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召喚魔王の俺  作者: まひる
第2章
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3.魔王は雑用係ではありません─10

 宣言通り、アルフォシーナは俺にバオブが近付く事を許しはしなかった。元々彼女の能力は高く、一族の中でも上から数えた方が早い。──けれど。


「アルフォシーナ。今日は祭りなんだろ?」

 俺は今、アルフォシーナの一族が住む集落にいる。その横に当たり前のように控えるアルフォシーナは、目の前で(おこな)われている一族の祭りに参加するでもなく、ただ俺の斜め後ろに立っているだけだった。

「うん、鬼族鴉天狗種の祭り。けどあたしは魔王様の護衛。」

 そう、仕事中なのだからとその場から動こうとはしない。

 まぁ、俺が鬼族鴉天狗種の祭りを見てみたいって言ったのは確かだけど。これじゃあ、アルフォシーナを拘束しているだけ罪悪感を感じるな。


「いや、護衛なんていらないって。ここは危険じゃないだろ?」

民草(たみぐさ)の中に交じるのも悪くはないけど、確実に安全とは言えない。」

「そりゃ、そうだが。俺はアルフォシーナを観察中なんだ。逆に言うと、そんなに俺にベッタリ張り付いていられたら、()のお前が見えないだろ。」

「魔王様、迷惑?」

「いや、迷惑とかじゃなくてだな。普段のアルフォシーナが見たいんだ。それと俺に何かあれば、連結(リンク)されてるから分かるだろ?」

「……………分かった。」

 散々説得して、納得していないようなアルフォシーナが(ようや)く離れる。そのまま少しだけ迷う素振りを見せていたが、振り払うかのように背を向けて走り去った。といっても、すぐ目の前の屋台風な飲食用の売店に向けてだが。


 俺は(しばら)くその背中の動きを観察しつつ、集落を見回していた。だがじきに、魔王知識で知っていた事実が見てとれる。

 孤立しているのだ。

 周囲の者達が明らかな対応をしている訳ではない。ただそれぞれが祭りを楽しんでいる。それが、アルフォシーナを含んでいないだけ。


─何だよ、これ。

 思わず頭を抱えたくなった。引率の教師の気分なのか?

 自分が抱いた感情に驚きつつも、それを振り払うかのように小さく溜め息をつく。

 そして改めて集落を見回す。


 鬼族鴉天狗種は、基本的にカラスのような羽根を身体の何処かに持っていた。大きさに違いはあれど、それは間違えようのない種族の証であろう。

 だが、アルフォシーナのように角はない。様々な容姿の魔族がいる為、気のせいかとも思ったが事実()()のだ。

 ある者はカラスのような(くちばし)を持ち、ある者は鳥のような羽根に全身を覆われている。人に近い者もいるけれど、アルフォシーナのように角持ちがいなかった。


 それが彼女と他の鬼族鴉天狗種との、明らかな違いだったのである。

文章訂正2016,12,23

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