表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚魔王の俺  作者: まひる
第2章
84/248

2.魔王と話しませんか─10


「開けて良いのか?」

「うん。」

 思わずといった具合で受け取った俺は、とりあえずアルフォシーナに確認。了承を受けてからその麻袋の口に手を掛ける。

 巾着のように上部だけを麻紐で左右に縛られたそれを開けると、中からフワリと甘い匂いが溢れ出す。中身がそのまま匂いとなったような蜂蜜風の黄金色をした物。

 視線でアルフォシーナに問いながら中から一つ取り出すと、これまた蜂の巣状の欠片が出てきた。ただし、デカイ。


「これは?」

「バオブの蜜。これを()して中身だけを取り出した物を食事に使ったりする。このままだと歯応えがあるけど、身体に良い。」

 アルフォシーナの話を聞きながら、魔王知識を検索する。

 おぉ、出た。(むし)と総じて呼ぶらしいが、役割は向こうの虫と対して変わらない。ただし、この世界の蟲は最低でも500円玉以上のサイズだ。


「歯応え?」

「そう。たくさん噛まないと喉に詰まる。お腹にも良くないらしい。あたしはこのままが好き。山から取ってきて良く食べる。あ…べ、別に一人で食べようとしてた訳じゃないんだからねっ。」

 向こうの世界でも食用の蜂の巣がある筈だから、こっちでも違和感はない。まぁ、俺は食べた事がないけどな。

 ってか、こんな風に焦るアルフォシーナが不思議だ。


「別に良いんじゃないか?自分で採取してきたなら尚更、人にとやかく言われる筋合いはないだろ。」

「そ、そうだけど。これは高級品なのだからって、良く怒られる。」

 シュンと項垂れるアルフォシーナを見て、魔王知識から追加情報を得る。

 なるほど。確かにこれは高級品なのだろう。人族も魔族も食用とするバオブの蜜は、バオブ自体が攻撃性の高い蟲なだけあって手に入りづらい。砂糖などの甘味物総じて、この世界では高級品の域を出ないのだ。


「なるほどな。俺は気にならないぞ?まぁ、食べ過ぎには要注意だがな。」

「何故?」

「カロリー…えっと、栄養素が高過ぎて、摂取しすぎると身体に余分に脂肪がつく。」

 俺は甘味物が嫌いではないが、なくても困らない程度。アルフォシーナも体型的にまだ余裕があるものの、太りすぎれば仕事にも差し支えるだろう。

「脂肪…、分かった。気を付ける。太いのは嫌。」

「だろうな。女性は大概そう考える。あ、これは一つもらうよ。ありがとな。」

「うん、魔王様も食べる。」

 太ると聞いたアルフォシーナが首を横に振ったのを見て、俺は納得顔で頷いた。そして手にしたバオブの蜜を一つをもらい、残りは袋ごとアルフォシーナに返す。

 高級品というだけあって、用途は他にもたくさんあるだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ