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水属性の魔法使い  作者: 久宝 忠
第四部 第三章 暗黒大陸
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0771 迎撃

異変は、法国艦隊がヴォンの街に寄港して六日後の夜に起きた。


コンコン。

ステファニアが、とても小さな音でノックした。

「どうぞ」

小さな、だがステファニアにははっきりと聞こえた返事。

その返事が返ってくるとは思っていなかったために驚いたが、一瞬で考えを改めた。

中にいるのは教皇であると同時に、ヴァンパイアハンターでもあると。


「聖下……」

「ああ、包囲されたようだな」

明かりの(とも)されていない寝室で、グラハムはすでに着替え、ベッドに座っていた。

いつもの杖は、当然傍らにある。


「包囲する者の中に、ヴァンパイアがいる」

「えっ……」

グラハムの指摘に驚くステファニア。


周囲を警戒している異端審問官たちも、そこまでは把握できていない。

それなのに、寝室から出ていないグラハムの方が、そこまで分かっていることに驚いたのだ。


「ヴィーラ教徒……信徒である人間たちはどうでもいい」

「狙いは、ヴァンパイア?」

「信仰の対象を打ち倒してしまえばよい。それで信徒らの心は揺らぎ、いずれはまともになるだろう」

グラハムは言い切る。


「しかし……」

「開祖ニュー様は信仰の自由を掲げられた。信仰の対象がヴァンパイアであっても、それを理由に人を殺すのはあんまりだろう?」

微笑みながら言うグラハム。


「もちろん、武器を持って襲撃してきたら躊躇(ちゅうちょ)なく殺せ。そうでないなら見逃してかまわない」

「はい」

「ヴァンパイアへの信仰から目覚めれば……西方教会の教義に傾いてくれる者たちもいるかもしれない。いわば潜在的な信者、となる可能性もある者たちだ」

苦笑しながら言うグラハム。


どうも顔をしかめているステファニアは、あまり同意できないようだが。


「まあ、問題はヴァンパイアだ。四十体ほどはいるか?」

「そんなに!」

「教会のトップ、教皇が手の届くところにいるのだ。せっかくのチャンス、教皇を殺そうとするのは当然だろう」

その顔に、恐怖など微塵(みじん)もない。

笑いながら言うグラハム。


むしろ、彼を守る者たちの方が緊張しているだろう。

もちろんステファニアも例外ではない。


「ですが、もし御身に間違いでもあれば……」

「大丈夫だ、ステファニア。私は、そう簡単には死なん。知っているだろう?」

「はい……」

そう、それは、西方教会において、ステファニアだけが知る秘密かもしれない。


グラハムの秘密。


だが、それでも……。



「ステファニア、異端審問官らに伝達。たとえヴァンパイアであっても、無理して倒す必要はない、建物に入ってくる者にだけ対処せよ。時間さえ稼げればよいと」

「はい」

「この戦い、時間はこちらの味方だ」

異端審問官の多くは、開けた場所での戦いよりも、建物内や障害物の多い場所での戦闘に長けている。

ヴァンパイアが相手であっても……伯爵以上ならともかく、子爵以下なら十分互角に戦えるだろう。

それだけの力がつくように鍛えてきた。


だが、ここが決戦の場ではない。

本番はまだ先。


しかしその前に、ヴァンパイアと対峙(たいじ)するという経験を積ませておきたい。


「全ての準備を整えた上で戦いに臨む」

グラハムは呟いた。




グラハムとステファニアは、一階の食堂に移動した。

ここが『西の雫亭』で、最も広い部屋であるために指揮所が置かれている。


「西の雫亭を囲むように、二百人ほどのヴィーラ教徒が潜んでいるようです」

「ヴォン教会はどうだ」

「今のところ、教会の方にはいません」

「教皇である私の方に、全員をひきつけることができたのか。光栄なことだ」

異端審問官の一人から報告を受け、ニヤリと笑うグラハム。


「潜んだヴィーラ教徒どうしで、連絡は取り合っているようですが、いつ突入してくるのかは分かりません」

「かまわん。こちらの準備の方が整いそうじゃないか?」

グラハムは情報を確認して自分の方に歩いてくるステファニアに問う。


「はい、聖下。二分後に配置が完了するそうです」

「よし。皆も準備せよ」

グラハムがそう言うと、異端審問官らが頷いた。


戦闘に向かない聖職者たちもここにはいる。

しかし彼らも、ヴァンパイアのシオンカ侯爵討伐の遠征に加わっているのだ。

誰よりも深い信仰を持ち、教皇グラハムの下で戦うことを望んだ者たち。

恐れたりひるんだりしている者はいない。


そんな様子を見渡して、グラハムは小さく頷く。

南部でのぶっつけ本番ではなく、この場が起きたことに幸運を感じていた。


「時間です、聖下」

ステファニアが告げる。


「攻撃、開始」

グラハムが告げるとすぐに、西の雫亭の外で轟音(ごうおん)が上がった。


同時に怒号、叫びが飛び交い始める。

「ゴーレムだ!」

「教会の連中!」

「た、助けて」


西の雫亭を包囲していたヴィーラ教徒に向かって、さらにその外側から囲むように移動していたゴーレム、ホーリーナイツ五十体が一気に包囲網を縮めた。


完全に機先を制したホーリーナイツ。

狙いはヴァンパイアたちだ。

人間のヴィーラ教徒たちは腰を抜かしたり、気絶したり……あるいは逃げ出したりと、ホーリーナイツ相手に戦えていない。


それを、聞こえてくる音と感覚だけで把握するグラハム。

立ち上がって指示を出す。

「異端審問官よ、突撃せよ!」


その下知(げち)を待っていた異端審問官。

扉を開け放ち、一気に外に飛び出す。


外側からのホーリーナイツの攻撃に対処していたヴァンパイアは、内側からの異端審問官の攻撃によって挟撃(きょうげき)された。


完全なる劣勢。


だがそこは、ヴァンパイア。

人と違い、簡単には死なない。


片手剣と盾を持つ三メートル級ゴーレム、ホーリーナイツ。

ファンデビー法国の主力ゴーレムであるが、本来は他国のゴーレムとの戦闘を想定している。

もちろん、人やヴァンパイアのような体長二メートル弱の二足歩行の生き物を相手に戦えないというものではない。


しかし、ここ十年、ヴァンパイアそのものとの戦闘が少ない。

それは良いことではない。

だからこそ、今回の戦いにホーリーナイツは投入された。


戦闘データの収集。

対ヴァンパイア戦における動きを、より洗練させる。



今回の全てが、いずれ対峙するシオンカ侯爵らとの戦闘への準備。


当然、ホーリーナイツと異端審問官との連携も含めてだ。

西の雫亭の外では、その連携が深まりつつあった。


訓練ではない。

実戦だ。

だからこそ、そこで得られる経験は貴重であり、経験した者を成長させる。



戦闘の様子を見ていたグラハムの目に、一カ所だけ想定を超える様子が目に映った。

「あれだな」

そのグラハムの呟きは、傍らにいたステファニアにも聞こえる。


「あれとおっしゃいますと?」

「ヴィーラ教の教祖、みたいなものだ」

グラハムは少しだけ笑うと、走り出した。



ヴァンパイアがホーリーナイツの重い剣を流し、自らに襲い掛かってきた異端審問官の胸を真一文字に切り裂く。


そのままとどめを刺そうとしたが……。


ガキンッ。

横から入り込んできた剣を受けた。


「邪魔をするな。む? 貴様、他の連中と服が違うな。異端審問官とかいう連中じゃないのか」

「何だ知らんのか? 最近のヴァンパイアは教養が足りないんじゃないか?」

「私はクベシュ子爵ヤロスラフであるぞ。人間ごときに教養の何たるかを語られる筋合いはない」

「それはそれは。まさか子爵だったとは。いや、いくらなんでも『まともな』ヴァンパイアなら、きちんとした教養は身に付けていると思ったものでな。他の『ヴァンパイアもどき』と違ってな」

「何だと」

グラハムがあえて挑発するように言うと、ヤロスラフの視線が鋭くなった。


「他のヴァンパイア共……全部とは言わんが、ほとんどが、本物のヴァンパイアではないだろう? もちろん眷属(けんぞく)であるストラゴイでもない。いわば、ストラゴイとヴァンパイアの中間といった辺りか」

「……」

「やはりか。一年前、教皇庁が襲撃された時から思っていたのだ。ヴァンパイアにしては経験不足だと。数百年、数千年を生きるヴァンパイアが『経験不足』というのは不思議だよな。本来ならあり得ん。だが、実際に剣を交えてそう思ったのだから仕方ない」

「……」

「ヴァンパイアの促成栽培みたいなものか? そんなことが可能なのか知らんし、想像もできんが……とはいえ、先代教皇は錬金術で作られた。その事実を知っている者としては、ヴァンパイアが似たような技術を手に入れ、促成栽培をしていたとしても不思議ではないのかもと思うようになったわけだ」

「貴様、何者だ……」

ヤロスラフは剣を構えて問う。


「この()に及んでそんな質問をしているから、教養が足りないと言っているのだ。そもそもお前たちは、何のために今夜の襲撃を決行した? 標的は誰だ?」

「貴様が知る必要はない」

「もちろん知っている。教皇だろ。グラハム一世の命を奪うために襲撃したんだろう? それなのに、標的の顔を知らんのか?」

「何? まさか貴様……」

「そうだ、私が教皇グラハムだ」

グラハムが名乗った。


それを聞いた瞬間、ヤロスラフの体が震えた。

「貴様……貴様が……ヴァンパイアハンター……」

「そうだヴァンパイア。私がヴァンパイアハンターであり、教皇であるグラハムだ。わざわざ、標的となった人物が目の前に来てやったのだぞ。しかも一対一の状況にしてやってるんだ。さあ、どうする?」

「殺す」

「そうか、ならやってみるがいい」

憎しみを目に宿すヤロスラフ、笑いながら挑発するグラハム。


ヴァンパイアと教皇の戦いが始まった。




轟音は、港に停泊したスキーズブラズニル号にまで届いていた。


「何があった」

そう言いながら甲板に出てくるアベル。

ほとんど同じタイミングで出てくる涼。


「広場の方からです」

パウリーナが答える。


「先ほど、法国艦隊からゴーレムが移動していくのが見えました」

物見が報告する。


「教会が襲撃されたか?」

「あり得ますね」

アベルの言葉に、同意する涼。

港からでは、詳しい状況は分からない。


「ザック、スコッティー、状況を確認に行く。場合によっては法国を助ける。急いで準備しろ」

「はっ」

アベルが有無を言わせぬ口調で命じる。


「船長、船の守りを頼む」

「お任せください」

パウリーナが頷く。


ナイトレイ王国一行はスキーズブラズニル号を降りて、街に向かうのだった。




西の雫亭の外では、教皇グラハムとクベシュ子爵ヤロスラフの戦いを中心に、他の戦闘もまだ続いていた。


ヤロスラフが攻撃し、グラハムが防御する。

この構図は、最初からずっとだ。


「ヴァンパイアハンター様よ、こんなものか?」

ヤロスラフが挑発するように言う。


「ヤロスラフと言ったか」

「あん?」

「シオンカ侯爵の配下だろう?」

「かつてはな。もう違う」

自分が攻撃し続けており、相手からの反撃が無いためにヤロスラフの口も滑らかだ。


「誰に仕えている? ヴィーラ教の教主はお前ではないだろう?」

「何で俺じゃないって決めつけるんだ? 俺かもしれんだろうが」

「お前が子爵だからだ」

「は?」

グラハムの言葉に、顔をしかめながら問い返すヤロスラフ。


「人間たちが国家の構成要素に持ち込んだ貴族の爵位という概念は、ヴァンパイアたちのものを真似したと言われている」

「おう、よく知ってるじゃねえか」

「だから人間の貴族の中でも、伯爵以上の上級貴族と、子爵以下の下級貴族に分かれている」

「……」

「当然、ヴァンパイアにおいてもそうだ。侯爵、伯爵の上級貴族と、子爵、男爵の下級貴族では何もかもが違う。もちろん、公爵以上はそれ以上に別格だが」

「何が言いてえ?」

「だから、子爵であるお前は、伯爵以上の誰かに仕えているのだろうと分かる」

グラハムははっきりと言い切った。


顔をしかめたままのヤロスラフは、何も言わない。

今まで以上に攻撃が激しくなったが……それは一撃一撃に、今まで以上の力が加わったから。

一見すればヤロスラフが本気になったと思えるが、受けるグラハムは冷静だ。


(この反応からすると、私の指摘は当たっていたようだ。そうなると問題は、いったい誰に仕えているのか。ヤロスラフが見限った相手は、仮にも侯爵。新たに仕えている相手は、侯爵以上ということになるか)


グラハムの頭に浮かぶヴァンパイアの名前がある。


ロズニャーク公爵ゾルターン。

記録に残るヴァンパイア公爵、九人の内の一人。


しかし眠っていると言われている。

言われているが、もちろん誰かが見たわけではない。

起きて活動し始めたと思われる動きが捉えられていないために、まだ眠っているのだろうと推測されているのだ。



もし、聞こえてきていないだけなら?



元々、暗黒大陸南部は北部との交流は盛んではない。

辛うじて、南部特産のミトリロ鉱石を通じての交易があったくらいだ。

そのミトリロ鉱石の交易も、クラーケンの活動が活発化したために、ここ十年ほとんど行われていない。


大陸中央部は立ち入ることができず、大陸東側の海路も使えなくなった。

大陸西側の海路は、海岸沿いにあまり大きな街が無いこともあって、これまでほとんど利用されてこなかった。


だから、大陸北部や西方諸国にまで情報が来なかっただけではないか?



可能性はある。



「お前が仕えているのは、ロズニャーク公爵ゾルターンか」

「なっ……」

グラハムの言葉に、ヤロスラフの表情が凍りついた。


いきなりその名前が出るとは思わなかったのだろう。

ごまかすことすらできなかったのだ。


「貴様……なぜ、その名前を……」

「ゾルターンが眠りについているのは有名な話じゃないのか? 私は布教している聖職者から聞いたぞ」

「でたらめを……」

「どう思おうが、それはお前の自由だ。そんなことよりいいのか?」

「何がだ?」

グラハムの言葉に、訝し気な目を向けるヤロスラフ。


「周りを見てみろ」

グラハムが言う。


それを受けて、剣戟をしながらだが、チラリと周囲を見るヤロスラフ。

驚きに目が大きく見開く。


戦っているのは、彼ら二人だけだった。


「お前が率いていたヴァンパイア共は、全滅した」

「馬鹿な……」

「指揮官は、常に周囲の状況に気を配らねば。お前は指揮官の器ではなかった。ずっとシオンカ侯爵の下にいるべきだったな」

「黙れ! いくら死のうが関係ない。グラハム! 貴様さえ殺せば我らの勝利だ!」

「その通りだ。だが、それは不可能だ」

「何だと!」

ヤロスラフが叫んだ次の瞬間。


剣を掴んでいたヤロスラフの右腕が、斬り飛ばされる。

間髪(かんはつ)()れず首が、斬り飛ばされる。

そして、心臓を剣が貫いた。


「言ったろう、不可能だと」


倒すことなどいつでもできたのだ。

ただ情報を引き出し、味方の耳目を集めた上でとどめを刺したかった。

今後の本格的な戦いのための、文字通り血祭(ちまつり)


首を斬り落とされ、心臓を貫かれたことによって、ヤロスラフは消滅した。


それを見た異端審問官、聖職者らは拳を突き上げ、思い思いに叫んだ。




アベルと涼率いるナイトレイ王国一行が到着したのは、グラハムがヤロスラフの心臓を貫いた、まさにそのタイミングだった。

「……すごいタイミングで到着してしまいました」

「グラハムの剣閃、すげーな」

涼があまりのタイミングにため息をつき、感心するアベル。


「あれ、教皇だよな。とんでもない剣の腕じゃねーか」

「教皇聖下な、ザック。まあ、剣の腕が凄いのは同意するが」

ザックとスコッティーも、さすがにこちらは小声で感想を言い合っている。



しばらくして、グラハム自身が王国一行に気付き、歩いてきた。


「アベル陛下、どうやらご迷惑をおかけしたようで、申し訳ありません」

「いや、来るまでもなかったな。ヴァンパイアの襲撃か?」

「はい。この大陸の西部に、最近広がり始めたヴィーラ教という宗教があるのですが、それがヴァンパイアを信仰していると分かりまして」

「なんだと」

「先ほど、その指導者を消滅させました。他にも四十体ほどのヴァンパイアがいたのですが、それらも全て倒しましたのでもう大丈夫でしょう」

グラハムは辺りを見回して言う。


ヴァンパイアは聖別された剣で首を斬り落とし、心臓を貫けば消滅する。

全て、その方法で処理されたようだ。


「これが、滞在を一週間延ばした理由か」

「はい。その意味でもご迷惑をおかけしました」

「いや、問題ない」

アベルは頷く。


そして辺りを見回す。

かなりの数のゴーレムと共に、西方教会の聖職者たちもいる。


「敵は、かなりの数だったんじゃないか? 教皇を襲撃しようというのだ、半端な数じゃなかったろう?」

「ヴァンパイア四十体ほどを中心に、二百人といったところでしょうか」

「ヴァンパイア四十体か……それは厄介な。犠牲者はどれくらい出た?」

「死者はいません」

「は?」

グラハムの答えに、()頓狂(とんきょう)な声を出してしまうアベル。


「全員、聖職者ですから。<エクストラヒール>を使えるものもいますし」

「再生能力を持った相手は厄介だが、それと似たような感じか」

「すごい」

グラハムが死者ゼロの理由を説明し、アベルが理解し、涼が驚く。


「特にゴーレムとの連携がうまくいったのも大きかったようです。本国での訓練では重点的に行われていたのですが、ヴァンパイアを相手にした実戦は今回が初めてです。ですが、ほぼ想定通りにやれたようで」

「……南部での本番のための予行演習か」

「否定はしません」

アベルは、早くも今回の襲撃の本質を理解していた。


もちろんヴィーラ教が襲撃しようとしたのが全ての引き金だ。

だが恐らく、法国艦隊が滞在を延ばさなければ襲撃は起きなかっただろう。

教会への妨害などは続いたかもしれないが、それでも今回の様に抱える戦力の多くを動員しての襲撃ではなかったろう。


しかし『教皇』という魅力的な(えさ)を吊り下げることによって、襲撃を実行させた。


それを使って法国側は実戦経験を積み、同時に後方への安全圏をも手に入れた。


「まあ、我々王国にとっても悪いことではない」

「はい」

アベルが呟くように言い、グラハムは頷いた。


こうして、一帯を騒がせていたヴィーラ教は、一晩で壊滅したのだった。


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『水属性の魔法使い』第三部 第3巻表紙  2025年7月15日(火)発売! html>
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