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水属性の魔法使い  作者: 久宝 忠
第一部 第一章 スローライフ(?)
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0015 魚醤と気配

魚醤樽は、とりあえず大きな樹の下に設置された。

「地球なら、屋外に壺を並べてその中で発酵させる、というのはよくあることだし…うん、きっと大丈夫」

無理やり自分を納得させる涼。



まず樽の底にたっぷりの塩を敷く。

その上に、適当に切り刻んだ解凍ピラニアを4匹分敷く。

ピラニアを全部覆うようにさらに塩を敷く。

その上には、バナナの葉っぱの様な広い葉っぱを乾燥を防ぐために並べてみた。

そして、蓋として、樽に使った木の残りを上にかぶせる。

それで終了。

魚醤樽の完成である。

これで、上手くいけば数か月後に魚醤が溜まるはず…多分。



久しぶりに、魚の塩焼きと白いご飯を食べた。

当初は、鮎やニジマスなどを想定していたのだが、諸事情によりピラニアの塩焼きであった。

であったのだが、これがびっくりするくらい美味しかったのである。

基本的にお肉大好きな涼であるが、たまには魚も食べたくなることもある。

そんな時、また食べたくなったら、南の河に取りに行くことが決定した。

動物を投げ込めばピラニアが集まってくることは分かったわけだし。


大満足の晩御飯、そしてゆっくりお風呂に入って、最後は魔法の練習をしながらまったりである。


睡魔が襲ってくるまで、基本的に氷の生成を主に行う。

氷の生成であれば、いきなり眠ってしまっても、融けて水浸し、になることはないからだ。

眠っている間も、魔力線が繋がっているからだと涼は思っている。

これが水だと…、

「あれ? 水だと、本当に水浸しになっちゃうのかな? なんかそんなイメージを持ってたから試してないけど」


例えばウォーターボールを生成して、部屋の中を右に左に動かしているときに眠ってしまったら…床に落ちてウォーターボールの形が崩れてびっしょり。

そういうイメージだったのだが…例えばアイシクルランスを生成して、部屋の中で動かしているうちに寝落ちしてしまった場合。

次の日の朝、目覚めると、アイシクルランスは空中に浮いたままになっている。

ということは、ウォーターボールも空中に浮いたままその形を保っているんじゃ?

「とはいえ、もしものことがあったら怖いから試さないけどね」

まだまだ水属性魔法には分からないことがいっぱいであった。



「明日は、今日切り出した木から、いっぱい箱を削り出そう」

水属性魔法を使って、氷の箱を作りだし、その中にいろいろ入れているが、

もしも何らかのトラブルが起こって、完全に魔力切れを起こしてしまうと…全ての氷の箱が融けだす。

魔力線が切れ、魔力の供給が途絶えると、普通の氷になってしまうのだ。

即、水になってびしょびしょに、というわけではないが、融けるのは避けたい。


そう、一度経験しているのだ。

水浸しになった、青いコショウの実たちの救助を…。


まだ時間があるから、今から少し切り出してきてもいい気がするのだが、

「夜の森はやっぱり怖いから」

そう、いつの時代、どこの世界においても、夜の森は人の生きる世界ではない。

それは地球も『ファイ』も、きっと変わらない。


基本的に、人は『視覚情報』と『聴覚情報』で周囲の状況を理解する。

夜の闇は、人から視覚情報を奪う。

聴覚情報だけで状況を理解するのは、普通の人間には不可能なことである。

魔物にしろ動物にしろ、人よりも耳がいい生き物は多い。

その上、蛇や蝙蝠の様に、人には無い器官によって情報を得ることが可能な生き物もいる。

そういうものがいる夜の闇は…やはり人が入っていくべき場所ではない、涼はそう思っている。

少なくとも今は。



「そういえば、『気配』とかがわかる人がいるらしいけど…あれは何だろうねぇ」

第六感ならまだわかる。

それまで経験してきた経験、記憶されている情報、それらを無意識のうちに判断をして、脳が判断してくれるのであろう。

涼はそんな認識をしている。

直感、あるいは違和感と同系統のものだろうと。

だが、気配は…見えないはずの視線を感じたりするわけだし…やっぱりよくわからない。

「もし風属性魔法使いだったら、気配とか見えない相手を感じる魔法とかを作れそうだよねえ」


パッシブソナーの原理である。


自分からピンガーを放って、反射して返ってくる情報から相手の位置や周囲の状況を探る『アクティブソナー』とは違って、自分からは何もせずに相手が動く際に生じる周囲の何らかの変化から情報を得るのが『パッシブソナー』である。

こちらは何も発しないので、相手にはこちらの存在を気取られない。


以上は水中での、潜水艦におけるお話であるが、それを地上で、海の水の代わりに空気の流れを使って、相手の情報を知ることが出来るのではないか。

風属性魔法使いなら、やれそうな気がする!

もちろん涼は、水属性魔法使いだが!

「ブレイクダウン突貫といい、風属性魔法使い、ちょっと憧れる」


ブレイクダウン突貫…『三体分身からソニックブレードを放ち、後を追う形で突撃攻撃を行う技』のことらしい…。

普通、風属性魔法使いでもそんなことはできないのだが。


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