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水属性の魔法使い  作者: 久宝 忠
第二部 第三章 魔王探索
363/935

0338 <<幕間>> 移住

本日二話目。


ナイトレイ王国王都、王城の国王執務室。


「久しぶりだな、ローマン」

「国王陛下におかれましては……」

「いや、旧知の仲だ。そういうのはいい」

勇者ローマンが、挨拶をしようとすると、アベルはそれを制した。


「ナディア殿、初めてお目にかかる。ナイトレイ王国国王アベル一世だ」

「陛下、初めまして。ナディアと申します。この度は、私共の移住を認めていただき感謝いたします」

そう言うと、ナディアは頭を下げた。



勇者ローマンと、魔王ナディア。

二人の王国への移住を、アベルは認めた。


「気になさいますな。我が王国の、筆頭公爵からの推薦とあらば、受け入れるのは当然」

「リョウさんは、筆頭公爵になっておられたのですね」

かつて、共に戦った涼が、想像以上に高い地位に上っていたことに、ローマンは素直に驚いていた。

もちろん、冒険者アベルが、国王になっていたのもだが。



「それで……どのような形で王国に住みたいか、希望を聞こうと思ってな」

アベルはそう言うと、傍らのハインライン侯爵を見た。

「はい陛下。貴族でも平民でも、他の特殊な地位でも、いずれでも問題ございません。とりあえずは、勇者であることは、まだ公表しない方がよろしいかとは思いますが」

ハインライン侯爵は、何でもできるとの答えだ。


「できれば、貴族などではない方が……。領地はともかく、領民を持つのはちょっと……。私もナディアも、村の出ですから、小麦を育てるのなどは得意です」

ローマンが、控えめにだが希望を述べる。


「ふむ。どうだ、ハインライン侯?」

「であれば、南部の豪農はどうでしょうか。ルンの街……街の外ですが、陛下もご存じの通り、ルンは街の外にも農民が多数住んでおります。その一つ、かなり大きな小麦農家だったのですが、夫婦が立て続けになくなりまして、跡継ぎは王国騎士団に入っているので、家と土地を売りに出しております。購入費用などは王国が持ちますので……それなどはどうでしょうか?」

「……なんか、どこかで、似たような話を聞いた記憶があるんだが」

ハインライン侯の説明に、アベルは首を傾げて問う。


ローマンとナディアは見つめ合い、二人とも頷いた。

「ぜひ、お願いします」

ローマンが、はっきりと答えた。


「いや、まてまて……。ハインライン侯、ちょっと確認したいのだが、その家の、お隣さんというか……隣接しているのは、誰だろうか?」

アベルは、何か引っかかるものがあったらしい。


「はい、お隣とは、五百メートルほど離れておりますので、気になさる必要はないでしょうが……住んでいらっしゃるのは、水属性の魔法使いの方ですね」

「やっぱり! リョウの家の隣じゃねえか!」


すまして答えたハインライン侯に、やっぱりかと机を叩かんばかりに答えるアベル。


「え? リョウさんの?」

ローマンが驚く。


「はい。お隣は、ロンド公爵リョウ・ミハラという方が住んでいらっしゃいます。まあ、今は西方諸国に行ってらっしゃいますし、そうでなくとも王都にいることの方が多いですし……。他にもご自身の領地とかもありますので、最近はあまりルンの家には戻っていないそうですが」

ハインライン侯は、そこで一度言葉を切って続けた。

「まあ、ルンの街は、王国内でも最も安定した、治安のいい街の一つです。移住先としては、お勧めの場所なのは確かです」


ローマンとナディアは頷いて言った。

「ぜひ、そこでお願いします」


いつも通り21時に、本編「0339」を投稿します。

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『水属性の魔法使い』第三部 第4巻表紙  2025年12月15日(月)発売! html>
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