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『彩夏と友達になりたいけど私の癖がじゃまをする!件』 その13話 彩夏と仲良くなってたら……

櫻子父のバイクが家に届いた


ある週末の午後、お父さんが日頃お世話になっているバイク屋さんの大きなトラックが大きなバイクを後ろに積んで来た。お父さんがまた、新しいバイクを買ったのだ。これでバイクは四台目。こんなに買ってどうするのかな、お母さんは何も言わないし。でも今度のバイクは、赤と白のラインがあって凄く大きくてかっこいいバイクだ。そのバイクの名前を見ると……


「しーびーあーる、ひゃく?せんか!あーる、あーる!あーるがいっぱいだ(笑)」


バイクをトラックから降ろし、お店の人にその買ったバイクの説明をお父さんと聞いていると、そこへ彩夏父がちっちゃな黒色のバイクで帰ってきた(パンパンうるさいなぁ)と思っていると彩夏父は、バイクを止めるや否や近づきながら満面の笑顔で話しかけてきた。


「CBR!!買ったんですか!?かっこいいなぁ!」


彩夏父のこのきらきら光る子どもの様な目つき!どうやら彩夏父もバイクが好きらしい。すごい勢いで食い入るようにバイクを見回っている。私は、バイクにまったく興味がないので、その後すぐに家の中へ入った。それからも暫く、二人で楽しく話し込んでいる声が聞こえていた。


そして夕方近くになり、夕飯の支度を手伝っていると、お父さん達の声の中に混じって彩夏の声が聞こえた。私はその声にすぐさま反応して、急いで窓際に走った。そしてそっとリビングのカーテンをめくり窓からのぞくと、彩夏父が彩夏にお父さんのバイクの事を一生懸説明している所だった。しかし彩夏は、私と一緒でバイクにまったく興味がないみたいで、話半分という顔で聞いているみたいでクスクス笑った。私は急いで部屋着から外服に着替え、身支度も整えてさりげなく玄関から出た。すると二人とも既に帰った後だった(チッ)


お父さんがバイクを買ったその日から、彩夏父がお父さんのガレージに頻繁に遊びに来るようになった。私も時々ガレージに行って二人の会話に入らせてもらった。彩夏父は何故かバイクの事にとても詳しく、お父さんにバイクの乗り方や整備の仕方?等々、色々なアドバイスをしてくれていた。しかも話がとても面白くて私をたくさん笑わせてくれる。


本当に面白い、優しくて素敵なお父さんだ!(彩夏も来ないかなぁ)と期待して待っていたけど、毎日の部活が忙しくいつも帰りが遅いらしい。


そして、その日から暫く経ったある日の事、学校から家に帰り着くと彩夏の家の前にバイクを乗せた大きなトラックが止まっていた。それを見た私は(彩夏父もバイクを買ったんだ!)自分から話しかけに言った。


「こんにちは!お父さんもバイク買ったんですか!?」


なんでも私のお父さんのバイクを見て自分もまた欲しくなったそうで、お母さんを根気よく説得してようやくOKが出たそうだ。そんな事を話している私に、このバイクの事を話してくれた。


「このバイクはねぇ、櫻子ちゃんのお父さんのと違ってすごく昔に出たバイクなんだ。発売されてからずっと欲しかったけどその頃、とても自分で買える金額じゃなかったしヤマハに乗ったら怒られそうだったしね!そしていつかはと思い、内緒でコツコツお金貯めて、お母さんから許可をもらってやっと買えたんだよ!そしてこのおじいさんがこのバイクを探してくれたんだ」


(おじいさんじゃないだろ!)と突っ込まれていたけどそう言いながらバイク屋のおじさんを見て笑っていた。(熊みたいにでかい人だなぁ)


彩夏父は、買ったばかりのバイクを見ながらとてもやさしい目をして話してくれた。お父さん本当にこのバイクが好きなんだなぁ。でもなんでヤマハに乗ったら怒られるのだろうとちょっと不思議に思った。

そして彩夏父のバイクの名前が横に大きく書いてある。


「あーる、ぜっと、ぶい、ごひゃく?あーる、やっぱりバイクはあーるが好きなんだ!」

とまた笑ってしまった。


 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  


 

彩夏を元気づけるぞ!


風の噂で彩夏と美沙が喧嘩をしていると聞いた。どうりで最近、あんなにいつも一緒に居た二人が別々に席に座っているし、二人とも全然元気がないなとも思っていた。


私にもう少し勇気があったら……もっと彩夏と仲良くなれていたら……。きっと二人の間に入って仲直りさせる事が出来るのに……とか考えていると何故か目に涙が溢れてきた。今は遠くから彩夏を見るだけ……それしかできない私。彩夏……すごく寂しそうな横顔。


(彩夏……。そんな顔しないで……私も悲しくなる)


と席を立つと我慢できず何故か無意識に吸い寄せられるようにフラフラっと彩夏の傍へ。頬杖をつく彩夏が私に気付き私を見上げる。勇気を振り絞って声を掛ける(もちろん、目は合わせず)


「彩夏…………元気出して……」


そう言うと、そそくさとその場を立ち去った(きゃぁぁ言っちゃった!私もやればできるじゃん!)




やれば出来る!そう私もやれば出来るのよぅ!!と思いつつ続く!


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