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召喚魔王の俺  作者: まひる
第1章
8/248

1.魔王になりました─4

「では、魔王様。こちらにございます。」

 胸に手を当て、(うやうや)しく(こうべ)を垂れる。

 やはり、ダミアンの所作(しょさ)は美しい。

 言わないけど。

「あぁ。」

 俺は平静(へいせい)(よそお)って、建物に向き合う。

 まぁ、今更か。都度、マオウって呼ばれるのを訂正するのもな。正直、面倒臭くなってきたし。

 俺は言い返す事なく、ダミアンの後を黙ってついていった。


 それにしても…、何つぅ豪華な造りだ?ヨーロッパとかでも、城ってこんなもんか?

 歩いて行きながら、周囲を観察する。人が横に五人は並んで歩けそうな、無駄に幅広い通路。上は、三階建てくらいの高さはあるだろうか。

 円柱の柱が並び、一本の太さは大人が三人で、(ようや)一抱(ひとかか)え可能な程度だ。とにかく、スケールが半端ない。


「本来ならば、ゆっくりお休みして頂きたいところではございますが…。時は急を(よう)しておりまして、大変申し訳ないのですが、先に認証の儀を()(おこな)って頂きます。」

 連れてこられた先─見上げる程の扉の前で、ダミアンが立ち止まる。そして胸に手を当て、深く(こうべ)()げた。

 建物と同じ、真っ黒な扉。頑強な作りに見えるそれの表面には、細かな彫刻がなされている。


「…って、説明もなしかよ?」

「いいえ。中におります魔法士が、事の次第をご説明申しあげます。」

 (あき)れたように突っ込む俺に対し、ダミアンは頭を上げる事なく、そう返答した。

「あっそ。んじゃ、開けて。…つか、俺が開けるのか?」

左様(さよう)にございます。」

 動かないダミアンにダメ元で問えば、即肯定される。

 何だよ、セルフサービスかよ。


 不満に思いつつも、(こうべ)を垂れたままのダミアンを見て、問い返す気力もなくなる。

 中に説明担当がいるって言うし、迷う事はないか。

 ってな感じで、俺は片手を扉に当てた。


 勿論、開かないかも…なんて事は思いもしなかった訳で。


 重く見えたその黒い扉は、予想以上に簡単に押し開けられた。

 手触りは思った程冷たくなく、鉄ではなくて石の感触。ってか、中も暗いな。


 片側だけ開けられた扉は、俺が手を放すと、自動ドア的に閉じてしまう。

 いや、ちょっと待て。

 背後の扉が閉じた事により、本当に真っ暗になってしまったのだ。他に人がいる様子も見えず、(わず)かながら焦る。


「…誰だ。」

 危機感を覚えて神経が冴えたのか、俺は前方に気配を感じた。

 敵意は見えないものの、何だかジロジロ観察されている感覚。

「ほぅ?…お前さんが、次の魔王様かのぅ。」

 間延びした、しゃがれ声が聞こえる。

 コイツが、ダミアンの言っていた魔法士か?

 ってか、姿見せろっての。


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