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召喚魔王の俺  作者: まひる
第2章
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1.魔王は人ではありません─6


「さすがに、魔王の知識と魔力を受け継いでいるだけの事はあります。レジス、少し落ち着きなさい。」

 静かに告げたのは、青鬼と共に俺の前に出てきた片割れ。─こっちは対照的に、真っ赤な肌をした1本角の赤鬼だ。

 レジスと呼ばれた青鬼と体格も対照的で、筋肉質の大柄な青に対して、赤は細身の体躯をしている。

 そして色が持つイメージとは異なり、青鬼は暴走型、赤鬼は冷静沈着タイプのようだった。


「うるさい、ルフィノ。人族に小馬鹿にされて、黙っていられるか!」

 剣を引く事なく、叫び返す青鬼。

 赤鬼はルフィノと言うらしいが、青鬼レジスは俺の風魔法壁に水魔法込みで攻撃してきている。

 ドリルのような尖端の水柱を幾つも出し、曲刀と同時攻撃を繰り出していた。


 ってか、また人族扱い。

 俺は自分が人ではなくなっていると自覚があるから、その言われようが逆に酷く苛立つ。─好きで“人でなし”になった訳じゃないんだ。


水針(ウォーターニードル)。」

 俺は自分の風魔法壁の外に、細く凝縮した30センチ程の水の針をイメージする。そしてレジス目掛けて放った。

「グッ?!」

 鋭い痛みを肩に受け、曲刀もろとも右側に大きく傾くレジス。

 どうやら自分の攻撃に夢中で、俺の水の針に気付かなかったようである。これだから、短絡的な脳筋は困る。


「なっ…、何をしたっ?!」

 混乱しつつ、右肩を押さえるレジス。

 意識が乱れた瞬間に、彼の水魔法も掻き消えていた。

「レジス、落ち着きなさい。貴方は攻撃されたのです。」

 体勢を崩しているレジスの背に回ったルフィノは、彼の肩を軽くつつく。

 そこで(ようや)く、己の右肩負傷に気付くレジス。脊髄反射のように左手で押さえた場所からは、黒い靄が滲み出ていた。


「テメエっ!」

「待ちなさい、レジス。」

 カッとなったレジスの左肩に触れ、ルフィノが静かに告げる。

 だが軽く触れているように見せて、実はかなりの馬鹿力らしい。暴走しそうな筋肉ダルマを、片腕だけで軽く動けなくしているのだ。

 この見た目の細さからは想像つかないほど、ルフィノは強いという事はなのだろう。


「~~~っ、放せよっ。」

「落ち着きなさいと言っています。」

 レジスはその青い肌の為に見た目では分からないが、かなり激昂しているようだ。

 それでもルフィノに真っ直ぐ視線を覗き込まれ、歯噛みするだけで腕を払う事もしない。─出来ないのか。


「アンタ等は、良いパートナーのようだな。」

 それを目の前で繰り広げられている俺は、微笑ましく思えてならなかった。

 だが、今は模擬戦の真っ最中である。

 俺は再び魔法を放つべく、イメージを練り始めた。


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