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水属性の魔法使い  作者: 久宝 忠
第一部 第九章 コナ村
166/930

0155 ヴァンパイア?

『ヴァンパイア』

ファンタジー史上、最も有名な怪物の一つ。

黄昏の存在、魔物の主、あるいは不死者の王。

そう、不死者の王は決して骸骨ではないのだ! ヴァンパイアこそが不死者の王なのだ!

と、涼は声を大にして主張したかった……。

そんなことを言える雰囲気ではないので、黙っていたが。


ヴァンパイア、あるいはそれに類するものは、地球においても古代から存在している。

それこそ、洋の東西を問わず。

涼も含めて多くの人が抱くイメージは、近代ヨーロッパにおいて形成されたイメージである。

特に、ブラム・ストーカー著『ドラキュラ伯爵』によるところが大きいのは言うまでもない。

(きっとヴラム・ストーカーは、異世界から地球に転生した人物だったに違いない! J・R・R・トールキンのように!)

涼の妄想である。


ドラキュラのモデルとなった、ドラクレシュティ家のヴラド三世、通称ヴラド・ツェペシュ自身は、本来ヴァンパイアのイメージには近くない……せいぜい肖像画の感じと、敵のオスマン兵を串刺しにして晒した行為が、吸血鬼的な……その程度だと、涼は思っている。

隣の超大国オスマン帝国から、弱小な故国ワラキア公国を守り抜くために全力を尽くした、英雄とさえいえる人物である。



「今、ヴァンパイアと、言ったか?」

ゆっくりと、確認するようにドゴンに問うたのは聖職者グラハム。

これまで、全ての質問をヒューに任せ、聞き役に徹していたグラハムが、初めて口を挟んだのだ。

ヒューも、今までと雰囲気の変わったグラハムをチラリと見た。


「俺には判断はつきませんでしたが、ジョーさんはそう言っていました」

剣士ドゴンは頷きながらそう言った。

「マスター・マクグラス、そのジョーというのは生還した中には……?」

「あんたが助けた、一番の重傷者、あの槍士がジョーだ」

グラハムの問いに、ヒューは答えた。

「彼か。命に別状はないが……意識が戻るにはしばらくかかるか。話せるようになったら、ぜひ直接聞いておきたいことがある」

「ああ。話せるようになったら、あんたを呼ぶよ、グラハム」



今日のところは会議は終了となり、ドゴンら二人は、救護室で看病を手伝いたいと申し出て去って行った。


涼は、勇者ローマンに向けて、おいでおいでをする。

「どうしました、リョウさん」

ローマンは素直な性格なため、すぐに涼の元に来てくれた。

「さっき、グラハムは、ヴァンパイアって名前が出た途端、雰囲気が変わったんだけど……何かあったの?」


涼は、グラハムとヴァンパイアの間に何かあったのかをローマンに確認するために、呼んだのであった。

もちろん、その個人的な感情が、今後の作戦に悪い影響を与えるといけないと思って、先に聞こうとしているのである。

決して、ただの好奇心ではありません。ええ、ありませんとも。


「ああ。西方諸国においては、ヴァンパイアというのは特別な種族なんです。悪の化身と言いますか……特に、教会は何度もヴァンパイア狩りを行ってきましたから……」

実際にはそれだけではないのであろう。

ローマンは、何となく言いにくそうな表情をしている。

ここは無理に聞くのは悪手。

「なるほど。よくわかりました。ありがとうございます」


涼がそう言うと、ローマンはちょっとだけホッとしたような表情をして、部屋を出て行った。



代官執務室。

代官ゴローと伝承官ラーシャータが向かい合って座っていた。

「ヴァンパイアとはな……」

「ラーシャータ、魔人とヴァンパイアに繋がりはあるのか?」

ラーシャータが独り言のように言い、ゴローがそんなラーシャータに尋ねた。


「それは私もずっと考えていたんだが……私の知る限りの伝承には、その二つの関係を示すものは全く無い」

ラーシャータが知らないということは、王国内の伝承には、魔人とヴァンパイアの関係を示すものは無いのだろう。

「行方不明になった村人たちを探すのに、何度か山狩りと言うか、私を含めてかなりの数が森に入ったのだが……。ヴァンパイアに出会わなくて運が良かった、ということなのかな」

一歩間違えば、村を壊滅させたかもしれない山狩りを思い出し、ゴローは顔をしかめながら言った。


「まあ、そう考えるなら、このタイミングで分かって良かったんじゃないか? 援軍の中に、かのマスター・マクグラスがいるなんて、普通無いぞ? しかも、勇者パーティーもとか……。間違いなくゴローは運がいいんだ。そこは自信を持てよ」

「なに、その励まし方」

そういうと、二人は笑い合った。



十号室の四人は、宿泊所の食堂にいた。

もちろん、四人の前には、コナコーヒーが置かれている。


「まさかヴァンパイアが出てくるとはな」

こちらも、似たような口火の切り方であった。

口火を切ったのが、ニルスである点が意表をついていたかもしれないが。

そんなニルスは重々しい口調であった。


「ニルスはヴァンパイアを知っているのですか?」

涼は少し意外に思った。

エトがヴァンパイアに詳しいなら理解できるが、ニルスがというのは……。


「ああ。人間の生き血を啜る、怖い奴だ」

「そうですよね、ニルスに何かを期待した僕が間違っていました」

「おいリョウ、それは失礼すぎるんじゃないか」

やはりな答えに、ガクンと頭を傾げる涼、そんな涼が吐いたセリフに憤慨するニルス。

それを見て微笑んでいるアモン。

だが、いつもなら一緒に微笑んでいるエトが笑っていないことに涼は気付いた。

「エト? やはりニルスの答えに呆れかえって……」

「俺のせいかよ!」

涼の指摘に、やはり憤慨するニルス。


「いや、ごめん。別にニルスに呆れてはいない」

エトは苦笑しながらも会話に参加してきた。

「勇者パーティーの……グラハムさんだっけ、あの人の表情が気になって」

エトは少し首を傾げながら言った。

「そういや、かなり食いついていたよな。ヴァンパイアに何か恨みでもあるのかな」

「どうだろう。中央諸国ではそれほどでもないけど、西方諸国においては、特に西方教会はヴァンパイアに対する敵意が凄まじいってのは、神殿にいた時に聞いたことがある」

ニルスも、大会議室でのグラハムの様子を思い出しながら言い、エトは教会的な背景ではないかと答えた。

「ヴァンパイア狩り、みたいなのがあったらしいからそれかな?」



涼が思い出しながら言ったのは、地球における『魔女狩り』や『異端審問』の歴史である。

もちろん、魔女狩りそのものは、キリスト教が成立するはるか以前から行われていたし、そもそもが中世以降の魔女狩りも、キリスト教会が主導したものはそれほど多くないというのは、既に歴史学において定説化している。


では誰が行ったのか?


民衆が主導したのである。

民衆が、つい昨日まで隣に住んでいた人等を、魔女として告発して火あぶりにして……。

悲しいが、そんなことを起こしてしまうのが人間なのだ。


「うん、何度も起きているね。中央諸国においては、ヴァンパイアの目撃例自体が、この百年間で数例しかないんだ。だから、今回のも、本当にヴァンパイアであれば数少ない目撃例の一つになる……それだけに、どう戦えばいいのか、どういう攻撃が有効なのかという資料は少ないんだよね、神殿にも」

エトは色々と考えながらなのだろう、いつもよりもゆっくりと喋っている。


「今回の戦いにおいて、グラハムさんの持っている知識が、必要になる部分は出てくるかもしれないね。多分、その辺りはギルドマスターの方が、うちらよりも深く考えてそうだけどね」

そういうと、苦笑して締めくくった。



翌日朝。

五連星の槍士ジョーが目を覚ましたという報告を受けたヒューは、勇者パーティーから聖職者グラハム、『十号室』から神官エトを連れて、救護室を訪れようとしていた。


だが、エトの後ろにコソコソしながらついて来ている、コソコソしながらもちゃんと隠れようとはしていない水属性の魔法使いを、ヒューは見つけた。

「なあ、リョウ……いや、そこで、なぜ見つかった! みたいな表情をするのがおかしいだろう。絶対見つかるわ」

「ぜひ、僕も連れて行ってほしくて……」

その涼の言葉を聞いて、ヒューはたっぷり十秒間、腕を組んで考えた。


そして、傍らのグラハムに問う。

「グラハム、リョウはこう言ってるんだが、連れて行っていいか?」

「先日、王都の神殿地下での戦闘で、リョウさんの手並みは拝見しました。非常に優秀な魔法使いだとお見受けしました。ですので、今回の件でも力を貸してもらえるのは有り難いですね」

「おお、おお、えらい高い評価だな。ならリョウもついて来い」

そういうと、ヒューを先頭に、四人はジョーが休む救護室に向かうのであった。



「マスター・マクグラス……」

槍士ジョーは、先頭で入って来たヒューを見て呟いた。

「おう、生き残って良かったじゃねえか」

「……迷惑をかけた」

「それは俺より、エクストラヒールでお前の四肢欠損まで治してくれた、こっちのグラハムに言うべき言葉だ」

ヒューはそう言うと、ジョーにグラハムを示した。

「そうか、あんたが……。助かった、感謝する」


そういうと、ジョーは頭を下げた。そして問いかける。

「仲間は……?」

「ああ……。村に着いたときに、すでに二人事切れていた。生き残りは、両パーティーで五人だ」

ヒューは、努めて冷静に告げる。

「そうか……」

ジョーも覚悟はしていたのであろう。

そのことを聞いても、取り乱すようなことは無かった。


だが、両拳を握りしめ、腕がわずかに震えているのをヒューは見逃さなかった。

悔しさを押し殺しているのだ。



一分ほどそのまま、誰も言葉を発することは無かった。

ジョーが多少落ち着いたのを確認して、ヒューが口火を切る。


「ジョー、思い出すのが辛いのはわかるが、それでもあえて問いたいことがある。経緯については、昨日のうちにドゴンに聞いてある。俺たちが確認したいのは一点だけだ。襲ってきた奴らに関して、お前は『ヴァンパイア』だと言ったらしいな」

「ああ……」

ヒューが問い、ジョーが短く答えた。

「グラハム、聞きたいことがあるんだろう?」

「ああ、マスター・マクグラス、感謝する。ジョーさん、あなたがそいつらをヴァンパイアだと判断した根拠を聞きたい。以前に、どこかでヴァンパイアを見たことが?」


ジョーに問いかけるグラハムの言葉は、昨日の大会議室の時と比べて、非常に落ち着いていた。

エトも同じ感想を持ったのであろう。

エトと涼は、視線を交わし合って小さく頷いた。


「ヴァンパイアを見たことは無い。俺がヴァンパイアだと言ったのは……昔、神殿にいたダチから聞いた描写と同じだったからだ。赤い眼、伸びた爪、人を越える身体能力……」

ジョーは、色々なものを思い出しながら、ゆっくりと語った。


その話が途切れたところで、グラハムが奇妙な質問をした。

「君たちを襲った奴らの服装はどうだった? 貴族の様な服装をしていたか? そして靴を履いていたか?」

「服装? ……ボロだったな……農民や漁民が着るような。少なくとも貴族が着ているような服ではない。靴は……そうだな、木に飛び乗った奴は裸足だった。なぜそんなことを聞くんだ?」

「いや、よくわかった。貴重な情報だった、ありがとう」


ヒューもエトも、もちろん涼も、それ以上質問することなく、救護室を後にした。



「服……靴……いったいどんな意味があったんだろう」

本当に小さい声で、エトが呟いた。

だが、隣を歩いていた涼には、その呟きは聞こえていた。


「きっと、本物のヴァンパイアは貴族風のいで立ちで、靴もきちんと履いているのです。つまり、ジョーたちを襲ったのはヴァンパイアに似た何か……」

涼がそう口にしたのは、頭の中に『ドラキュラ伯爵』のイメージがあったからに他ならない。

それ以外の理由は全くない。


だが、涼の声は、本当に小さかったエトの呟きに比べて、若干大きかった。

それは、前を歩いていた聖職者グラハムにも聞こえたのである。


グラハムは急停止し、目を大きく見開き涼の方にぐりんと顔を向けて言った。

「リョウさん、どこかでヴァンパイアに会ったことが?」

「い、いや、ないです……」

その顔の迫力は、涼を驚かすのに十分なものであった。

ちょっとだけだが、涼は怖かった。


「そうですか……。それにしては、なかなか的確です。ヴァンパイア共は、貴族を気取ったかのように服装にはこだわります。そして、自分たちで力仕事などは絶対にしません。ヴァンパイアの代わりに、それら一切をさせられるのがヴァンパイアの眷属です。西方諸国では『ストラゴイ』と呼んでいます。そして、さっきのジョーたちが出会ったのは、このストラゴイでしょう」

「もしかして、そのストラゴイというのは、ヴァンパイアが人に噛みつくと……」

「ええ。ヴァンパイアに噛みつかれた人間が、ストラゴイになります」

グラハムは、顔をしかめ、額に深い皺を作りながら涼の質問に答えた。


「グラハムさん。そのストラゴイになった人たちを人間に戻す方法は……」

「ありません。残念ながら」

エトの問いに、今まで以上に沈痛な表情になってグラハムは答えた。


「あの……ついでに一つ質問があるのですが……」

涼は、もうこの際、気になっていることを聞いてしまおうと思って、グラハムの方を向いて言った。

「なんでしょう?」

「さっきのストラゴイと、本物のヴァンパイアの、それぞれの魔法特性を知りたいです」

「魔法特性?」

「はい。苦手な属性は何だとか、例えば光属性は苦手だとか、逆にどの属性魔法を使うことが出来るのかとかを……」

「ああ、なるほど」

グラハムは、一つ頷いて答えた。


「そこの食堂で、座って話そうぜ」

ヒューはそう言うと、さっさと食堂に入って、

「コーヒー四つ」

勝手に注文して座ってしまった。

地球にもたまにいる上司であるが、「コーヒー四つ」という言葉が、『ファイ』で聞くと、とても新鮮に涼の耳には聞こえた。

(なんかいいな)

大したことではないのだが、ちょっとだけニヤけてしまう涼であった。



「まず、ストラゴイですが、陽の光は苦手です。苦手ですが、行動できないわけではありません。そうですね……能力がだいたい半分程度になるという研究があります。ただ、今回は鬱蒼とした森の中ということなので……」

「ああ、だから被害者は東の森なんだな。そして、村にまでは出てこない」

グラハムの説明に、ヒューがかぶせた。


「そうだと思います。もちろん、夜や雨、曇りであれば森の外でも普段通り活動できるのでしょうけど。あと、魔法に関してですが、光属性が苦手などと言う話は聞いたことが無いですね。ストラゴイは、魔法を行使することは出来ないのですが、特に弱点となる属性もありません」

グラハムは一息でそこまで説明すると、コーヒーを一口啜った。


「また、体内に魔石も持っていないため、確実に倒すには、首を刎ねるしかありません。首を刎ねれば確実に死にます」

そういうと、グラハムは右手を首の前で横に引く仕草をする。

首を刎ねる仕草は、世界が違っても共通しているらしい。


「それで、ヴァンパイアの方ですが……魔法の弱点が無いのはストラゴイと同じなのですが、全属性行使できます」

「え……」

「全属性?」

エトと涼が絶句する。

それを見て、グラハムは開示した情報が誤解を生んだことを理解する。


「すいません、全属性とは言っても、一個の個体が全属性を行使できるわけではありません。個体ごとに、行使できる属性が違います。火属性の魔法を使うヴァンパイアもいれば、土属性を使うヴァンパイアもいる、という感じです」

「人間みたいだな」

「ええ」

ヒューの感想に、顔をしかめてグラハムが同意した。


「教会の教えの中で、ヴァンパイアは『闇に生まれた人』という教えを掲げている宗派もあります。ヴァンパイアも、体内に魔石は持っていないため、魔物だとは分類できません。ですが、長い歴史の中で人に敵対してきた種族ということもあり、西方諸国の人間の多くが様々な感情を抱いていますね。また、奴らは貴族制度を取っていると言いますか……上は公爵から下は男爵まで分かれています。概ね、階級がそのまま強さに当てはまると考えてもらっていいです」

グラハムは、冷静に説明を続ける。

「伯爵以上は、相当な化物です。とはいえ、ここ百年以上、西方諸国でも伯爵以上のヴァンパイアとの遭遇例はほとんどないと言われています」


誰も一言も発せず、グラハムの説明を聞いている。

中央諸国の者にとってみれば、かなり貴重な情報なのである。


「ヴァンパイアは、どんな魔法を使うかは対峙してみるまで分かりませんが、どのヴァンパイアも種族特性と言いますか……全属性に対して魔法抵抗が極めて高いです」

「全属性抵抗……」

グラハムの説明に、思わず涼がゲーム的知識を呟く。


「そのため、ヴァンパイアとの戦いは、魔法職は支援に回り、近接職が倒していくということになります」

「つまり、ローマンとヒューさんに期待ということですね!」

「俺か……現場離れてだいぶ経つんだが……」

涼の言葉に、ヒュー・マクグラスは大きなため息をついて言った。



だが……、

「あの、リョウさんも剣で……」

「僕は魔法使いですから!」

王都で、剣士で勇者のローマンと剣での模擬戦を散々行っていた涼が、近接戦の要員に入っていないことにグラハムが首をかしげて問いかけ、それに堂々と魔法使い宣言をして胸を反らして答える涼。


「そう言えばリョウは、セーラとも剣で模擬戦をやっているんだろ? そこらの騎士など足元にも及ばないんじゃ……」

「僕は魔法使いですから!!」

ルンで、天才剣士アベルをすら上回るといわれる剣の使い手、セーラと模擬戦を散々行っていた涼が、近接戦の要員に入らないのは変だろうとヒューは問いかけ、それに堂々と魔法使い宣言をして再び胸まで反らして答える涼。


「そもそも……本物のヴァンパイアがいるんでしょうか」

そんな不毛な問答を、一息で切り裂く問いを放ったのはエトであった。

「ストラゴイがいるのは確かなようですが、ヴァンパイアは結局確認されていないのですよね」

「確かに確認されていません。ですが、ストラゴイはヴァンパイアがいなければ生み出されませんし、そのヴァンパイアが何らかの理由で死ねば、その眷属たちも死にます。つまり、ストラゴイがいるということは、最低でも一体のヴァンパイアは近くにいると考えるべきですね」

エトの問いに、グラハムは何度か頷きながら答えた。


全属性の魔法抵抗を持つ厄介なヴァンパイアがいることは、確定したのである。


「一体でも厄介な相手であることに変わりはありませんがね」

グラハムは小さな声で呟くのであった。


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『水属性の魔法使い』第三部 第4巻表紙  2025年12月15日(月)発売! html>
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