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水属性の魔法使い  作者: 久宝 忠
第一部 第七章 インベリー公国
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0113 <<幕間>>

極めて短い幕間(いわゆるSS)ですので、本日二話投稿の一話目です。

デブヒ帝国帝都マルクドルフ。


その日の午後、帝国執政ハンス・キルヒホフ伯爵は、急報を皇帝ルパート六世の元に届けた。

「陛下、昨日の報告通り、ウィットナッシュの件、襲撃者が暗殺教団の者たちであったことが確定いたしました」

「やはりか。だが、あやつらには金を払って、例の計画を遂行させておるであろう?」

ハンスの報告に、ルパートは小さくため息をついてうなずいて言った。


「はい。王国東部の件ですね。それとは別の仕事として、ウィットナッシュも引き受けていた様です。まあ、金を払えば何でもする者たちですから……両方から金をとり、両方の仕事を行っているだけだそうで」

「なんとも忙しい奴らだな。だがそうなると、お灸を据えるわけにはいかんか。ウィットナッシュの件は腹立たしいが、王国東部への活動は、まだまだこれからも続けてもらわねばならぬからな」


そう言うと、ルパートは紅茶を一口だけ、口に含む。


「おっしゃる通りです。そのため、昨日提案しました通り、『山の長老』に直接確認するため、奴らの本拠地アバンの村に人をやりました」

「ああ、そう言っていたな。もし事実であれば、直接首領に事の真偽を問いただすと。奴らも、我らが本拠地を知っておったことに驚いたであろう?」


ルパートがそういうと、なぜかハンスはその後の言葉を言い淀む。

それは極めて珍しい事であった。


「どうした?」

ルパートが再度促すと、ハンスは意を決して口を開いた。


「はい。それが……アバンの村なのですが、全て凍りついておりました」

「……なに?」

「村全てが、凍りついておりました」



それを聞いて、ルパートはたっぷり五秒間、無言であった。



最後にカップに残った紅茶を飲み干してから、ゆっくりと口を開いた。


「天変地異か、何か我らの知らぬ魔物の仕業か……そうでなければ、化物じみた魔法使いでもいるのか……。そうか、オスカーが不覚を取った魔法使いがいたな」

それを聞いて、ハンスは驚愕した。


「まさか……村一つを凍りつかせるほどの魔法使いですか……」

「ふん。オスカーも、怒り狂えば街の一つくらいは業火の元に焼き尽くすだろうよ。それの氷版ということだ。しかし……まさかこれほどとはな。オスカーの報告、もっと真剣に聞いておくのであったわ。我の失態か」

後半は、ハンスにもほとんど聞き取れないほどの呟きである。


「ハンス、早急に、その水属性魔法使いについて調べよ。今回の情報、皇帝魔法師団に回し、オスカーからも直接、その水属性魔法使いの情報を取れ。よいな、しかと命ずる」

「ははっ」


本日21時に、短い幕間『0114』を投稿します。

涼たちのその後です。

幕間続きですいません……。

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