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part3

 あれから数日。

 私は一日おきにアリアさんの身体で過ごすことにだんだん慣れてきました。相変わらず元の時代の自分の体に戻れてはいないのですが。魔法の方も、魔物討伐の中や、自主的な特訓のお陰で足を引っ張らない程度には慣れてきました。

 なんでこの時代にやってきたのも分からずじまいなのも相変わらずですが、焦っても仕方がありません。毎日を精一杯生きていくことを目標に頑張っております。


 これは、その中でもある日の出来事。

 その日もいつも通り朝食を食べていたのですが、ライラスさんの口から語られたその日の予定はいつもとは違うものでした。


「今日からはノーザレア地方に旅立ち、怒りの試練の遺跡について調査しに行こうと思います」


 怒りの試練……?なんでしたっけ……あ、あー思い出しました。


「もしかして、勇者の試練の一つに挑みに行くんですね?」

「お、おとなしめアリアもそれについては知っていたのか。そうだよ。まあ改めて説明すると、勇者の試練とは、創世の勇者が北と西、南と東の地方、まあそれぞれノーザレア、ウェスティア、サウゼクス、イーストンと呼ばれているんだけど、それぞれに……」


 ヘンリーの説明は長いのでまとめると、勇者の試練とは、六つある「勇者の力」というものを手に入れるための試練で、これを揃えると、侵略者「ゼロ・ブラスフェイム」に立ち向かえる程の力を身につけられるみたいです。

 ライラスさんは、今私達がいるウェスティア地方の中心都市「セントウェスティア」の王様から、ここから近い地方であるウェスティア地方とノーザレア地方で、この力を集めてゼロ・ブラスフェイムを打倒するように命を受けた、という訳です。


「まあ、伝承には勇者の力は7つあるとか言われているらしいけどね。それの証拠となるのが勇者の力にまつわる詩らしいけど、これがなかなか興味深いものでね……一部では後世の人が適当に作った詩と言われているけど……」


 まだどうでも良さそうなこと話していますよヘンリー。


「いつも通りでいいですかねライラスさん」

「そうだな。いつも通り無視でいいな」

「え?僕が虫のように五月蝿いから黙っていろ、だって?ひどいなあ。勇者の力について有益な情報をただ喋ってるだけだというのに。あ、そうそう、この詩はねえ……」


 そしてどうでもいいところでつっかかかってきて、私達の思いなど関係なくただただ喋りたいように喋る。本当、うざったいですね……


「でも、ごくごく稀にすげえ情報持ってくるから憎めないんだよなあ」

「そうですね……」


 ふたりで苦笑い。実際なかったらなかったで寂しんですよね……ってこれはまさかマシンガントーク中毒にさせるヘンリーの罠ですか!?まあそんな訳ないですよね。


「そしてライラスさん、これで何個目の勇者の力ですか?」

「あ、そこは分からないんだね。えーと、今まで入手してきたのは、『勇者の一撃』『勇者の護り』『勇者の雷撃』『勇者の福音』だから、これで五つ目かな。『勇者の終擊』の試練に挑むには残りをまずそろえないといけなかったんだけど、今回の『勇者の怒り』を手に入れれば行ける寸法、てわけよ」


 結構集まっていたんですね。


「そして今回の旅の道程はどういう風にするんだ?」


 あ、ガンドウさんが今日初めて口を開いた。


「はい。『勇者の福音』を手に入れる時は、セントノーザレアを中心にノーザレア地方の東側を探索したので、今度は西側を調査しようと思っています。まだ未踏の地なので、セントノーザレアからは転移の石が使えず、徒歩で数日かけての移動となりますが、まあ頑張って行きましょう」


 あれまあ徒歩移動ですか……そういえばこの時代にやって来てから、一日中歩きっぱなし、という日はありませんでしたね……今までは遠くに魔物討伐に行くとしても転移の石を使った日帰りツアーだったので、体力が心配です。

 と、いう訳で、アリアさん、ひいては自分の体力についてライラスさんに聞いてみると……


「元のアリアはひいひい文句言いながらだけどちゃんと歩ききっていたから大丈夫じゃない?」


 とのことでした。これどうなんでしょうか。まあ、頑張れ、という意味で受け取っておきましょう。さて、ヘンリーは……


「二の力、それは護りの力。皆を守るとの想いは壁となり現れ護るべき者を護る盾となる。三の力、それは雷の力。多勢に無勢となり絶望に置かれても諦めない心が雷を起こし、悪を打ち砕く。四の力、それは祝福の力。自然ならざる手によって奪われた命は、この力による祝福によって再び生を得られる。五の力、それは怒りの力。悪を許さぬ強い怒りは己が身を奮い立たせ、強き力となりて現れる……」


 あ、これのことですかね?勇者の力に関する詩って。まあすごくどうでもいいですが。

 延々としゃべり続けるヘンリーを横目に私たちは朝食を食べ終え、早速セントノーザレアへと向かう準備をします。

 魔道解放をメインとする関係上、最近は魔導書と杖をすぐに切り替えられるようにものの持ち方を工夫し始めました。

 ちなみにあのおっぱいを際立たせる露出度高めの魔女衣装に関してですが、私が暇を見つけて露出度低めの服を買っても次に目覚めた時にはなくなっている、ということが何回も起きたので諦めました。

 ライラスさんによると、「こんな服着るなんてあたしじゃねえ!」とアリアさんは叫んでいたようです。ナイスバディを強調するのが趣味なんですかあの人は。


 そんなこんなで、準備をして、私達はノーザレア地方に向かって出発しました。ヘンリーは集合時刻ギリギリになって慌ててやってきたことは言うまでもありませんよね。



[解説]

勇者の詩フルバージョン載せときます。どんな能力なのかはこれ見れば大体察せると思います。

ヘンリーの言ってた七つ目についても記述があります。


この世界に、七つの勇者の力有り。


一の力、それは始まりの力。勇者としての決意と共にその身に宿り、その決意は剣を纏い悪を祓う力となる。


二の力、それは護りの力。皆を守るとの想いは壁となり現れ護るべき者を護る盾となる。


三の力、それは雷の力。多勢に無勢となり絶望に置かれても諦めない心が雷を起こし、悪を打ち砕く。


四の力、それは祝福の力。自然ならざる手によって奪われた命は、この力による祝福によって再び生を得られる。


五の力、それは怒りの力。悪を許さぬ強い怒りはおのが身を奮い立たせ、強き力となりて現れる。


六の力、それは終撃の力。終撃の試練を乗り越えし勇者が放つその一撃は、全ての悪に等しく裁きを下す。


七の力、それは未知の力。この世に顕現した試しは一度もなく、その力を詳しく知りし者は存在しない。

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