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7/15

7:雨降って出汁香る

初投稿です



「――や、やりすぎたぁぁぁ……!」


 違法組織『黒龍殿』を相手に暴れまわった次の日の朝、僕はベッドの中でガタガタ震えていた。

 毛布をかぶって虫になる。本当にやっちゃったかもだ。


「やばいよやばいよ……キレてたとはいえ、真正面から女王様を罵ったりみんなボコボコにしちゃったよ……! しかも、そんなことをした後に『いざというとき助けになってほしい』ってなんだよ……!」


 その場では約束してくれてたが、内心根に持ってる可能性は高い。

 寝込みを襲って僕を消せば、広めないと約束した敗北の事実も闇に葬れるわけだしね。一石二鳥だ。ひええ。


「うーん……やっぱり人間、キレると冷静じゃなくなっちゃうね。これからはクールな男でいよう……!」


 そう反省した時だ。

 一階から『おーい!』と野太い声が響いた。


『聞きやがれ客どもォ! 食材が腐ってたからちょっと仕入れてくるわ! つーわけで今日の朝飯は遅れるからよォ!』


 この宿屋の店主さんの声だ。

 腕っぷしの立つ人物で、宿に入り込んできた強盗の股間をちぎってコレクションするのが趣味なんだとか。

 うーん。もしかしたらあの股間コレ店主さんが『黒龍殿』と取引してご飯に毒を盛る可能性があるかも……!?

 よし、それならば。


「店主さん! 泊めてもらってるお礼に、みなさんの朝ごはんは僕が作りますよ! 食材はこちらで用意しますので!」


 扉を開けて店主さんに話しかける。

 怪しまれないように笑顔で、だ。すると、


「えェっ、マジかいルシアくん!? いや〜キミは他の客たちと違って礼儀正しいし部屋も汚さないし良い匂いするし、本当にいい客だね〜!」


 それじゃあオジサン任せちゃおうかな!? とグヒュグヒュ笑う店主さん。

 他のお部屋の人たちも、『噂に聞くルシアのメシが食えるだと!?』と嬉しそうな反応を見せてくれた。


「あはは、おまかせを〜!」


 よし、自然な形で朝ごはんを作れるようになったぞ。

 しばらくは『黒龍殿』からの報復に備えることにしよう。


「そういえばルシアくーん! 昨日、『黒龍殿』の爆乳銀髪女王様に拉致られてめちゃくちゃエッチなことされたってマジ!?」


「ってされてませんよッ!?」


 どこからそんな噂流れたのーッ!?



 ◆ ◇ ◆



「――よーし、今日も頑張るぞー!」


 宿のみんなに朝ごはんを振る舞った後のこと。

 僕は街の入口あたりにやってくると、いつもどおりに屋台を構えた。

 すっかりここが定位置になったね。


「おッ、ルシアさんがやってきたぞ!」

「あれが噂の美味いメシを作るヤツか……」

「聞いたとおりここでやってんだな」


 街の怖い人たちが集まってきた。

 常連の怖い人たちはもちろん、新しく見る怖い人もいっぱいだ。

 うん、みんな怖い人だね。地獄かな?


「準備するから、みんなちょっと待っててねー!」


 屋台の影にしゃがみ込む。

 ……実は昨日、大暴れしたおかげでギフトのレベルが3つも上がったんだよね。

 店を開く前に能力を強化しておこうと思う。


「うーん。食材の召喚能力を3レベル分あげようかな? いつまでも具ナシじゃ寂しいからね」


 戦闘力だけを上げて、食材は市場から買ってくる選択肢もある。

 ……だけど今の屋台スタイルだと、食材を野ざらしにすることになっちゃうんだよね。

 夕方ごろには鮮度が落ちてるだろうし、万が一傷んだ商品を掴まされて食中毒が起きたら大変だ。この街の住民のことだから間違いなくブッ殺しに来るだろう。

 異世界の『冷蔵庫』みたいなのがない限り、今は召喚能力に頼ろうと思う。


「ステータス・オープン。よし、食材召喚能力をタップして、呼び出せる種類を増やすぞ〜……!」


 どれがいいかな〜と項目を見ていく。

 すると、気になる食材を2つ見つけた。


 

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 ・『生麺』:インタントシリーズ『冷凍うどん』『蒸し麺』を開放していることで追加可能。

  異世界の人気料理『ラーメン』に使う。


 ・『中華出汁』:『出汁類』を開放していることで追加可能

  異世界の人気料理『ラーメン』に使う。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 

「ラーメンか〜!」


 この2つを選べば作れるようになるらしい。

 これはいいね。うどん、焼きそばに加えてラーメンもメニューに追加すれば、麺類のトップスリーが勢揃いだ!


「おっと、残り一回分は具材を選ばなきゃね。このままじゃまた具ナシメニューになっちゃうし」


 う〜んと悩みながら項目を見ていく。

 うどん、焼きそば、ラーメン。それら3つに共通して入れれる具材といえば…………あっ!


 

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 ・『刻みネギ』:刻んだネギ。入れれば入れるほど美味しい。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 

「これだぁ!」


 インストールされた異世界料理知識が教えてくれる。

 そのシャリシャリした食感とほんのり感じる苦さ。それらが麺類の食べ心地と甘みを引き立ててくれるんだ。


「これを選んで……よっし、準備完了! みんなーっ、『異世界メシ屋』の開店だよー!」


「「「やったー!」」」


 笑顔で押しかけてくるチンピラさんたち(こわい)。

 彼らにさっそく新メニューのラーメンを紹介する。

 寸胴に中華出汁を呼び出して火をつければ、たちまち周囲はラーメンスープの香ばしい匂いでいっぱいになった……!


「ふあぁッ!? なんて美味そうな香りなんだ!」

「た、堪らねえ! さっそくそのラーメンってやつをもらうぜ!」

「オレもオレも! 鼻からヤクを嗅ぐより幸せな匂いだァ!」


 一部残念なコメントを受けつつも、ラーメンスープの匂いは大絶賛だった。

 これなら爆売れ間違いなしだね!

 そう期待しながら、麺の方を茹でようとすると――、


「こッ、この匂いは、まさか!?」


 ……聞き覚えのある女性の声が響いた。

 え、え、この綺麗な声は、もしかしなくても……!


「なっ――マオ・シンラン様!?」


 その艶やかな容姿に特徴的な二本角を忘れるわけがない。

 大量の部下たちを背景に、『黒龍殿』の女王・マオ様がなぜか店の前に立っていたのだった……!


 


『面白い』『更新早くしろ』『止まるんじゃねぇぞ』『死んでもエタるな』『こんな展開が見たい!!!』『これなんやねん!』『こんなキャラ出せ!』『更新止めるな!』『今度こそ暴力はするなよ?』

と思って頂けた方は、感想欄に希望やら疑問やらを投げつけたり最後に『ブックマーク登録!!!!!!』をして、このページの下にある評価欄から『評価ポイント!!!!!!!!』を入れて頂けると、「出版社からの待遇」が上がります! 特に、まだ評価ポイントを入れていない方は、よろしくお願い致します!!!



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― 新着の感想 ―
[一言] > めちゃくちゃエッチなことされたってマジ!? HはHでもHELLの方だがなああああ!!!
[良い点] ま、マオさま何で~?! [一言] まんじ先生のお話は、中毒性があるっす~♪
[一言] なるほど、マオさんの滅ぼされてしまった国は、 ラーメン系の中華系だったのか……
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