プロローグ
針葉樹に囲まれた静かな湖畔に私と彼がいる。頭の上に広がる夜空には無数の星が瞬いていて、厳粛な雰囲気を醸し出しています。その湖の畔に私は彼を呼び出していました。
「私の想い、聞いてください」
私はそう切り出し、私の身の上話や、自分自身の悩みについて打ち明けました。彼は時々頷きながら、最後まで私の話を聞いてくださいました。そして、私は最後にこう締めくくりました。彼への思いを伝えるため。
「私は、あなたをお慕いしてます。あなたの優しさ、器の広さ......その全てに私は救われました。でも......」
私は、目に涙を浮かべながら、彼に語り続けました。
「でも......私にはもう一人、好きな人がいたのです。あなたといるうちに、その人も私を勇気づけていたこと、私を、一番近くで支えていたことに気づいたのです......」
私は、どうしようもなくなって、思わず彼に抱きついていました。
「私、この気持ちをどうしたらいいのか、分からないんです......!あなたのことを思い浮かべたら彼のことも頭をよぎってしまうし、彼を想おうとしても貴方のことが頭から離れない......!私は......どうすれば......」
すると、彼は私を抱きしめ、彼の思いを話してくれました。それは、今、私が今一番欲しいと思う言葉でした。その言葉は、私にとってこの上なく嬉しいものでした。こんな私でも、生きてていいんだ。そう思える言葉でした。
そして、彼への愛を伝える、優しいキスを交わしました。
この時、彼と過ごした日々を思い出していました。
これは、落ちこぼれの私が、自分の生きる意味を探す物語。
そして、自分が今、一番好きな人への想いに気付かされた物語。
【解説】(10/31編集)
作品の再構成だったり、やはり視点は一つに定めた方が良いとの指摘もあり、マリー視点オンリーに変更しました。
次回からマリー(アリア)視点となります。