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06.劇的びふぉーあふたー


 という訳で中学生編である。

 本日はお天気にも恵まれた絶好の入学式日和。

 卸したてのセーラー服に袖を通した(レイコ)は、母と一緒にユウくんを迎えに行く。

 ユウくんのお宅のインターホンを鳴らすと、程なくして詰め襟(学ラン)姿のユウくんと、彼の母親がドアの向こうから現れた。


「おはよう、ユウくん!おば様!」

「おはよう、レイちゃん」

「おはようレイコちゃん。あらあらまあまあ、セーラー服姿がとっても素敵ね~」

「うふふ、ありがとうございます。ユウくんも制服とってもカッコイイよ♪」

「う、うん。ありがとう……」


 私からのストレートな褒め言葉と、この可憐なセーラー服姿のダブルパンチにユウくんが朝っぱらから頬を赤く染める。

 あァ~~早くこの可愛い可愛いユウくんの脳を破壊してェ~~。


 ちなみに、ユウくんがカッコよくなったのはマジだったりする。



 ***



 小学6年生の半ば辺りからだっただろうか、なにやら彼の心境に変化が有ったのか、急に勉強にも運動にも力を入れ始めたのだ。

 成長期だったことも有り、少々ぽっちゃり系だった体型は、全て身長と筋肉に変化して、気がつけばシュッとした見た目の男の子になっていた。身だしなみやお洒落にも気を使うようになっていたので、中々の美少年になったと言えるだろう。

 いや、なってしまった(・・・・・・・)と言うべきか。

 正直、私としては以前の冴えない見た目のユウくんの方が色々と都合が良かったので、事あるごとに「無理してない?」とか「そのままのユウくんでいいんだよ?」とか甘やかそうとしたが、彼は「この先もレイちゃんの隣にいる為に必要なことだから」とか言って跳ね除けやがった。チッ。


 ユウくんに翻意を促すのを諦めた私は開き直って、ユウくんに恩を売りつける方向に作戦変更した。

 彼にお洒落やスキンケアについて指南したり、ジョギングなども一緒に付き添ってあげて、ユウくんがイケメンになる為の助力を惜しまなかったのだ。


『はぁっ……!はぁっ……!』

『ほら、ユウくん!あともう一周だよ!がんばれ♥がんばれ♥』

『レ、レイちゃん……その応援、なんか違う気がする……』


『男の子でも日焼け止めはちゃんと塗らないと駄目だよ?ほら、塗ってあげるからこっち向いて?』

『く、くすぐったいよ、レイちゃん……』


 ついでに、ユウくん育成計画にかこつけてイチャつく等して、彼の好感度を稼いでおいた。

 無論、脳破壊の前振りである。

 努力の甲斐あって、ユウくんは無事イケメン寄りな見た目となった。

 これだけ急激に自分の見た目に自信が付けば、多少は傲慢な性格になりそうなものだが、私の洗脳……もとい教育成果もあって、性格は謙虚で控えめな心優しい少年のままである。ま、寝取られ男だから多少はね?



 ***



 さて、私がそんな回想をしている間にも、入学式は恙無く進んでいく。

 校長先生の定型文的な演説を聞き流し、新しいクラスで集合写真の撮影を行ったり等のお決まりのイベントを終えた私達は、お昼には下校する運びとなっていた。


「同じクラスになれて良かったね、ユウくん!」

「うん、僕もレイちゃんと一緒のクラスで嬉しいよ」


 下校後、私と母はユウくんとおば様を交えて、ファミリーレストランで昼食を一緒にしていた。

 子供同士の仲が異様に良いということで、音虎(ねとら)家と立花(たちばな)家は家ぐるみで良好なお付き合いをしている。何ならユウくんの母は、私のことを将来の息子の嫁と思っているフシが有るし、私も全力でそのつもりのロールプレイをしている。

 まあ、最終的にはこれ以上ないぐらい酷い寝取られ方をして、ユウくんの脳みそを木端微塵にするつもりなので、両家の関係はさぞや気まずいものとなることだろう。我ながら災害みたいな女である。


「フユキくんも同じクラスだし、また3人で一緒に頑張ろうね♪」

「そうだね。僕だけ違うクラスとかにならなくて本当に良かったよ。二人がいないと僕、友達作れないかもしれないし……」

「もうっ、そんな情けないこと言わないの。ユウくんには良いところが沢山あるんだから、私やフユキくんが居なくても、新しい友達なんて沢山作れるよ」


 NTRの神に愛されている私は、当然の如くユウくんと同じクラスをツモることに成功していた。

 まあ、クラスが離れていたら、それはそれでやりようはいくらでも有るのだが、同じならそれに越したことはあるまい。

 親友NTR枠ことフユキくんとも同じクラスだったのは僥倖だろう。3人一緒に行動する機会を増やして、ドロドロの三角関係を形成してやるからな。

 覚悟の準備をしておいて下さい。近い内に寝取られます。ビデオレターも問答無用で送ります。貴方は寝取られ男です。脳を破壊される楽しみにしておいて下さい。いいですねッッ。


「……ところで、ユウくん?私に何か言うことが有るんじゃないの?」

「え?」

「もう……これでも私、今日は結構気合入れてきたんだよ?」


 そう言って、私は拗ねたように頬を膨らませると、わざとらしく制服のリボンを弄んだ。

 そこでようやく、私が求めていることに思い至ったユウくんが、照れたように頬を掻きながら告げた。


「……その、レイちゃん」

「はい。なんでしょうか?」

「せ、制服。すごく似合ってるよ」

「……それだけ?」

「うう……か、可愛いと思う」

「うむ、よろしい」


 ユウくんの言葉に、私は満足げに微笑む。

 その様子を見て、ニヤニヤする母とおば様。


「あらあら、ユウキは将来レイコちゃんのお尻に敷かれそうねぇ~」

うちの娘(レイコ)がごめんなさいねぇ。ユウキくんも、嫌だったらガツンと言っていいのよ?この子、意外と押しの強い方がタイプみたいだし」

「お、お母さんっ!ユウくんに変なこと言わないでっ!」


 すまん母よ。それはNTRシチュの好みの話なんだ。



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