番外 ポストカード用SS(ボツ版)『ダメダメ騎士団員』
単行本第2巻、コミックス第4巻に載っている、
涼とアベルが夜のルンの街に繰り出した時のお話です。
『もっといいSS』が書けたので、そっちをポストカード用SSとして提出しました。
TOブックスオンラインで、2024年1月15日発売の
『水属性の魔法使い 第二部 西方諸国編Ⅱ』
『水属性の魔法使い@COMICS4』
を同時購入すると、その『もっといいSS』が書かれたポストカードがついてきます。
「アベル、僕が雇われたお仕事は、ダメダメ騎士団員を見つけ出すというやつでしたよね」
「ダメダメ騎士団員という表現があれだが……まあ、そうだな」
「しかしやったのは、危険な潜入者たちに襲われるお仕事でした」
「うん、まあ、返り討ちにしたがな」
涼とアベルの前には、襲ってきたが反撃されて気絶した四人の冒険者風の者たちが横たわっている。
「これは契約違反だと思うのです」
「契約違反?」
「契約外のお仕事をしたので、先払いしてもらったのとは別の料金が発生します。つきましては、先ほど押収した錬金道具を……くれとは言いません。ちょっと見せてほしいなと」
「ああ……見て分かるのか?」
「多分、分かりません」
「おい……」
アベルは少しだけ期待していたのだろう。
涼に分からないと答えられて顔をしかめる。
「アベル、錬金術の頂は遥か遠いのです。学び始めたばかりの僕が、そう簡単に分かるはずがないのです!」
「殊勝であったり威張ったり、忙しいな」
「いやあ、それほどでも」
「褒めてはいないぞ」
アベルはそう言うと、小さな箱型の錬金道具を渡した。
涼はそれを受け取ると、嬉しそうに見る。ひっくり返したり……そのまま見たり、持ち上げて下から見たり。
じっくり、たっぷり、ねっとり。
「ありがとうございました」
「どうだ、何かわかったか?」
「ええ、予想通り、何も分かりませんでした」
「そうか、予想通りか」
錬金術の頂は、予想通り遥か高いものであった。
「きっと通信をする道具でしょう。伝言を飛ばすだけかもしれませんが」
「分かってるじゃないか」
「こういう場合は、そういうパターンが多いのです」
「パターン……」
メタ推理ともいう。
「それっぽいことを言っておけば、けっこう当たるものなのです」
「うん、これから先、リョウの言葉は信じない方がいいってことだな」
「アベル、信じる者は救われるのですよ? 僕を信じた方がいいです」
「自分のことを信じろ、っていうやつほど信じられないのは、どうしてだろうな……」
「アベルの性格がひねくれて……」
「リョウにだけは言われたくない!」
結局、涼もアベルも似た者同士な気がするのは、気のせいだろうか……。
次回、
2024年1月10日~16日、七夜連続投稿予定です!
ついに中央諸国に戻ってきた涼とアベルが……。
そして2024年1月15日(月)に、
『水属性の魔法使い 第二部 西方諸国編Ⅱ』
『水属性の魔法使い@COMICS4』
『水属性の魔法使い ジュニア文庫 第一部 中央諸国編Ⅱ』
という、三種類が同時発売されます!
小説第9巻である『水属性の魔法使い 第二部 西方諸国編Ⅱ』は、
いくつもの新エピソードが追加されております。
最後なんて、ついに涼が〇〇戦を繰り広げたり……。
結局、十万字近く加筆しているはずなんですよね。
修正もいっぱい……。
【なろう版】で触れていながら、回収されなかった箇所も……。
はたして、どれだけの読者の皆様が気付いていたでしょうか。
そんなこんなも書かれた『水属性の魔法使い 第二部 西方諸国編Ⅱ』
そして、コミックスとジュニア文庫、
2024年1月15日(月)発売です!
特設ページ
https://www.tobooks.jp/mizuzokusei/index.html




