表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水属性の魔法使い  作者: 久宝 忠
第二部 第三章 魔王探索
355/930

0330 金色の目 【書籍版 情報解禁記念!】

情報解禁記念、早だし投稿です!


次話「0331」は、いつも通り本日21時に更新します。

「魔人……だと……」

ニルスの呟きは、辛うじて涼の耳に届くほど小さかった。

他は誰も、呟くことすらできない。



たっぷり一分、誰もしゃべらず、誰も動くことのできない時間が流れた。



「……なるほど、興味深いのぉ」

赤い老人のその言葉は、ゆっくりと紡がれた。


「なぜ、わしが魔人じゃと?」

「その、金色の目で」

赤い老人の問いに、涼は答えた。



涼は思い出したのだ。

以前、どこで『金色の目』を見たのかを。


それは、コナ村近くで解き放たれた『南の魔人』と同じ……金色の目だと。


「そうか、金色の目……」

涼だけではなく、エトも気づいたらしく、そう呟く。


その言葉が聞こえたのだろう。

赤い老人が問うた。

「そこな、妖精王の寵児(ちょうじ)だけではなく、他の者もこの目を知っているだと……? はて……人の世で生きているという話は聞いたことないのじゃが……」

「妖精王の寵児……」

その言葉が気になったらしく、ニルスが呟く。


だが、涼はそれを無視して口を開いた。


「三年前、一人の魔人がくびきから解き放たれました。我々は、その現場に居合わせましたので……」

正直にそう言った。


「なるほど。それは重畳(ちょうじょう)

一つ大きく頷いて、赤い老人は言った。


そして、再びハロルドの方を見て言う。

「解き放たれた者とは別の者の『破裂』か……。さっさと解いた方がよいぞ。『期限』はまだまだ先じゃが、そんなもの、背負っておっても良いことなど何もない」

「それを解くために、魔王を探しています」

ハロルドは、自分で答えた。


解きたいという思いは、当然、持っている。


「む? 教会に魔王の血はあるであろう? 喜捨(きしゃ)すれば、血を一滴額に垂らすくらいしてくれよう?」

「先日、教会の保管庫が何者かに襲撃され、その際に魔王の血が入っていた壺が割れたらしく、血は無くなりました」

赤い老人が問い、エトが答えた。


「なんじゃと……」

赤い老人は絶句して、しばらくしてから言葉を続けた。

「それはまずいのお……」



そう言って、五秒くらい経ってだろうか。



「すまんが、おぬしらと話しておる暇が無くなった。また、後日来るがよい」

「あ、あの、あなたのお名前は……」

「我が名はマーリン」


ジークの問いに、マーリンはそう答えると、消えた。



それと同時に、一行の前に、十一層の終点が現れた。


唐突に。




「マーリンは魔人だった……」

「うん……」

ニルスの言葉に、頷くエト。


ここは、探索一行が宿泊する宿『聖都吟遊』の一階ラウンジ。


一行は、十一層の転送『石碑』から、すぐに戻っていた。

さすがにあの後、十二層以下を攻略する気にはならなかったからだ。



「どうするか……」

ニルスはそう呟くと、ハロルドを見て言葉を続けた。

「ハロルド、お前はどうしたい?」

「え……」


ハロルドは、この場で自分に問われるとは思っていなかったのだろう。

この一行のリーダーはニルスであり、サブリーダーはエトだ。

一行の行動指針は、ニルスが断を下すし、助言が必要な場合はエトが言う。

『十一号室』としての希望がある場合は、ジークが言うことが多い……。


だが、『十一号室』のリーダーは、ハロルド。

そして、彼の霊呪を解くために、一行は自らの身を危険に晒している。



ハロルドの意見は、大切。



「俺は……正直、皆さんを危険に晒しているのは、本当に申し訳ないと思っています」

「おい、それは……」

何か言おうとするニルスを遮って、言葉を続ける。

「いえ、分かっています。でも、それは偽らざる気持ちなんです。ただ同時に、ここまで来たのであれば、もう一度、マーリンに会って聞いてみたいとも思っています。あなたでは、この霊呪を解除できないのかと。もしできないのであれば、魔王の居場所を教えてほしいと」


ここで一呼吸おいて、さらに続ける。


「それで怒らせてしまったらと思うと、確かに怖いのですが、聞かずに終わらせるのは、嫌です」

言い切った。


それを聞いて、ジークとゴワンは頷いた。

彼らは、ハロルドと一心同体、そう思っている。

もし、ハロルドが命を落とすことになるなら、自分たちも、とさえ思っているかもしれない。



「まあ、それしかないよね」

エトが苦笑しながら言う。

アモンも無言で頷く。


「わかった。なら、明日から、ダンジョンに潜ろう。マーリンは、後日来いといった。潜り続ければ、また向こうから接触してくるだろうし、現状、それ以外に方法はないからな」

ニルスは大きく頷いて、そう言った。


一行の行動指針は決まった。



ただ一人……この間中、美味しそうにケーキを食べていた水属性の魔法使いがいる。

もちろん話は聞いており、時々頷いたりはしていた……。


そして、ニルスの断が下されると同時に、そのケーキを食べ終え、満足そうに……したのは束の間。

すぐに、他の者たちの前に並ぶケーキに目をやっている。


さらに、ラウンジ入口に立つ従業員さんの方を、チラチラ見ている。

追加で注文したいかのように……。



そんな涼を見て、ニルスが重々しく言葉を紡ぐ。

「……リョウ」

「はい?」

「ケーキは一日一個までじゃなかったか?」

「なぜ知っている!」

((俺が以前、ニルスに言ったからだ))

((アベル! この裏切り者!))



情報の共有は、とっても大切なのだ。



「と、特別な事情がある場合は、その限りではないと決まっています」

「特別な事情? どんな特別な事情だ?」

涼が苦しげな言い訳をし、ニルスが問いかける。


「そ、それは……え~っと……そう! 明日以降の行動指針が決まって、気合を入れなおして頑張るぞ! ってなった、今みたいな特別な状況の時は、それは、特別な事情なのです」

((……))

『魂の響』の向こうから、アベルの呆れたようなため息が聞こえる。

アベルは、特別な事情として認めないらしい。


「……それが特別な事情とはとても思えんが……まあ、いいだろう」

ニルスはそう言うと、従業員さんを呼んでくれた。

涼は嬉しそうに、追加でミルフィーユを注文する。


「ニルスは善い人です」

「お、おう……」

「アベルには、ニルスがどれほど成長したか、嫌というほど伝えておきます。任せてください」

「おう、頼んだぞ!」


魚心(うおごころ)あれば水心(みずごころ)……。

ギブアンドテイク……。

そう、世の中は持ちつ持たれつなのだ……。


『水属性の魔法使い 第一部 中央諸国編Ⅱ』

が、2021年6月19日(土)に発売されます!


それに関連しまして、本日0時、いくつか情報が解禁されました。



まず、書籍版『水属性の魔法使い』は、現在【第四巻までの制作は決定】しております!

(五巻以降は、売上次第です……)


当初、「二巻までは出版確約」だったのですが、第一巻の売上があったために、

四巻まで制作決定になりました!

これも、買ってくださった読者の皆様のおかげです。本当にありがとうございます!


ですので、「二巻で打ち切り」というパターンは、回避されました!

安心して、6月19日(土)に出る第二巻をお買い上げください。

(上記情報は、第二巻の後ろの方に載っております……)



この、四万字程加筆された第二巻から、少しずつなろう版との違いが出てきます。

そして第三巻で、とんでもない事に(主に筆者的に)……なってしまいました。


そんな第三巻の初稿は、編集部に送付済みです。


そう、とんでもない事になってしまったのですよ。

その辺りの詳しい内容は、また後日。

第二巻が発売された後で、あとがきや活動報告に書きますね。


まずは、2021年6月19日(土)に、第二巻が発売されます!

続きもちゃんと出ますので、安心してご購入ください!



そして、ついに、コミカライズが!!

涼やアベルが漫画に!


『水属性の魔法使い 第一部 中央諸国編Ⅱ』の後ろの方に、コミカライズ冒頭7ページが載っております。



コミカライズを担当してくださるのは、墨天業 (ボクテンゴウ)先生です!

https://twitter.com/gon_take


「手塚治虫生誕90周年を記念したマンガ書籍が新創刊!『どろろ』『リボンの騎士』『奇子』などの名作を人気作家がトリビュート!」

という『テヅコミ』で、『バンパイヤ』を原作にして『京獣物語』を書かれていらっしゃいます。

https://tezucomi.net/


バトルシーンの部分が上のテヅコミHPで読めるのですが、かっこいいですよ!



その『京獣物語』が、先日2021年5月6日に発表されました、第6回CGWORLD AWARDSで技能賞を受賞されています!

https://cgworld.jp/feature/202104-cgwawrds6th-rslts.txt.html


つまり、今、日本で最も上手くCGを使いこなす漫画家の一人、そう言っても過言ではないでしょう。

まず、個人が受賞するような賞ではなく(調べた限りでは、第1回で一人受賞されているだけ)、

そもそも漫画家の受賞は初です。


そりゃそうです。CGが専門の集団が受賞するような賞なのですよ。

例えば、大賞ノミネートに、

「スクウェア・エニックス『FINAL FANTASY VII REMAKE』開発チーム」

「スタジオ・バックホーン」(『映像研には手を出すな!』で作品賞受賞)


作品賞ノミネートに、

「映画『モンスターストライク THE MOVIE ルシファー 絶望の夜明け』(XFLAG、アニマ、ダイナモピクチャーズ)」

「Netflix『攻殻機動隊 SAC_2045』(SOLA DIGITAL ARTS)」

「『天穂てんすいのサクナヒメ』(えーでるわいす)」


うん、なんか凄い世界です。

そんな中で、個人で、漫画家が受賞……めちゃくちゃ凄いですよ。


そんな方に『水属性の魔法使い』のコミカライズを担当していただけるのです。

楽しみですよね!



そんな、いろんな情報も載った『水属性の魔法使い』第二巻、2021年6月19日(土)発売です。

よろしくお願いいたします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『水属性の魔法使い』第三部 第4巻表紙  2025年12月15日(月)発売! html>
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ