表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/16

『彩夏と友達になりたいけど私の癖がじゃまをする!件』 その14話 私の思い届いて!

彩夏の父が自分のお父さんと同じくバイクが好きという事を知った櫻子。松金一家をサーキット走行会へ誘うため奮闘する!

学校から帰宅しランドセルをその辺に放り投げる。そのままキッチンへ向かい冷蔵庫から牛乳パックを取り出し一旦テーブルの上に置く。そして食器棚から自分専用のコップを出し、椅子に座る。それから牛乳パックを持ってコップに注ぎ込む。これが学校から帰ってからの私のルーティンだ。コップいっぱいの牛乳を一気に飲み干し一息つくと、ふと机の片隅にあるバイクの写真が大きく写った派手なチラシがあるのに気が付いた。私はその傍らにあったおせんべいを食べながらそのチラシを手に取りじっくり読んで見た。


『バイクショップ Rアール主催 KSG国際サーキット走行会開催!どなたでも参加OK!』


と書いてあった。これはお父さんがお世話になっているバイク屋さんが主催するサーキットという所で行われる走行会開催のお知らせのチラシだった。


「サーキット?フムフム……へぇ~こんなところなんだぁ。走行会?フンフン……ほぉ~バイクで……」


チラシに書いてある『サーキット』と『走行会』の事をしっかり読んでいると突然、私の頭でいい考えが閃いた!


「これだぁ!!この走行会に彩夏と行く事が出来れば、絶対、絶対!彩夏と仲良くなる事が出来る!」


私は一人そのチラシを握りしめガッツポーズをした。


その日の夕飯の時、チラシを何気にテーブルの端に置き、さりげなくお父さんに話しかけた。


「あれぇ?お父さんこれなぁに?」


(さりげなくチラシを取って見る……)


「わぁこれなぁに?サーキットだってぇ!すごいスピードが出せると書いてあるぅ!ねぇねぇお父さん、買ったばかりのカッコよくて新しいバイクで走ってみればぁ?!」


(台詞完璧!)


「ああ、これね。昨日かな、バイク屋さんから連絡があってね。参加するって言ったよ、再来週の日曜日だね」


(なな、なんですとぉ!?よしっ!)


「これぇ誰でも参加できるのかなぁ?どれどれ……あっ!『どなたでも参加OK』って書いてある!だったらさぁ彩夏のお父さんもバイク買ったんだし誘ってみたらぁ?」


(お願いお父さん、誘うって言って!)


「そうだな!さやちゃんのお父さんもバイクが好きそうだし、ちょっと話してみるかなぁ」


(よっしゃぁぁぁ!)


「お母さん僕、明日は帰りが少し遅くなるから、さやちゃんのお母さんにちよっと聞いてもらっていいかな」


(よしっ!よしっ!次はお母さんに……)


「ねぇお母さん、私もぉサーキットってどんな所か行ってみたいなぁ。ほらほら、バイクがすごいスピードで走るんだってよ!私達もお父さんがサーキット走るのを見に行こうよぉ」


(と言ってインドア派のお母さんを連れ出す!)


「そうねぇ、行ってみようかなぁ」


(さぁ最終試練だ!)


「じゃぁさぁ……彩夏のお父さんを誘うんだったらさぁ彩夏とお母さんと弟君も一緒に誘ってみたらどうかなぁ」


(ここが大本命!)


「うぅぅん……」


(もぉっ!なんでここで悩むの!!早く誘うって言って!)


「ほらほら、貸し切りバスも出るって書いてあるし、みんなで行けば楽しいよ!」


(早くぅ!)


「うんわかった!じゃぁ明日、彩夏ママに一緒に行けるか聞いてみるね!」


(よっしゃぁ!!!ここまでの計画は超バッチリ!後は貸し切りバスで彩夏と隣同士に座って仲良くなる、完璧だ!)


まだ彩夏が行くか行かないか解らないのに私の気持ちはかなり高ぶっていた。そして翌日、松金一家が全員で参加するとお母さんからの返事があったと聞いた。


(やったぁぁぁ!私の作戦大成功!絶対!今度こそ絶対彩夏と仲良くなるんだ!)


と拳を握りしめた。


出発日までの間、一人部屋で彩夏と隣同士で座った時の練習をする私。


「さ、さ、彩夏、グ、グゥミた、たぁ食べるぅう。さぁやぁかぁぐぅうみぃぃ食べるぅぅ」

駄目だ。隣に座ると考えただけで、緊張して口が動かない。出発の日にさやかと隣同士で座れることが楽しみで仕方がない。だけどうまく喋れるかとか、変な態度をとってしまわないかとか、それで益々彩夏に嫌われたらどうしようと考えてしまうと逆に怖くてたまらない。そんな悪い事ばかり考えてしまうから寝る時間になってもなかなか眠れなかった。


そしてそんな事を考えながら寝不足のまま出発当日の朝になった……するとお母さんから告げられた。

 

『彩夏、自分の家の車で行く……』


がーん!彩夏がバスに酔っしまうから自分の家の車で行くと当日お母さんから聞かされた。お母さん、随分前から彩夏母から聞いていたけど『ごめぇん忘れてたぁ』だって!くそぉぉここ数日ずっと練習してたのにぃぃ(でも結局、口が動かず殆ど練習にならなかったけど)


(いや!まだまだチャンスはある!サーキットでつかまえて絶対離れない作戦だ!)


とバスの中でサーキットでの計画を独り言のようにブツブツと呟く私。そして山道を上り下り。さらに上り、今度は、下って上って下ったりすること三時間半ぐらいで目的地の『KSG国際サーキット』に到着した。



眠い眠すぎる……でもバスから降りたらすぐに彩夏を捕まえる!と思いつつ続く!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ