0325 <<幕間>> ドクター・フランクからの報告書
本日二話目です。
「0324 幕間」を12時に投稿しています。
「閣下、ドクター・フランクからの報告書です」
「ドクターが報告書? 珍しいな……」
ここは、連合首都ジェイクレア、執政執務室。
連合執政オーブリー卿が、補佐官ランバーから報告書を受け取っていた。
ドクター・フランクとは、フランク・デ・ヴェルデのことであり、中央諸国屈指の天才錬金術師である。
現在、連合における錬金術すべてを取り仕切っている。
「研究所から、わざわざ直接届けられたそうです」
オーブリー卿が目を通している間に、ランバーが、報告書が来た経緯を説明する。
「……魔石の挙動に異常?」
「はい。連合西部一帯で見られるそうです。後ろの方に、さらなる調査結果を書かれていらっしゃいます」
ランバーの言葉に、書類をめくるスピードを速めるオーブリー卿。
「ルーク・ロシュコー男爵の手記? 確か、北方随一の伝承師だったな……動乱に巻き込まれて命を落とした」
「はい。マシューの街を治めておいででした。男爵がまとめられた手記の中に、かつて魔石の挙動に異常が出たことがあったと……」
「九百年前? 魔人に関係だと?」
さすがにそこまで読んで、オーブリー卿も顔をしかめた。
もちろん、オーブリー卿も、王国で『破裂の霊呪』にかかった者が出たことは知っている。
また、その冒険者が、今回の使節団に組み込まれて西方に行ったことも知っている。
『破裂の霊呪』が、魔人に関係するということも、その際に説明を受けた。
だが……。
「魔人の復活に関係するというのは……信じたくはないな……」
信じたくはない。
そんなもの、信じたい人間などいない。
だが、信じたくないからといって、それが通らない世の中であることも知っている。
「そもそも、魔人など対処のしようがあるまい?」
「はい……」
オーブリー卿の問いに、ランバーも顔をしかめて頷く。
ここでも、王城で交わされたものと同じ会話がなされていた。
そう、魔人への対処など、人の力ではどうにもならないことなのだ……。
本編「0325」を21時に投稿します。
実は、この先もちょくちょく出てくるルーク・ロシュコー。
別名、ご隠居様。
ええ、ええ、書籍版『水属性の魔法使い』で連載中の、
「外伝 火属性の魔法使い」をお読みの方はご存じですね。
そんな『水属性の魔法使い 第一部 中央諸国編Ⅰ』は、
今朝のamazon、Kindle内のライトノベルランキング3位です!
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「幼女戦記」、「無職転生」に続いての3位!
ちなみに4位に「ティアムーン」、5位に「ふつつかな悪女ではございますが 2」
有名作品に囲まれるうちの子……。
全力で頑張っている人(作品?)に言うのが禁句なのは分かっていますが、それでも言いたい。
頑張れ、強く生きるんだ!