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7.夕陽
図書館や映画館へ行くと足元がふわふわと浮かんでいるように感じる。
高揚感と心もとなさ、寂哀、そこはかとない恐怖からだろう。
同じように感じる夕陽はけれど、度合いが強く、休日は特に足元をおぼつかなくさせるので、なるべく自室で迎えるようにしていた。
まるでりんご飴が溶けていくようだ。
やおら腐れるように自然と潰れて、飴とない交ぜになったどろどろの液体も出して、扇状に流れて、輪郭を消していく。
けれど、腐臭も腐色もなく、青々しさを保ったまま。
否。
ろうそくの火が忽然と消えるように。
腐る一歩手前で視界から姿を消す。
夕陽もいなくなり、暗闇で覆われる。
部屋の明かりをつけないまま、窓を開ければ、金たわしの匂いが微かにした。
この頃は夜に多い。
窓を閉めて、強く呼吸をすれば、ほのかに綿菓子の匂いがする。
母が干しといてくれたのだろう。今日はよく眠れそうだ。
夕飯ができたから降りてきなさいとの声が聞こえてきて、元気に返事をする。
ハッピーエンドになりますように。
三時間後に始まる最終回のドラマに願った。
(完)




