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召喚魔王の俺  作者: まひる
第2章
87/248

3.魔王は雑用係ではありません─3


 だが、それがこの汚部屋掃除とは割に合わない。

「はい、休憩終わり。掃除の続きだ。」

「え~。」

「え~、じゃない。フランツか。掃除が嫌いなら、汚さなければ良いだろ。」

「難しい。」

 俺の言葉に、ゼロタイムで答えるアルフォシーナ。

 そうだろう、分からなくもない。それでなければこれ程までにゴミ溜めになるまい。


「なら、物を増やすな。無駄に動かすな。」

「ううう…、魔王様酷い。」

「うるさい。文句を言う暇があるなら、この部屋をどうにかしろ。ハッキリ言って、風で全てを吹き飛ばしてやる方が至極簡単なんだからな。」

「はいぃっ。」

 せめて今日中にどうにか目星をつけたいしたい俺は、少しばかり威圧を込めてアルフォシーナに命じた。

 そのせいで鬼気迫る様子で片付けを開始するアルフォシーナ。


 半分本気だったんだが、これは本当にその方が楽だろう。一度(から)にしてから、いるものだけ中に運び込んだ方がどれだけ楽か。

 それでもそうしないのは、アルフォシーナの教育の為でもある。このままゴミ溜めに生息(せいそく)する事を標準とされては困るのだ。

「頑張れよ、女子。次期宰相候補に女がいる意味を考えろ~。ダミアンは別としても、フランツやコンラートに出来ないモノをアルフォシーナとミカエラには求められているんだと思うぜ?」

「あたしに出来る事。」

 アルフォシーナは手にした書物に目を落とす。

 考えるが良い。役割を与えられたのならば、その意味が必ずある筈だ。─俺も、だがな。


 ◆ ◆ ◆


 それから陽が落ちるまで片付けをした。

 ってか、それだけかかったっての!

「終わった…。」

「うん…。」

 さすがにくたびれた俺とアルフォシーナは、小綺麗になったソファーに二人して腰を沈める。

 いくら食事を必要としないとはいえ、肉体労働の後には甘いものが食べたくなるな。


「アルフォシーナ。あのバオブの蜜、一つくれないか?」

「うん。魔王様、バオブの蜜食べる。」

 アルフォシーナは嬉々として麻袋を差し出してきた。

 相変わらず、何処から取り出してくるんだか。

「サンキュー。あ~、旨い。」

「うん。美味しい。」

 互いに一欠片ずつ手に取り、(かじ)る。

 このほの甘い感じが、疲労を溶かしてくれる感じがするぜ。

 俺とアルフォシーナは、(しばら)く肩の力を抜いてまったりとしていた。


 何だか、思い切り雑用係じゃね?俺。他の誰もこの部屋に立ち入らなかった理由が、今なら良く分かる。アルフォシーナのこれは、たぶん1回や2回言ったくらいでは治らないだろうけどな。はぁ…。

 頼むから明日汚部屋に戻ってるなんてオチはやめてくれよ?


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