2:料理人としての始まり
初投稿です!
――追放を受けてから一週間。
縛られながら馬車でガタガタ運ばれた僕は、ついに悪の都『ベリアル』の前まで来てしまった……。
「ここがベリアル……外観からして正気じゃないなぁ……」
視線の先には、無数の家が積み重なってできた人工の山脈がそびえていた。
どう見ても違法建築です、本当にありがとうございました。
ガラクタで出来た家の上に、さらに家をテキトーに作っていったらこうなりましたって感じだ。まるでアリ塚みたいな街だな。
「ルシア様、自分たちはここで」
兵士たちに馬車から降ろされ、身体を縛っていた縄を切られる。
あぁ兵士くんたち、お疲れ様。ここまで護送ありがとうね。
「すみませんねぇ。アナタ様を放り出す真似なんてしたくなかったのですが、旦那様の命令なんで……」
兵士の一人がすごく申し訳なさそうに謝ってくれた。他の者たちも気まずげな表情だ。
……僕は威張るのが苦手だったからなぁ。使用人たちとはわりと仲が良かったんだよね。
まぁ、父上や兄貴たちはそんな僕を『貴族としての自覚がない』って罵ったけど。
「ありがとうね、みんな。ちょっとだけ救われた気分だよ」
「ルシア様……」
うん、申し訳なく思ってくれるだけでマジでありがたい。
親父なんてあっさりポイしてくれてたからなぁ、チクショウ……!
「……ではルシア様、どうかお達者で! アナタ様が生き延びることを祈っております!」
「うん、みんなも道中気を付けて!」
兵士のみんなと手を振って別れる。
さぁ、ここからが地獄の始まりだ。馬車の姿が見えなくなったところで、僕は大きく溜息を吐いた。
「ベリアルに入らず、どこかに逃げる……っていうのは無理だよなぁ」
古くより、この世界には凶悪な生物『魔物』が蔓延っている。
ギフトの力を以ってしても強力な敵たちであり、野道を一人で歩こうものならあっという間に餌となるだろう。
「特に僕には戦闘力がないからなぁ……」
秒殺されること間違いなしだ。料理を作る前に自分が料理になるとか、笑えもしない。
だからどんなに怖くても、このベリアルに身を寄せる必要があった。
「仕方ない、行きますかぁ……!」
これからどうなるんだろうと思いつつ、僕は街へと入っていった。
◆ ◇ ◆
――はい、街に入って3秒後。
「なんだァこのガキィイイイイ!? ベリアルに何の用じゃワレぇえええ!?」
「あわわわわわわわわ……!」
僕は秒速で囲まれました……!
入って1秒で怖いお兄さんに掴まれ、2秒目で壁際に叩きつけられ、3秒目で怖いお兄さんが大量に寄ってきた感じです。泣きそう。
「ギフト発動『遠隔会話』! ――おい舎弟どもッ、十代前半くらいの美少女ちゃんを捕まえたぞ! いやヤクによる幻覚じゃなくてッ!」
いや十代半ばの坊ちゃんですぅ!!!
「オメェの臓器を売った金で家族と旅行に行くぜオラぁ!」
僕で家族団らんしないでぇ!!!
「えッ、もしかしてコレで坊ちゃんなの!? うぉおおおおッ、なんか脳内に扉が現れたぞぉおおおお!」
永遠に閉じとけそんな扉ッッッ!!!
「「「とにかく売り物にしてやるぜヒャッハーっ!」」」
欲望のままに手を伸ばしてくるチンピラども。
彼らに掴まれる刹那、僕はとにかく何とかしなきゃ殺されると思った……!
殴り飛ばすのはまず無理だ。相手は大量にいるし速攻で負ける。
会話で解決は、絶対に無理だ! だって相手の何人かは明らかに目が正気じゃないし!
最後にギフト『異世界料理人』は、役に立つわけがない! だって料理系のギフトだし。出来ることと言えば、屋台やらを出して料理の準備を整えることくらいで――って、あ、そうだ!?
「っ、ギフト発動! 『異世界料理人』!」
もうイチかバチかだ。僕は祈るような思いで、初めてのギフト発動を行った。
「現れろ――異世界屋台ッ!」
そして、次の瞬間。僕に迫っていた者たちの頭上に、見たこともない作りの屋台が現れた――!
チンピラどもは一瞬にしてソレに押しつぶされていく。
「「「うぎゃあああああー----!?」」」
絶叫を上げて気絶する彼ら。
……もしも街で見かけるただの木の台みたいな屋台だったら、そんなに重くないせいでこうはならなかっただろう。
だけど僕の呼び出したモノは違った。黒光りする鉄の板や、銀色に光る謎の豪華なパーツまでついていた。
「これは……っ、『ガス式鉄板』に『ステンレス製の流し台』……?」
知らない情報が脳に流れ込んでくる。
なるほど、このすごく緻密なパーツたちは、神々の国の調理器具なのか!
調理場と融合した屋台とかすごい発想だぞ。僕が知ってる屋台は出来た料理を並べて売るくらいのものだったが、これなら出来立ての料理をお客さんに提供できる!
作ってる様子をみんなに見てもらったら、それだけで宣伝になるし食欲をそそるぞ……!
「なッ、仲間たちが潰された―!」
「なんじゃァコレは!? あのガキのギフトかぁ!?」
「と、とにかくやっちまえぇー!」
無事だった者たちが襲いかかってくる。
だけど、今の僕には不安はなかった。
この屋台が『調理場』も兼ねているとすれば、つまり……!
「能力発動、身体能力激増ッ! ――調理場は、料理人の絶対領域だぁあああー-!」
パンチを放つや、普段の十倍以上の威力と重さになって炸裂!
わずか一発で数人がぶっ飛び、そのままラッシュを放ちまくれば全員が殴り飛ばされていった――!
「「「なんじゃそりゃぁぁああああああああー---!?」」」
ベショベショと地面に落下していくチンピラども。うめき声を上げながら動かなくなっていく。
悪の都の入口は、気絶した男たちの身体で死屍累々となった。
「よぉしッ、やってやったぜッ!」
人生初の大勝利だ! 中指を立てて大喜びする!
――こうして僕は料理人として、まずチンピラどもをしばき倒すことからスタートするのだった。
ってなんかおかしくない!?
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・強盗を撃退!(経験値大アップ行動!)
・ギフトのレベルが上がりました!
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・料理人としての始まり(※暴力)――!
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