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伝説の◯オチ

いよいよ、入学式の時がやってきた。輝はまだ布団の中で深い眠りについている。

突然、部屋の中に白石の声が響く。


白石: 『おはようございます、輝さま』


輝:『………………』


輝は眠りの中で微動だにせず、反応がない。

時間が静かに過ぎ、朝の光が窓から差し込む。


白石: 『お時間ですよ』


輝:『…………………』


再び白石が声をかけるが、輝はまだ寝息を立てている。

周りの自然の音や街の喧騒が徐々に賑やかになる中、輝だけがまだ眠りに浸っている。

やがて、輝が布団から顔を出し、時計を見る。


輝: 『……………はっ!!!』


時間に気づいた輝は、急いで身を起こし、入学式のための準備を始めた。


白石:『輝さま、着替えのお手伝いをさせていただきます』


輝: 『私の成長の邪魔をするな。こんな事くらい自分でできる。それより、お父さまとお母さまは?』


白石:『貴文さま(父上)は夕方まで大阪でお仕事中でございます。また、友花さま(母上)もお仕事の関係で本日の入学式にはお越しになれない模様でございます』


輝: 『そうか……』


白石:『輝さま、私が親の代わりに、お供致します』


輝:『入学式くらい一人で行ける。親以外と行くくらいなら行かない方がマシだ』


白石: 『輝さま、おっしゃることは理解いたしますが、入学式は貴重な機会です。親御さまがお忙しい中であっても、私がお供させていただくことは、輝さまのためにも良いことだと考えております。お父さまやお母さまの代わりに、私が輝さまの支えとなります。どうか、お付き合いくださいませ』


輝: 『貴様の手助けなどいらん。朝食もいらん』


白石: 『しかし輝さま、朝食は健康のために必要です。栄養を摂らなければ、一日を元気に過ごすことができません。私が用意した朝食は、輝さまの体に必要な栄養素がバランスよく含まれています。どうか、少しだけでも召し上がっていただけませんか?』


輝: 『失せろ』


白石: 『朝食はこちらで召し上がってくださいませ』


輝: 『いらん』


白石は何でも一人でできると言う輝を信じていたが、過保護になりすぎた点に気づき、そうした態度を改める決意をした。

しかし、朝食や入学式などの大切な場面では、輝を一人にする事などできなかった。


だが、輝を甘く見てはいけない。

輝は白石の油断を見逃さず、わずか5秒でトイレの窓から姿を消してしまった。


そして輝は地図を手に取り、学校へ向かう道を確認しながら進んだ。

新しい道を歩く輝は、入学式に向かう途中で思い悩んでいた。

周りの景色は晴れ渡っていたが、心には暗い雲が立ち込めている。

入学式への期待と不安が入り交じる気持ちを抱きながら、足早に歩いた。

心の奥底では親の不在が心に寂しさをもたらし、自己中心的な態度が輝を閉じ込める壁となっていた。


それは歩くたびに、輝の心は葛藤に満ち、新しいステージへの不安が高まっていった。

しかし、輝は強い意志を持ち、自分の選択を信じて進んでいく事を決意した。


道端には春の花々が咲き誇り、風が爽やかに吹き抜ける中、輝は前を向き、一歩ずつ進んでいった。

輝の心の中で新たな出会いや挑戦への期待が少しずつ芽生えていた。

輝はどんな時も自分の運命を受け入れ、前進する勇気を持っている。


やがて、入学式の会場が見えてきた。

輝は深呼吸をし、不安を抑え、胸を張ってその場に足を踏み入れた。

新たな一歩を踏み出すその瞬間に、輝の心には希望と勇気が溢れていた。


輝は入学式の興奮と緊張で朝食の事を完全に忘れてしまった。

新たな環境への適応と自分の置かれた状況への集中が輝の頭の中を占めていた。

どういうわけか食欲を感じる事なく、朝食を摂る事すら思い浮かばなかった。

輝は今後の学校生活や、入学式での自分の振る舞いについて考える事で一杯であり、朝食の存在が完全に見過ごされてしまったのだ。

この日の定食屋は朝から特製お祝いプリンが別料金ぼったくりの1000円でついてくる入学祝いキャンペーンがやっていた。

その名も、ぼったくり1000円プリン。


輝は入学式の心の準備や新しい仲間との出会いに心を奪われ、ぼったくり1000円プリンの存在を忘れ去ってしまった。

しかし、輝が飢えを感じる事に気付くと、ほろ苦い反省の念が輝を襲った。


輝:『はっ、しまったぁーっ!!!!定食屋行きそびれたぁぁぁぁーーっ!!!!生涯に一度しかぼったくり1000円プリン食べれないというのにーっ!!!!わぎゃぁぁぁぁーーーーーっ!!!!!わぎゃわぎゃわぎゃわぎゃあぁぁぁぁぁあぁぁあぁぁああぁっ!!!!!』


鳩も大きくビックリ!輝の発狂ボイスが道路中に響き渡っている。

周囲の人々は驚き、恐れてその場から逃げ出す鳩もいた。


輝の悲鳴は深い悲しみと失望の表れであり、その声は不協和音のように響いた。

会場前は輝の叫び声に包まれ、静まり返った。

輝の激情は、輝も驚くほどの威力であり、その場にいる誰もが輝の姿に驚愕した。


と、いうのは全て輝が見ていた夢なのであった。

エイプリルフール!!


【次回】

伝説の入学式

今度こそだッ!

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