part1
例の一件で家出した後、数ヶ月位一人で旅をしていたのは前にお話したと思います。その時も言ったと思いますが、私は食用の植物を採ったり、僅かばかりのお金をやりくりながら、あてもなく、ふらふらとさまよっていました。そんな状態だったので、日が経つにつれ、気力も体力も限界に近づき、ついに倒れてしまいました。しかも倒れた勢いで、崖から落っこちてしまいました。
でも、完全に気を失う前、ある男の人の声が聞こえてきたんですよね。
「親方!空から女の子が!って言っても誰もいないが可愛いロリっ子が落っこちているのは事実だ……まあ、助けるのが筋だな……!!」
はい、変態が滲み出ていました。本当にありがとうございました。
まあ、そんなこんなで数時間後には、近くの小屋で介抱して頂いたおかげで目覚めたわけです。が、これもまた印象的な出来事でした。
「大丈夫か?気を失っていたよう」
「うわあああ!?顔が近いです!さては私を襲う気ですね!?エッチ!!スケベ!!変態!!」
「いやいやいやそんなことはな」
「そう言いつつ顔が若干にやけているのはどういうことですか!?」
「だからそんなつもりはなーい!!」
そんなこんなで若干の口論がありましたが、誤解がなくなり、落ち着いたところで男の人は自己紹介をしました。
「俺の名はリョーヘイ。いろいろあって旅をしているところだ。君は?」
「私の名前はマリーと言います。よろしくお願いします」
「マリーか。んで、どうして一人でぶっ倒れて崖から落っこちるようなことになったんだい?」
さすがに初対面の人にすべてを話すのは気が引けるので黙っていました。が、彼は優しい口調で、
「まあ、人に言えないような事情があるんだな。とはいってもこのまま一人でいるのは大変そうだな……そうだ、一緒に来ないか?」
こう誘ってくださいました。が、あまりにも都合の良い提案だったので、私はつい疑ってしまいました。
「大丈夫なんですか……?こんななんの役にも立たなそうな女の子と旅をするなんて……」
「まあ大丈夫大丈夫。荷物見る限り魔法の心得が多少あると見たから、自分の身くらい自分で守れるでしょ?それに、か弱い女の子を一人旅に放り出すなんて鬼畜じゃないか。どーんと頼ってくれ!!」
「確かにそうですが……本当はどうなんですか?」
「いやさっき言った通りだよ」
一見まともな意見だとは思いました。が、その時のリョーヘイさんの顔がなにか隠してそうだったので、思いっきり揺さぶってみました。
「本当は可愛い女の子と一緒に旅をしたいだけでは……?」
「すみません半分くらいそんな気持ちがありました」
「正直でよろしいです」
この返事を聞いて、私のリョーヘイさんに対する印象はやましい心とやさしい心が入り混じっている変態さんに決定しました。
「というか自分で自分のこと可愛いとかいうんだな……」
「小さい声で言っても聞こえてますよ!?というか崖から落っこちた時に『可愛いロリっ子』とか言ってたのしっかり覚えてますかね!?」
「うぐぐ、言い返せない……」
私とリョーヘイさんの初対面はこんな感じのなんとも言い難いものでした。が、助けて頂いたのもあり、頼って欲しいとの言葉に甘え、リョーヘイさんの旅についていくことにしました。そして、旅についていくなら目的も聞いておかないと、という事で、歩くついでにきいてみました。
「旅の目的……?そうだな。簡単にいえばゼロ・ブラスフェイムを滅ぼすことだな」
「それは大きな目標ですね…」
「まあ、故郷の村で色々あって、ゼロ・ブラスフェイムのせいで多くの人が傷ついてしまったんだよね。だから、同じように傷つく人を減らしたい、ていう思いがまず一番かな」
「色々って何があったんですか?」
「そりゃあ、色々だよ」
「私には話せないような事……だったりします?」
「まーあそういう事になるかな。マリーだって人には言えない事情があって旅に出たんでしょ?」
「そうですね……」
色々だよ、とぼかして言うリョーヘイさんの顔はなんだか複雑そうでした。多分、私と同じか、それ以上に辛い出来事があったのかな、と思いました。だから、これ以上リョーヘイさんの旅のきっかけについて聞くのは控えることにしました。
だけど、リョーヘイさんにはもう一つの理由があったみたいです。
「それに、俺には人々を守る力が備わっていたからね」
「力……?」
「そう、それは……」
しかし、リョーヘイさんがその力について語ろうとしたその瞬間、
「ウケー!!」
何かの奇声が聞こえてきました。
どうやら話に夢中になって、ゴブリンの群れに囲まれていたみたいです。
「ゴブリン3体とその親玉らしきトロルが1体……どうしましょう……」
「でも体色や持っている棍棒の質からしてそこまで強くはないとみた……トロルに関しては俺に策があるからゴブリン3体に関してはなんとかしてくれ!!」
「そんな急に言われても……」
確かにリョーヘイの言う通りかも知れません。が、しかし、一人で旅をしていた時は極力戦闘は避けていたので、倒せるかどうか自信がもてませんでした。が、
「ウキャー!!」
どうやらそんなことを考えている暇はなさそうです。




