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召喚魔王の俺  作者: まひる
第2章
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4.魔王が仲介します─1


 俺は鬼族鴉天狗種の集落の面々を観察した。

 魔族だけあって形は様々だが、種類ごとの特徴はある。それが血筋なのだろうが、そうかといって必ずしも親子で形が同じとは限らない訳で。

 ハッキリいうと、どの血筋が強く出ているか─これに限るのだ。


 そしてアルフォシーナは、鬼族鴉天狗種の血が色濃い。それ(ゆえ)にこの集落にいるのだろうが、周りは異端に向ける目を隠す気もないようだ。

─見ていて気分が悪くなる。

 そうかといって、簡単に俺が口を出すのもな。

 自分の中の葛藤を持て余しつつ、祭りの外側から見ているしかない俺だった。


「おい。」

「何でこんな所にいるんだ?」

「本当だな。祭りだからって、混ざりものが出てきちゃ困るなぁ。」

 出店を点々と廻って買い物中のアルフォシーナを取り囲むように、3人組の男達が現れる。

 明らかなクズ行為。悪意を振り撒きながら、下卑た表情で背の低い彼女の顔を覗き込む。


─何だ。魔族でもこういう低俗な行為をする(やから)がいるのか。

 俺は何故かホッとしていた。人と変わらないのだと、種族が違うだけなのだと、改めて実感したからである。

 とは言え、このまま俺がいる事を忘れてもらっても困るのだが。


 アルフォシーナは手に一杯の買い物袋を持っていた。その一つに男の手が伸びる。

「食い物ばかりかよ。」

 取り上げられた物は、先程購入したばかりの白い肉まんのような食べ物。恐らく俺も食べられるようにとの配慮だろうが、買い食いもせずに幾つもの種類を数個ずつ買っていたのだ。


「食い意地がはってんだよ。」

「これだけあるなら、俺達がもらっても良いだろ?」

 男達が囲んでいても、アルフォシーナは無表情のまま取り上げられた肉まんを見ている。

「…待たせたな、アルフォシーナ。」

 別の男が再び袋に手を伸ばした時、俺はアルフォシーナの後ろに立っていた。

 振り返った彼女は、驚きもせずゆっくりと(まばた)きをする。


「何だよ、お前。」

「人族か?」

「…何か言えよっ。」

 男達が口々に訴えて来ていたが、俺とアルフォシーナはそのまま祭り会場を後にするように歩いていく。

 他の鬼族鴉天狗種達は、遠巻きに俺達の様子を見ているだけ。特別何かをする訳でもない。


「おいっ。」

 会場から一歩出た瞬間、一人が怒りに任せて俺に手を伸ばした。──筈なのだが、それは何も捕らえる事なく(くう)を撫でる。

 そして一瞬の後、男が手首を押さえながら叫んで(うずくま)った。

「な、どうした…っ!」

 驚いた残りが詰め寄ると、その男の右手首から先がなくなっていたのである。

 いや、足下に落ちていたのだが。

「てめえ、何しやがった!」

 鋭い視線で俺を見る男。

 これ、正当防衛かな。過剰防衛の可能性もあるよな。


 でもこれ、普通に俺の影の魔力が反応しただけ。故意にやった訳じゃないんだけど、説明が面倒臭いな。


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