表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/174

06【騎士団】

サラリーマンは王様や老人達に挨拶を済ませ、

花音ちゃんと奏太に「頑張れよ!」と声をかけている

(私はもうそうたと呼び捨てに決めた)


大広間のステンドグラスの向こうは、すっかり暗闇に包まれ夜の訪れを告げていた


サラリーマンは私の近くに来ると、クスリと笑いながら耳元で囁く


「 まんまと嵌められたな。ま、気をつけろ?」


んん? 嵌められた?

それはどういう意味 ??


「 それでは俺はこれで失礼するよ!ラグドール王国に栄光あれ!」


サラリーマンはなんだか台詞めいたことを言って、魔導師長と部屋を出ようとした


ふと彼は立ち止まると振り返り、私たちの更に奥の方を見つめる。だけど小さく首を振って、今度こそ扉の向こうへと消えていった。


残された私たち3人は、振り返った彼が最後に何を見たかは分かっている


そう、彼が見つめたのはあの宝石箱だ


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「 さて、それでは改めて礼を言おう。この世界の為にそなた達が力を貸してくれる事、心から感謝するぞ」


王様は3人の顔を順番に見てそう言った


ねぇねぇ、私ってここに並んでて良いのかしら?


「 この国にいる間、其方達に不自由はさせん。それぞれにこの城の部屋を与え護衛の騎士をつけよう。城の外に出た時は彼らが君たちを必ず守る。身支度や食事などの世話は侍女を用意する。…… ちょうど良い、今ここに我が国を誇る騎士達が揃っている。一人一人好きな者を選ぶがよい。」


王様は実に清々しい笑顔で騎士たちの方へ右手を広げた


いやいや、ホストクラブじゃないんだから


って言うか、ここの王様は選ばせるのが好きだよね?

さっきもチラッと見たけど、どの騎士さんも王様が自慢するのも頷けるほど顔面偏差値が高い。けどそれと剣の腕とかは比例するのかしら?それに選ぶっていっても本人達を前にして選びにくくない?

それならいっそ、王の権限で「キミはこの人ねー。」って勝手に選んでくれたら良いのに


それに私は好きでここに残った訳じゃない

騎士の護衛は断った方が良いのだろうか?

 でもそうすると、ますますここに居づらい状況になりかねないわよね。 それとも騎士の護衛を断らなかったら石集めを承知したと思われるの?

だったら今すぐ断らなきゃダメかもしれない

うーん …… いやぁ〜 …… でもぉー …… と頭を抱えてしまう


「 僕はあの女性の騎士さんがいいです!!」


「 あっ!じゃあ私は 二番目の …… ハイ!その方をお願いします!!」


 奏太が選んだのは、先ほど私に笑顔を見せた女性の騎士さん。長いウェーブがかった髪を腰まで伸ばした迫力のある美人さん


 花音ちゃんが選んだのは、浅黒く焼けた肌の金髪の美形。快活そうな外見に反して顔の作りは繊細。

 花音ちゃんの方に軽く手を挙げて「よろしく」と笑顔を見せている


ええっ!! 二人とも選ぶのはっやッ!!

まるでファーストフードの注文みたい


「 セナ殿はどうする?」


ん?と王様が首をかたむける


「 あ、あの …… 私はお城からそんなに遠くへは行かないかもしれませんし、ある程度は自分の身は自分で守れますので …… 護衛とか …… 必要でしょうか??」


最後の方は小さい声になってしまった。

別に狙ってるわけじゃないけど、なぜか私が発言すると場の空気が急速に冷え込む


「 セナさんそれは考えが甘いよ〜!ここは日本じゃないんだからさぁ。魔物なんて見たことないでしょう? だいたい衣食住お世話になっといて、石は探しませんとかありえないっしょ」


「 そうですよセナさん!一緒に頑張りましょう!

 今までの生活だったら、こんなイケメン達に守ってもらうとかありえませんよ!? 運命的な出会いがあるかもしれないじゃないですか 〜!!」


うぅ〜 花音ちゃんちょっとズレてる

そして珍しく奏太は大正論。確かに魔物は見たことないのよね

そしていま私が非常識人間なのね ー?

おかしいなぁ、どうしてこんな感じになっちゃったんだろ?


「 王様、セナ様のお相手は私ではいけませんか?」


じゃあどうしたらいいんだと迷っている所で、グレンという騎士が声を上げた


「 グレンか。勿論そなたなら申し分ないが ……。セナ殿、どうかな? この者はラグドール内だけでなく、近隣諸国の中でも剣の腕前は随一なんだが?」


え〜?その人ですか?

い、いやかも


他の誰でも良いけどその人は嫌

そりゃサラサラの金髪で均整のとれた顔立ちは認めるわ。絶対に自分がイケメンて自覚あるわよね?それになによそのスタイル! 剣で鍛えた肉体美? うわぁ足なっがッ!?さっきの魔法使いも美形だったけど、改めて見るとこの人も眩いばかりね。いやぁ直視できないわー


でもねー、この人さっき凄い目で私を見てたし

今だってほら、王様がこっちを見てる時は氷のような表情よ? 既になんか怒ってんじゃん!

全っ然仲良くできる気がしない。

無理無理無理

ぜぇったい無理


「 え、ええ …… 私は、どなたでも大丈夫ですけど…」


 NOと言えない日本人代表は誰??

 ハ 〜 イ!

 挙手しまぁ 〜 す!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ