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召喚魔王の俺  作者: まひる
第2章
73/248

1.魔王は人ではありません─9


「飽きてきたから、魔法使っちゃうよ?」

 結局、レジスとルフィノの合同攻撃も、俺の肉体を掠める事はない。

 勿論彼等は本気なんだろうけど、何せ俺、魔王だし。


「っく!」

 と、俺の魔法使う宣言を受け、レジスが水魔法を放ってきた。さっきも見たドリル。

 水流が凄まじい勢いを持って、俺の顔面に向かってくる。けど、そんなものは効かない。


氷槍(アイススピア)。」

 すぐに俺は氷の槍を形成して、その水流に当てた。瞬間的に凍り付く水ドリル。

 ついでにレジスの腕ごと凍らせようとしたけど、脇からルフィノが火の玉を放ってきた。


「危ないですよ、レジス。」

「す、すまない。」

 なかなかの威力で、一瞬にして俺の氷の槍を溶かしたルフィノ。

 レジスを宥める余裕まで見せている。


 ってか、やっぱり火属性かよ。しかも、かなりの高温。

 素質が十分にあるって事だよな。あ、鬼族の部隊長だもんよ。レジスもだけど。


「やるねぇ、ルフィノ。」

「いいえ。今のは、貴方の魔力練度が足りなかっただけですよね。」

 誉めてあげたのに、簡単には乗ってくれない可愛くない性格のようだ。しかも練度─魔力の練り込みが甘かった事を見抜かれている。


 いやいや。あの時に本気出してたら、レジスは今頃串刺しだよ?

 俺の魔王としての魔力は、当たり前ながら上質。それを本気で練り上げたら、それこそ魔族殲滅可能な程なのさ。勿論、俺一人でね。──しないけど。


「完敗です、魔王様。」

 そこで突然、ルフィノが片膝を折ってきた。

 マジ、ビックリ。

 隣にいるレジスも、驚きの表情してるぞ。


「竜族の各部隊長はいかがなされますか?」

 そんなレジスに構う事なく、ルフィノは上空を見上げて問い掛ける。

 うん、竜族ってば、ずっと飛んでるもんな。


「構わない。我等が力をぶつけ合えば、魔王城など一溜まりもないからな。」

 その中の1体の竜が静かに告げ、他の様々な色や形の竜族も頷いている。

 案外、彼等が一番冷静なんじゃね?


「なぁ~んだ、ここまでかぁ~。」

 そこに、空気を全く読まない声が入った。勿論、フランツである。

 視線を向けると、さも詰まらなさそうに首を竦められた。というか、初めから結果が分かっていたかのようで。あ、勿論亜人や獣人達は既に構えた武器を下ろしている。


「フランツ。」

「あ~、説教はいらないからねぇ~。」

 俺の呼び掛けに、片耳に指を突っ込みながら背を向けるフランツ。いや、別に文句はないんだけどな。


「さ~、皆。通常の鍛練に戻ろうか~。」

 俺に背を向けたまま、フランツは騎士団へ指示を飛ばしている。何だか、すっかり俺の存在は忘れられているようだ。

 それは少しばかり気に入らないが、ここに来た俺の目的は“構ってちゃん”じゃない。フランツの人となり─魔族なり?─を見極める為である。拗ねてどうするんだ、俺。


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