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徳密が天志の手から放たれる未知の力に圧倒されている間、義徳は静かにその様子を見守っていた。

天志の手から伝わるエネルギーは、まるで仏の加護がそのまま形となったかのようで、徳密は心の底から震えるような感覚に包まれていた。

天志の目が徳密を見つめ返したとき、その瞳の奥に広がる深い宇宙のようなものが視界に浮かび、徳密はこの一瞬で天志の力を確信する。


そして、ふと意識を取り戻した徳密は、深くお辞儀をして天志の手を離した。

その瞬間、義徳は口を開いた。


義徳:『徳密さん、天台宗のクイズをお出ししようかと…』


義徳の声は静かでありながら、その言葉にはどこか挑戦的な響きが含まれていた。

徳密は一瞬、驚きと不安を感じたが、すぐに心を落ち着かせ、集中する。


徳密:『どうぞ』


義徳:『ありがとうございます。では、問題です。法華経の一乗教と三乗教の違いを説明してください』


徳密:『一乗教は、法華経が全ての教えを包摂し、最終的にすべての仏教の教えが一つの“一乗”に収束するという考え方でございます。三乗教は、仏教の教えが異なる修行者の段階に応じた三つの乗り物(教え)に分かれているという理解でございます』


天志:『………………………』


義徳:『…………………。では、最後の問題です』


天志:『もう帰ろうに』


義徳:『すぐ終わります。………ゴホン。仏教の真理を一言で表現せよ。それも、言葉でなく示してみなさい』


この問いは、言葉だけでなく、その本質を見極めるための問いであることを徳密は理解した。

しばしの沈黙が流れた後、徳密は静かに一歩前に進み、手を合わせて深く頭を下げた。


義徳:『……………………………』


徳密は心の中で仏に帰依し、自らの内なる静寂と一体となった瞬間、その答えが現れた。

何も言わず、ただ深い礼をすることで仏教の真理を示したのだ。

言葉に頼らず、行動そのもので真理を示すこと。

それが、徳密が選んだ答えだった。


義徳はその様子をじっと見つめた後、わずかに微笑んだ。


義徳:『徳密さんのご回答は、まさに仏教の真理を表していらっしゃいます。ですが……』


その瞬間、義徳の表情が変わり、真剣な眼差しで徳密を見つめた。


義徳:『誰かに憧れて同じお寺に入るのではなく、自分に本当に合う宗派を見つけなさい。それがあなたの道でございます』


義徳の言葉は、まるで鋭い刃のように徳密の心に深く刻まれた。

憧れや羨望だけで道を選ぶのではなく、自らの魂が真に求める道を見つけることの重要性を説いたその言葉は、徳密にとって大きな氣づきであった。


義徳はそれだけを言い残し、天志と共に深くお辞儀をしてから静かに立ち去った。

二人の背中がお寺の門を越えて見えなくなる直前、徳密はふと空を見上げた。


すると、青空の中に巨大な龍が悠々と舞い上がっていくのが見えた。

龍の姿はまるで天空と地を結ぶ橋のようで、その存在感は圧倒的だった。

徳密はその光景を目に焼き付けながら、自分がこれから進むべき道を再び深く考え始めた。


龍が見えなくなるまで見つめ続けた徳密は、義徳の言葉が心に重く響くのを感じた。

それは徳密にとっての新たな試練であり、成長への道筋を示す重要な指針となった。

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