表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水属性の魔法使い  作者: 久宝 忠
第一部 第七章 インベリー公国
116/930

0105 ぜったいぜつめいの涼

シャーフィーの胸からタトゥーを剥ぎ取った翌朝。

意識のあるまま<氷棺>に囚われていた賊は、マックスらによって情報を引き出されていた。

これまでの暗殺者たちは、口を割る気配も無かったのであるが、一晩氷漬けになったのが効いたのか、問われたことには素直に答えた。


だが、得られた情報は多くは無かった。



まとめると……、


自分たちはレッドポストに拠点を持つ部隊である。

昨晩の侵入は、タトゥーが発動したという知らせを受け、その者がタトゥーによって死んだことを確認するのが主目的。

ただし、その場に現在のところの最優先目標であるゲッコーがいたために、そちらの襲撃も同時に行った。

ゲッコー暗殺の理由は知らされていない。

王国東部地域の活動として、ロー大橋崩落、スランゼウイ襲撃後は、最優先目標がゲッコー暗殺となっている。

レッドポストに現在いるのは、自分たち三人だけである。

他の街、どこに何人いるのかは知らされていない。


以上。


これで全てであった。



街中での襲撃ということもあり、情報を引き出した後、治安を司る守備隊に引き渡された。


「だいたい予想通りでしたね」

「ゲッコーさんの命が最優先……」

「タトゥーにはいろんな機構が組み込まれていますね」

ゲッコーの感想、マックスの決意、涼のタトゥーへの感心……ひいては錬金術への感心。


とりあえず、何事も無かったかのように、大盛り朝食を食べるシャーフィーを、三人三様に見つめるのであった。




ゲッコー商隊は、宿で朝食を食べ、国境の街レッドポストを出立した。

レッドポストは、ナイトレイ王国最東端の街で、南東に、インベリー公国との国境がある。


レッドポストを出る時から、隊列に少しだけ変化があった。

涼とシャーフィーが、先頭の荷馬車脇に配置が換わったのである。


先頭の荷馬車は、御者台にゲッコーがおり、歩きながらの護衛にマックスがいる。

要は、約束通り命を救ったシャーフィーから、ゲッコーが情報を貰うための配置転換であった。

涼は、そんなシャーフィーのお目付け役である。



「リョウ……さんがお目付け役ってのが……なんか……」

シャーフィーが、横を歩く涼を見ながら言う。

「シャーフィーは、何か文句があるみたいですね」

涼は気にすることなく歩いている。


「俺の心臓って、多分、まだ氷の膜があるんだろ? それって、リョウ……さんがその気になれば、すぐに心臓を握りつぶしたりとかできるんじゃないのか?」

「さあ? 試したことが無いからわかりませんね。ちょっと試してみますか?」

「いや、それは勘弁してくれ」

シャーフィーの確認に、涼も確認してみようかと提案する……ただし交渉はうまくいかず。



「シャーフィー、人間の身体は六割以上は水です。その水は、身体の隅々まで浸透しています。ですから、水属性の魔法使いにとってみれば、わざわざ心臓を潰さなくても、腱を凍らせるだけで、簡単に動きを止めることが出来るんですよ?」


「う……指が動かない……」

涼が言った瞬間に、シャーフィーは指を動かすことが出来なくなった。

「これなら、シャーフィーが突然暗殺者に戻っても、他の人に危害を加える前に制圧することが可能ですね」

涼は満足したかのように、何度も頷いた。



シャーフィーは、そんな涼を、人ではない何かを見るような目で見ている。



それを御者台から聞いていたゲッコーが助け舟を出す。

「シャーフィーが悪いことをしなければ、リョウさんは何もしませんよ。そうでしょう、リョウさん」

「もちろんです」

涼は大きく頷いた。


「よかったですね、シャーフィー」

「ゲッコーさんに感謝しましょうね、シャーフィー」

ゲッコーの笑顔、涼の笑顔。

どちらもシャーフィーには不気味な笑顔に見えるのであった。




移動している間は、常にシャーフィーへの尋問、もとい情報共有の時間である。

もちろんシャーフィーも、タトゥーを剥ぎ取り命を救ってもらった恩義に報いるために、積極的に情報共有に協力している。

その辺りは、悪い奴ではなさそうだ。

元暗殺者だけど。



そもそも、シャーフィーに教団本部から与えられた主目的は、王国東部第二の都市スランゼウイの破壊活動であった。

そのため、このゲッコー商隊を襲ったのも、そのスランゼウイでの襲撃が初めてであり、その前に襲った部隊があるという話は聞いていなかった。



「スランゼウイの破壊活動と、ロー大橋の崩落は関係があるのだと思いますが、何が目的なのでしょうか」

「ああ、詳しいことは俺も分からな……いや、リョウさん、待て、マジで知らないんだってば。その、手をニギニギするのは、文字通り心臓に悪いからやめてくれ……。ただ、その二つを含めて、この先も王国東部への破壊活動を増やす、って話はあった」


ゲッコーの質問に、素直に答えるシャーフィー。


「それは、どこかからの依頼ですか?」

「ああ、もちろんそうだ。まあ、内容からも分かると思うが、かなり大口の依頼で、支払われる金額も莫大なものだと言っていたな。そんなことが出来る組織となると、そう多くは無いだろ?」

「連合か帝国……」

「デブヒ帝国!」


シャーフィーの説明に、考えられる現実的な候補をあげるゲッコー。

そして、一部の語句に過剰に反応する涼。



「インベリー公国にも、教団の拠点はありますよね?」

ゲッコーのこの問いに、シャーフィーは渋い顔をした。

「ああ……」

仲間を売る、とまで言わなくとも、やはり気が引けるであろう。

自分の手で、先日まで味方だったものを危地に追いやるのは。


「言いづらいですか?」

「いや! 問題ない」

ゲッコーが優しく問いかけるが、それに対するシャーフィーの反応は、何かを割り切ったものであった。


自分が、元の仲間たちからすれば裏切り者と呼ばれる立場になったのは、受け入れていた。


「公国内全ての街に拠点がある。たいてい、詰めているのは三人だ。ただ、公都アバディーンだけはそれなりに大きくて、二部隊、二十人ほどがいるはずだ。場所については、公都に着いてから言う」

その答えを聞いて、ゲッコーは深く頷いた。



シャーフィーを味方にして、最も欲しいと思っていた情報の一つが、公国内の教団アジトだったからだ。



「ちなみに、教団の本部は、どこにあるのですか?」

「本部は、ナイトレイ王国内にある」

ゲッコーの問いに、シャーフィーは何でもないかのように答えた。

だが、その答えは、王国に住む涼には聞き捨てならない答えでもあった。


「王国のどこですか!?」

「いや、言うから、答えるから、リョウさん、その手を握り締める動作はやめて……」

涼の激した質問とそれに伴う動作に、涙目になるシャーフィー。



「王国東部の小さな村だ。東部最大都市ウイングストンから、北に徒歩で一日。山の上にあり、アバンの村と呼ばれている。その村に住むのは、全員教団の人間だ」

「王国東部……まさかそんな近くにいたなんて……」


シャーフィーの答えに、愕然とする涼。

王国東部と言えば、それこそ今日まで通って来た場所である。


ウィットナッシュで十号室のニルス、エト、アモンと戦い、この護衛の最中にも何度も襲ってきた暗殺教団。

また襲ってくる前に叩くべきではないか?

「依頼中じゃなければ、今から行って潰してくるのに! 暗殺教団、運がよかったですね!」


涼が悔しがる姿を見て、シャーフィーは呟いた。

「ホントにやりそうだから怖い」



ふと思い出したように、シャーフィーは涼に言った。


「リョウさん、あんたの水属性魔法は確かにとんでもない。だが、教団の首領も規格外だ。もし対峙することになったら気を付けなよ」


「シャーフィー、ちょっと確認したいのですけど、あなたの胸に彫り込んだタトゥー、あれって錬金術だって言ったじゃないですか?」

「ああ、言ったな」

「その錬金術は、教団の首領が?」

「そうだ。錬金術と土属性魔法に秀でている」

「それはどっちも欲しいスキルですね!」



もちろん、倒したからと言ってスキルを手に入れることなど出来ない。

『ファイ』にはそんな仕様はない。

倒しても手に入れることは出来ないが、錬金術関連の資料とかあるのではないだろうか……。少なくとも、あのタトゥーに使われた錬金術は、涼が図書館で調べた中には存在しなかった。


ちなみに、剥ぎ取ったタトゥーは、氷棺で氷漬けにして、いつもの肩掛け鞄に入れてある。

涼が研究材料にと、ゲッコーに頼んで譲り受けたのである。

今回の『手術』における特別報酬であった。



そんな、いろいろな想像を膨らませてニヤニヤしている涼を、シャーフィーは横目に見ながら再び呟いた。

「倒しても……魔法とかは手に入らないよな? だよな? リョウさんは別、とかそんなこと、ないよな?」

疑心暗鬼に陥った、元暗殺者が一人……。




ゲッコー商隊は、特に問題なくインベリー公国への入国手続きを終えた。


ゲッコー自身、公国で最も有名な商人であり、非公式に公爵の貿易顧問とすら言われているほどの立場である。

その商隊なのだから、ほとんどフリーパスである。


「元暗殺者が国境フリーパス……」

「あくまで、『元』だからな、『元』。今じゃまっとうな、商隊の護衛だからな」

涼の呟きというには大きすぎる独り言に、激しく反論するシャーフィー。

それを御者台から微笑みながら見ているゲッコーと、しかめっつらで首を横に振りながら歩き続ける護衛隊長マックス。



「あ、そうだ、シャーフィーに聞きたいことがあったのですけど……ゲッコーさん、今聞いてもいいですか?」

「いいですよ。私は、とりあえず聞いておきたいことは、だいたい聞きましたので」

ゲッコーの質問がやはり最優先である、それくらいのことは理解している涼。

雇い主の意向は大切。



「リョウさんの質問とか、恐怖しか感じないんだけど……」

シャーフィーのそんな言葉を聞いて、劇画調の顔で愕然とする涼。


「今まで、めっちゃシャーフィーのために尽くしてきたのに……なんという言い草。やっぱり一度心臓を潰した方が……」

「ほら、それ! それが怖いっつーの! そもそも、なんでタトゥーを剥ぎ取ったのに、心臓の周りに氷の膜が張ったままなのさ」


「裏切った時に、すぐ対応できるように」


「あ、はい……信用されてないとは思っていたけど……リョウさんが、俺を全く信用していないということは嫌というほど理解しました」

うなだれるシャーフィー。



「で、質問なんですが?」

「ああ、はいはい、俺が沈んでいるのに空気読まないで質問、どうぞ!」

涼の問いかけに、半分やけになって答えるシャーフィー。

「暗殺教団って、どうしてウィットナッシュであんな襲撃を行ったの?」

「え?」



涼の問いに、演技ではなく顔の表情が抜け落ちるシャーフィー。

その変化は、マックスもゲッコーも驚くほどのものであった。


「り、リョウさん……なんでウィットナッシュの件、教団がやったことだと知っているんだ?」

「あれ? 何か変なこと聞いた?」

「あれは、教団でも、実行した奴ら以外だと、俺ら幹部じゃないと知らないはずなんだよ。それを、なんでリョウさんが知っているんだ?」


シャーフィーの表情が、畏怖と怒りがない交ぜになったものに変わっていた。



畏怖は、知られるはずのないものを知られていることから。

怒りは、それを誰かが漏らしたのか……漏らした者への怒りだろうか。



「何で知ってるかというと、現場にいたから。帝国の皇女様を狙ってたでしょ。おかげで僕のルームメイトが巻き込まれてしまって……。まあ、暗殺者、倒してましたけどね」

涼が何でもないという感じで答えを披露する。


「皇女様を狙ったことまで知ってるのかよ。だがすまんが、俺は詳しくは知らないんだ。あれは、側近の『黒』が中心になってやった作戦でな……かなり大規模なやつだったが、結局どれくらい成功したのかも俺らには知らされなかった……」

シャーフィーは申し訳なさそうに答えた。涼が見たところ、嘘をついている様には見えないが……。



(王国東部で破壊活動をし、ウィットナッシュでは帝国の皇女様含め各国要人を襲撃し……めちゃくちゃなことをやってるようにしか思えないや……)



その後、十日間かけて、一行はインベリー公国の公都アバディーンにたどり着いた。

不思議なことに、インベリー公国に入ってからは、一度も襲撃されなかったのである。

まるで、別の優先目標でもできたかのように。


とはいえ、涼、ラーたちにとって、二十二日間にも及ぶ護衛依頼は、終わりを迎えようとしていた。




公都アバディーン、ゲッコー商会本館前。

「無事、辿り着くことが出来ました。リョウさん、『スイッチバック』の皆さん、本当にありがとうございました」

そういうと、ゲッコーは丁寧に頭を下げた。

雇い主に、そんなに頭を下げられては、涼もラーたちも若干困ってしまう。


「私共は、このまま公城に荷物をお届けに上がります。そのため、たいしたおもてなしも出来ませんが、商会の方にわずかばかりの心づけを準備しておりますので、お受け取り下さい」

そういうと、ゲッコーは、マックスと、なんとかその部下に収まったシャーフィーを率いて、公城へと向かって行った。


ちなみにシャーフィーの心臓周りの氷の膜が、きちんと消去されたことはここに明記しておく。

消去された時、シャーフィーが喜んだのは言うまでもない。




涼と『スイッチバック』の面々は、ゲッコー商会で心づけ、つまりちょっとした臨時の報酬をもらい、ホクホク顔であった。


「よかったわね、ラー。あんたリーダーのくせに、ギルド口座からお金下ろさないで国外に出ようとしてたでしょ。危なかったわぁ。あのままだったら、私たち、この心づけだけで王国まで戻る羽目になってたんだからね。そんなの絶対無理じゃん、ねぇ」

「悪かったよ。ギルド口座の金は、自国内でしか下ろせない……つい忘れちまうんだよな。あぶないあぶない」


スーとラーが喋っている声が涼の耳に入り、涼はその内容を理解すると、まるでギギギギギギという音でも立てるかのように、二人の方を見たのである。



その目は大きく見開いていた。



「リョウ……まさかその表情は……おろし忘れたのか?」

「ソ、ソンナワケナイデスヨー」


涼の表情は無表情になっていた……。




「リョウ、手持ちのお金は?」

「金貨一枚と大銅貨二枚……」

「一万二十フロリン……。国境、越えられないわね」

ラーが問い、涼が答え、スーが結論を下す。


だが、そこでラーが思い出して問うた。

「あれ? リョウ、ゲッコーさんから、『よくやった』って、特別報酬貰ったって言ってなかったか?」

ラーが思い出したのは、涼が最初に暗殺者を氷棺に捕らえ、マックスがその胸のタトゥーをえぐり取った件である。


「はい……大金貨一枚……」

「おぉ、十万フロリン! で、それは……?」

涼が答え、スーが感心して問う。


「……次の街ですぐに口座へ」

「ああ……」

うな垂れて答える涼。

異口同音に悲しみの言葉を発するスイッチバックの面々。


十万フロリンもの大金を持ったまま、護衛依頼なんて怖すぎる!

涼のその気持ちは、冒険者なら誰しもわかった……。

だから、誰も責めない。



「す、少し貸してやろ……」

「いいえ! それはダメです! お金の貸し借りは、良好な関係性を破たんさせる毒物です!」

「お、おう……」

ラーが貸してやろうとするのを、涼は止めた。

そのあまりの剣幕に、ラーも引き下がる。


「まあ、借りないで国境を超える一番現実的な方法は、王国への護衛依頼を受けることよね」

「なるほど!」

スーが、涼が最も求めていた答えを示してくれた。


「公国は、王国との関係は良好だし、この二国は交易も盛んだから、護衛依頼はあると思う。ただ、行先が……」

「まさかデブヒ帝国?」

「そんなわけないでしょ。前から思ってたけど、リョウってかなりな帝国嫌いよね。まあ、行先は多分、王国東部最大都市ウイングストン。私らが通って来た東街道よりも、少し北の方にあるの。だから、そこから南部のルンの街に帰るのも、また少し厄介だけど……」


「ええ、背に腹は代えられません。王国内に入れるのなら、何の問題もないです!」

スーは、少し申し訳なさそうな顔であったが、涼としては多少の地理的な問題など、たいしたことはない。

王国内に入りさえすれば、お金はどうにかなるのだから!



「でも、一つ大きな問題があるわ」

「なんですか?」

「それは、国境を越える護衛依頼が、D級でも受けられるかということよ」

スーの言葉に、完全に言葉を失う涼。


「私たちや、ルンの街であればリョウの実力は知って……いや、正確には実は知らないけど、C級以上あるというのは知っているから、いろいろ口を利いてもらえる。今回みたいにね。でも、他国であるインベリー公国だと、そういうのはないと思うのよ」


スーは顔をしかめていた。

スーだって、こんなことは言いたくないのだ。

だが、事実は事実である。



「スーさん、ありがとう。まあ、とりあえず、ギルドに行ってみるよ。D級で受けられる、国境を越える護衛依頼を探しに」

涼はそう言うと、歩き出そうとした……が……歩き出せなかった。


「……そうよね、ギルドの場所知らないもんね。私たちも知らないもん」

そう、ここにいる誰もが、公都アバディーンの冒険者ギルドの場所は知らなかったのである。



この後、涼と『スイッチバック』の面々は、ゲッコー商会でギルドの場所を聞いてから、向かうのだった。


次話『0106』は短めの幕間(いわゆるSS)です。

そのため、明日(21日)9時に投稿します。

そして、21時に、本編である『0107 連続護衛依頼』を投稿します。


よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『水属性の魔法使い』第三部 第3巻表紙  2025年7月15日(火)発売! html>
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ