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水属性の魔法使い  作者: 久宝 忠
第一部 最終章 ナイトレイ王国解放戦
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番外 <<幕間>> 第二巻発売日発表記念SS 献血制度

以前アナウンスした、涼、アベル、ケネスが出るSSは、第一巻発売日3月10日の0時ちょうどに投稿します。

今回は、今朝思い立って書いたSSです……。


ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、『水属性の魔法使い』第二巻の発売日が、6月19日であることが、出版社のTOブックスから公表されました!(本日正午 情報解禁)

活動報告で書けばいいかな~と思っていたのですが、SSを思いついたので、本業の合間を縫って書き上げました……そして、投稿しました……。

その日、王都のクレープ屋は、混んでいた。


そう、例の、時々現れるクレープ屋。バナーナと生クリームがダイヤモンド配合の!

もちろん、クレープにおいて、ダイヤモンド配合なる言葉を使ったのは、涼のいつもの適当造語……。



当然のように行列に並ぶ涼。

この後、王城に行き、国王陛下に会うのだが……。

クレープとアベル、どちらを取るか?

考えるまでもない!

「クレープに決まっているのです! ああ、そうだ。アベルにもお土産クレープを持っていけばいいんですね。そうすれば怒られない」


賄賂(わいろ)である。


税金から賄賂を出したりしたら怒られるだろうが、涼のポケットマネーから出せば、問題ないはずだ。




そんな事を考えながら涼が列に並びはじめて、しばらくすると、ひと際豪奢(ごうしゃ)で巨大な馬車が、クレープ屋の前に横付けした。

当然、注目の的。

涼も見る。

扉に描かれた紋章は、どこかで見た記憶があるのだが……思い出せない。



扉が開き、一組の男女が降りてきた。



とんでもない美青年と、驚くほど妖艶な美女。



それは、ヴァンパイアの真祖様とアルバ公爵アグネスであった。

アグネスが、とても嬉しそうに、真祖様と手を繋いでいる。

(なか)(むつ)まじい様子を見て、涼も少しだけ嬉しくなった。


そんな二人が、涼に気付く。


「あれ? リョウ?」

「あら、リョウ殿。お久しぶりですね」

真祖様もアグネスも、にっこり微笑みながら声をかけた。


「あ、はい、ご無沙汰しております。あの……どうして、お二方が王都に?」

涼でも、常識的な質問をすることはある。


「うん、散歩だよ」

「散歩……」

真祖様のスケールは、涼でも理解できないことが多い……。

他国の都まで、散歩の範囲らしい。


「わたくしがアベル陛下を表敬訪問するのに、真祖様にもついてきていただいたのです」

アグネスが嬉しそうに答えた。

真祖様と旅行できるのが、とても嬉しいらしい。



「私たちは、この後、王城に向かうんだけど、リョウも行かない?」

「はい。僕も王城に向かいますが……」

「じゃあ、一緒に馬車に乗っていくといいよ」

「え? よろしいのでしょうか?」

真祖様のお誘いに、涼はアグネスの方をうかがう。

二人きりの時間を邪魔してよいものかと。


「もちろんですわ」

アグネスも嬉しそうに頷いた。

「リョウ殿は、私たちの関係を知っていますからね。今さら隠しだてする必要もありませんわ」


そういうことらしい……。


王都の往来でイチャイチャしているのだが……隠しだてとは……?



「じゃあ、リョウの分もクレープを奢ってあげよう」

真祖様はそう言うと、クレープ屋の主人の前に行き、注文した。

「クレープを三つ」


ほとんど待つことなく、三つのクレープが出来上がり、それを持って真祖様は戻ってきた。


その間、列に並んだ者たちは?

何も言わない。

全く動かない。

ぽかんと口を開けたまま。


「さあ、どうぞ」

「あ、ありがとうございます」

真祖様から涼はクレープを受け取る。


「あの、真祖様。列の人たちが動かないのですが、もしや魅了とかされました?」

「ん? いや? 私は何もしていない……アグネスもしていないみたいだよ」

真祖様もアグネスも、ニコニコのままで、クレープを一口かじった。


「美味しい!」

「うん、さすがの味だね」

アグネスが喜び、真祖様も褒める。


「そう。世界は平和……」

涼は、何も気にしないことにした。



そうして、三人は馬車に乗り込んだ。




アルバ公爵の馬車の中。

「あの、真祖様。実は、常々疑問に思っていたことがありまして……」

「なんだい?」

涼の質問に、真祖様は機嫌良さそうに問いかける。

隣のアグネスは、真祖様の肩から腕にしなだれかかっている……。


「僕の、地球的知識だと、ヴァンパイアの方々って人間の血を吸わなきゃ生きていけない気がするのですが……トワイライトランドではその辺り、どうなっているのかなと」

「ああ、その問題は簡単だよ。ランドには、献血の制度があるんだ」

「献血……。なるほど、人間は、血を提供すれば、ジュースとかを貰えたりするんですね」

涼は大きく頷いた。

人は血を提供し、対価としてジュースを貰う。素晴らしい!


真祖様は笑いながら補足した。

「そう、日本だと、そんな感じだったよね。アメリカとかだと、献血するとお金を貰えたじゃない? ランドでもそんな感じ。お金だと問題が大きそうだったから、食料とかお菓子とか……だったはずだよ。制度を始めたのは私だけど、運用は政府に任せているから、現在の細かい部分は把握してないや」

「なるほど」

「集められた血は、ヴァンパイアそれぞれの家に一定数届けられるんだ。ウォーターサーバーの制度みたいな感じ。足りなくなったら補充される。で、そのサーバー内では、数年にわたって保管できるし、実は、直接人間から吸うよりも美味しい血になるんだ」

「なんと……」

「錬金術を使ってあってね。ブラッディサーバーって命名した」

「何ですか、その無駄にカッコいい名前は……」


笑顔で話す真祖様に、おもわずつっこむ涼。

本来は涼がボケ担当のはずなのだが……真祖様は、涼以上に天然なのかもしれない。



真祖様は、さらに衝撃な情報を補足した。

「でもね、実際のところ、ヴァンパイアは、別に人間の血を吸わなくても問題なく生きていけるんだよ」

「え……」

「なんというかな……。そう、人はケーキを食べたいじゃない。でも、ケーキを食べなくても生きていけるよね。ああいう感じ」

「人の血は甘味……。なんというか、ものすごく納得してしまいました」

涼は何度も頷いた。

ものすごく理解できるたとえ話であったために。



「そういえば、アルバ公爵は、アベルを表敬訪問されるとのことですけど……真祖様は……」

「うん、私は付録」

「付録……」

「そう。ランドの公的地位には、就いていないからね」

「それも疑問だったのです。トワイライトランドの実質的な支配者は、真祖様ですよね? どうして公的な地位には就いていらっしゃらないのかと」


涼の疑問に、今までで一番の笑顔になって真祖様は答えた。


「ほら、裏から国を支配する、とかの方がカッコいいじゃない?」

「確かに! すごく分かります!」

「でしょう? リョウなら分かってくれると思ってたんだ!」



ロマンというのは、人それぞれだ。




さて……。


どちらにしろ……涼はミスを犯した。

まだ、この時点ではそれに気付いていない。


そう、アベルへの賄賂を手に入れるのを、忘れた……。



挿絵(By みてみん)

3月4日の活動報告でも書きましたが……、

ここ十日ほど、出版社のTOブックス様のTwitterで、毎日、『水属性の魔法使い』を宣伝していただいております!

書籍版挿絵のチラ見せであったり、書籍特典SSのチラ見せであったり……。

ありがたいです!


遡って見たい方は、

♯水属性の魔法使い

とかで見られるかな?


さらに、本日正午に、第二巻の発売日が、同じくTOブックスのTwitterにて発表されました。

2021年6月19日 です!

(TOブックスのTwitterをフォローしておくと、そんな、よき情報を見逃さないかもしれません!

なにせ筆者は、SNSをしませんからね! 出版社任せです!)


第一巻の発売日は、既報の通り3月10日ですが、早い書店さんだと、本日くらいから店頭に並ぶのだとか。

ですので、第二巻の発売日発表が、本日になっているのだそうです。


一、二巻がちゃんと売れれば、三巻以降も出していただける……かなぁ……。

頑張れ、一、二巻!


さて、今回急遽SSをあげたわけですが、当初の予定通り、3月10日0時にも、もう一本SSをあげます。

以前、活動報告で書いた涼、アベル、ケネス三人のやつです。

どうぞ楽しみにお待ちください。

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『水属性の魔法使い』第三部 第4巻表紙  2025年12月15日(月)発売! html>
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