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召喚魔王の俺  作者: まひる
第2章
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3.魔王は雑用係ではありません─7


「も、申し訳…ございませんでした、魔王様っ。」

 痛みからか俺の威圧に()されてか、ダミアンが苦しそうに告げる。

「お前が要らなくなったら、俺がその核を潰してやる。それまでは役割をこなせ。」

 最後にそれまで以上の威圧を込め、ギッと睨んだ。そしてすぐさま全ての威圧も闇魔力も解く。

 あまりやると、他の次期宰相候補者達が騒いで突入しかねないからだ。


「あ…あ、ぁぁぁ…っ。」

 フイッと俺が視線を反らした後、横のダミアンから漏れ出した声。まさかと思って再度見上げると、恍惚とした表情で宙を見上げて身体を打ち震わせていた。

 冗談じゃなく、コイツは今イッてやがる。この変態がっ。


「おま…っ。アルフォシーナ、いるんだろ?」

「はい、魔王様。」

 思わずダミアンに怒鳴ろうとした俺だが、不意に近くにアルフォシーナを感じた。

 気配ではなく、連結(リンク)されているが(ゆえ)の感知だろう。俺の言葉に応えるように、ダミアンとは逆側の玉座横に(ひざまず)いた状態でアルフォシーナが現れた。


「俺はもう寝る。面倒だと思うが、コイツを片付けておいてくれないか。コレの部屋にでも突っ込んでおいてくれれば良いから。」

「はい、魔王様。」

 額を押さえながら呟く俺に、アルフォシーナは変わらない返答をする。そして俺が立ち上がって背を向けた瞬間、罵声が飛んだ。


「アンタ、バッカじゃないのっ!?ここを何処だと思ってんのよっ。迷惑なの、臭いの、分かるっ?ほら、行くよっ。抵抗したら()()を捻り千切ってやるんだからっ。」

 直後、気配と共に音声が途切れる。勿論、俺は振り返って確認した。

 いない。不思議な事に、あのデカイ図体のダミアンをどうやって瞬時に消したのか。しかも言葉の内容も激しかった。

 だが俺は─見なかった事にする。


 自室に戻ると、大きく息を吐きながらベッドに腰掛けた。そのまま魂が抜けてしまいそうな程に。


 しかし、疲れた。(おも)に掃除でだが、久し振りに身体を動かした気がする。当たり前にこっちじゃ体育なんてないし、自主トレをしている訳でもない。前に身体を動かしたのは、フランツに煽られて騎士団と模擬戦をした時くらいだ。

 否。あの時だって力差がありすぎて本気でやった訳じゃないけど。それを考えたら、初めの頃にダミアンと地下の鍛練場でやり合った時か?

 ってか、俺ってマジに運動不足。このまま人族勇者登場とか、勘弁してくれよ。


 俺はベッドに仰向けに倒れ込み、腕で顔を覆った。

 この世界に()ばれ、どれくらいが経ったのか。もはや日数を数えていられない程、様々な事があったと思う。それでも何も成し得ていない俺。


 ─とりあえず自主トレをしよう。

 俺は精神的に疲れた身体を起こし、部屋でやれる筋トレから始めたのだった。


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