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召喚魔王の俺  作者: まひる
第2章
69/248

1.魔王は人ではありません─5


 俺の張り巡らせた風の防御魔法壁。それに向かって、獣人族と亜族の魔法攻撃が続けざまに放たれている。

 けど正直、飽きた。─誰がって、俺が。


 そこで俺は、魔法壁に新たなイメージを送る。

 拡張し、周囲を押し退ける形で魔力を練った。

 その新しい命令を受け、風船を膨らませるように、俺を囲む風の防御魔法壁が周囲に広がっていく。


「へぇ?」

 楽しそうな声が聞こえ、声の(ぬし)─フランツに視線を向けると、何故だか楽しそうに笑みを浮かべていた。

 さっきまでとは違う、純粋に喜んでいる様子。


「何?参加したくなった?」

 俺は、わざとフランツを(あお)るように声をかけてやる。

 けれどさすがと言うべきか、軽く鼻で笑われただけだった。のってこない。


 あ、そんなふうに意識をよそへ向けていた事が気に入らなかったのか、次は鬼族の登場だ。


 基本的に、鬼族は見目が良い。

 人形(ひとがた)である事が大半で、角があったりガタイが大きかったりするが、容姿が整っていると言った方が分かりやすいか。

 力あるものにありがちな、特殊仕様なんだろう。─勿論、単にゴツい奴もいるけど。


 それらの内から二人、それぞれの武器をもって中央にいる俺に歩み寄って来た。

 ちなみに今は、風の防御魔法が緩くなっている。─さっき広げたからな。


「お前、本気で魔王を名乗る気があるのか?」

 歩み寄って来た、青い方の鬼族が口を開く。

 昔話で見た事のある、青鬼ってこうだろ的な、肌の青いモジャモジャ頭の2本角だ。


「名乗るも何も、俺は既に魔王だ。」

「…ただ継承するだけでは、誰もついては来ない。」

 即答する俺に、青い肌の鬼─青鬼で良いか─は返してくる。

 つくづく、俺って嫌われてない?


「知ってるよ、そんな事。だからとりあえず、宰相候補を自分の目で見る為に、こうやって回ってるんだ。」

 負けじと言い返し、さらには煽るように腕を組んで立つ。

 青鬼は大振りの曲刀をぶら下げているが、俺は武器(えもの)を手にしてもいない状態。


「死んで後悔するが良い。」

 スッと目を細めた青鬼は、その残像が見えるのではないかという速度で俺に突っ込んできた。

風壁(ウインドシェード)─俺の周囲─。」

 勿論俺は、頭の中にあらかじめ用意(イメージ)していた風の防御壁を発動させ、青鬼の曲刀を正面から受ける。


 ガキンッ、と激しい衝突音が空気を震わせた。

 俺の風魔法の壁は、魔法攻撃にも物理攻撃にも対応している。

 強度は魔法自体を、どれだけ緻密に組み上げるかによって変わる。だが俺的感覚で魔法はイメージ重視だから、ゲームやアニメなどの創作物に慣れ親しんだ現代人としては、至極容易な事だった。


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