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召喚魔王の俺  作者: まひる
第2章
92/248

3.魔王は雑用係ではありません─8


「魔王様。あれ、見える?赤いの。」

「ん~…、あの尖った木の上か?」

「そう。あれ、バオブの巣。」

 アルフォシーナの指し示す辺りへ目を凝らせば、樹齢100年は経ってそうな大木の上に、血のように真っ赤な円形の何かが確認出来る。

 しかし、何故にあんな目立つ色合いなのか疑問だ。


「派手な色だな。」

「うん。危険な存在だと、見た目から訴えている。(げん)に表面には触れると爛れる毒素がある。あ、中身は美味しい。」

 サラリと告げられた内容にギョッとする俺へ、アルフォシーナは淡々と中身の安全性を保証する。

 ってか、俺も何度も食ったっての。つまりは、表面の赤い部分だけ要注意って事だな。


 それでそもそも、何で俺達がバオブの巣を探していたかというと─(さかのぼ)る事半日前。ダミアンを強制的にアルフォシーナに退室させた次の日の事だ。


 ◆ ◆ ◆


「鬼族鴉天狗種の祭り?」

「そう。祭りの中で食べる食材の材料調達が、次のあたしの仕事。」

 アルフォシーナがいつものように淡々と告げる。

 俺からの観察対象になった事が理由なのか、潜入調査や諜報活動からは外されたらしい。まぁ、明らかに俺がいれば存在が知れてしまうがな。──すまない。


 そこでアルフォシーナに与えられた仕事は、能力をアピールするものだった。元から諜報担当としての種族的能力があるから、素早さなどが忍者の比ではない。

 それプラス、魔族としての能力値をアピールしてこいとの一族命令なのだろう。


 あ、彼女はフランツのようにトップに立っている訳ではない。ただの1諜報担当だ。本人の能力は高いが、指揮する側としての器は皆無。

 片付けが出来ない事からも察するが、指示されないと動けないタイプだからである。

 これで次期宰相候補者の一員というのは、選出したインゴフが悪いと俺は思った。


 ◆ ◆ ◆


「あのバオブの巣を丸ごと持ち帰る。魔王様は見てて良い。」

「待て。とりあえず俺も近くまで行くぞ。ここからじゃ良く分からないからな。」

「分かった。じゃあ、魔王様も一緒に行く。」

 置いていかれそうだったところ、同行を認めさせる事が出来た。ってか、楽勝だぜ。


 そしてアルフォシーナの、本気で忍者かもと思う素早い動きに何とか着いていきながら、俺達はバオブの巣がある大木の下に到着する。


 鬼族鴉天狗種の祭りは年に一回の一族集会みたいなものらしいが、成人の儀系の行事も(おこな)われるとの説明だった。

 試験内容はバオブの巣を持ち帰る事であり、能力判定の最低ラインらしい。これによって大人と認められる証を得られるという、実に簡潔なものだ。ちなみにアルフォシーナが持ち帰る分は、試験分とは別枠である。


 さすがに魔族の暗殺を(にな)う種族だけあって、最低ラインが厳しいな。だいたいこのバオブだって蟲とはいえ、群れると狼くらいの統率で個体攻撃をしてくるんだぞ。


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