生から激が飛んだ。そうだ……六年生になって最初の公式試合、選ばれないわけには

いかない。私はこぶしをぎゅっと握りしめた。


そして稽古が終わり着替えていると五年生の子達が話しているのが聞こえてきた、美沙の事だった。

話の内容は、今日の立ち合い稽古で美沙自身は一勝もできなかったけど、上位段の六年生五人から一本ずつ取ったという話だった。(私もなかなか勝てない子達から美沙が一本を取ったの?)


そんな事を考えていると、美沙が興奮した様子で話しかけてきた。


「さやちゃん! 私さやちゃんと一緒に試合に出たい! だから選抜メンバーに絶対選ばれるように頑張るからねっ!」


私の手を握り真剣な眼差しで言ってきた。


「う、うん頑張ろ……」


と返したけど私の顔は、さっきの話が気になっていて私の顔は、かなり引きつっていたと思う。その時握ってきた美沙の手の平、なんかごつごつしていた。どうしたのこれ?ってその時は思ったけど言い出せず、すぐに忘れてしまっていた。(美沙が強くなった? 良い事でしょ同じチームだし、友達だし……)でもそれを認めたくない私がいる、なんでだろう。


     何だろ? このモヤモヤイライラした感じと思いつつ……つづく


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