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水属性の魔法使い  作者: 久宝 忠
第二部 第三章 魔王探索
356/930

0331 ダンジョン攻略……本格化

本日二話目です。

0時に、「0330 金色の目 【書籍版 情報解禁記念!】」を投稿しております。


そちらから、お読みください。そちらのあとがきに、今後の書籍版などについても書いております。

次の日から、本格的な西ダンジョン攻略が始まった。


西ダンジョンは、基本的に、フロアボスや階層主と呼ばれるようなものはいない。


ただ、五十層、百層、百五十層に、異常に強力な魔物が出て、それを倒さない限り、下への階段が現れないことは知られている。


「到達最深層って、百五十層でしたよね? もしかしてそれって……」

「うん。その百五十層の魔物を倒したパーティーはいないらしいよ」

「もしや、一度倒した魔物も、時間が経てば再び現れる?」

「みたいだね」


涼とエトが、『ダンジョン地図』を見ながら、そんな話をしている。

話をしながらも、一行はダンジョンを進んでいた。



現在、四十九層。



四十一層からは、洞窟の中のような、岩場のダンジョン。

そこに、コウモリ系と狼系の魔物が現れる。


上からのコウモリ、下からの狼と、なかなかに厄介なコンビネーションになる。

決して弱くはない。


だが、この探索一行にかかると……。


「<アイスウォールパッケージ>」

涼が氷で屋根を作り、コウモリが一行に攻撃を与えることはできなくなる。

そのうえで、前衛四人が、狼を確実に屠っていく。


狼を倒し終わったら、<アイスウォール>を解除して、コウモリを倒す。


完璧な連携。



「よし、四十九層終了だな」

一行は、四十九層の終点に着いた。




「明日は五十層ですね」

涼が嬉しそうに言う。

『ちゃんと』ダンジョン探索をできているのが、嬉しいのだ。


「五十層にいるのは、ボス一体だけらしいよ」

「おぉ~」

エトの説明に、さらにテンションの上がる涼。


「厄介なのは、どんな魔物が出るか、その時々によって変わるということと、フロアの適性も変わるんだって……」

「フロアの適性?」

涼が首を傾げる。

「そう。例えば、炎の鳥とマグマが噴き出すフロアとか……」

「なんと!」


驚くほどえげつない組み合わせだ。

普通のパーティーであれば、攻略はかなり難しいだろう。


「そんな相手、倒すの大変じゃないですか?」

「うん。実際、この五十層の突破率って、一パーセント以下だってさ」

「なんという……」

「しかも、かなり恵まれたボスが出た場合に突破できる、くらいに言われているみたいで、普通の、いわゆる『稼ぎたい』パーティーは、四十九層までで攻略を止めるんだって」

「なるほど……」


ゲームとは違うのだ。

命が懸かっているのだ、パーティー全員の。

「とりあえず行ってみよう」で臨める場所ではないらしい。



「それって、撤退とかは……」

「うん、五十層ボスはできない。百層ボスは撤退できるけど、五十層ボスは入口の扉が閉まる。つまりボスを倒して『石碑』に記録を残すか……」

「倒せないで全滅するか、か」

涼が確認し、エトが肯定し、ニルスが頷く。


本気でダンジョン攻略を目指すかどうかのふるいにかけられる……それが五十層の役割。


「そう考えると……無理に攻略する必要はない気がするんですが……」

ハロルドが言う。

そう、彼らの目的は、再びマーリンに会うこと。

そのためには、攻略を進める必要は、実際のところない。


だが……。


「マーリンは、このダンジョンの管理人と言った。五十層のボスを倒すこともできない者たちの前に、再びは出てこないんじゃないか……」

ニルスが言う通り、一行は思っているのだ。


何においてもそうだ。



力を示せ。



そうでなければ、人は動かない。



無視できない力を示せば、相手は無視できない。

力を示せないような者の言うことなど、誰が聞くというのか。


みんな、そんなに暇じゃない!



その力を示すために、一行は五十層を攻略する。




翌日。

一行は、五十層に足を踏み入れた。

そこには、両開きの、巨大な石の扉が。

扉には、なにやら巨大なレリーフが彫られている。


「いかにもな扉ですね」

涼が扉の前で腕を組んで、偉そうに論評している。


「昨日話した通り、前後二列。前衛が俺ら四人。後衛が涼とエト、ジークだ。みんな、死ぬなよ!」

「おう!」

ニルスが言い、全員が応じた。



石の扉は、スムーズに開いた。

全員が中に入ると、ひとりでに閉まる。


そこは、運動場のように広く、天井も高い……四十メートル以上はあるだろうか。

空を飛ぶ魔物にも対応した部屋なのだろう。

地面は、岩のままだ。


明かりは、かがり火がたかれている。



一行が進むと……。


それは現れた。



「骸骨の……王? 聞いたことないけど……」

エトが呟く。


涼も最初は、その姿に驚いたが、すぐに別の事に意識が持っていかれる。



それは違和感。



かつて経験したことのある、違和感。



何度か経験したことのある……。

そういえば、西方ダンジョンに、そんな罠があると以前聞いたことがある……違和感。



「まさか……魔法無効空間」


「0035 怪獣大決戦」アベルのセリフ中の

「西方諸国にあるダンジョンの中に、そんな罠があるらしい。魔法無効空間の部屋」

の伏線が回収されました!

長かった……。

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『水属性の魔法使い』第三部 第4巻表紙  2025年12月15日(月)発売! html>
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