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召喚魔王の俺  作者: まひる
第2章
67/248

1.魔王は人ではありません─3


 そして俺は宣言通り、フランツの周囲をウロウロとしながら観察を始める。

 フランツは主に、軍部の取りまとめをしているらしい。

 鍛練場に騎士団が部隊ごとに並び、それに対してフランツが指示を出しているようだ。


 まぁ、騎士団といっても魔族。大きさはそれぞれだし、とてもじゃないがまとめて一つの指示って訳にもいかない。

 何せ、蟻と象以上の体格差があるのだ。


 それでもフランツは、それぞれに的確な役割をふっている。

 これ、本当に優秀でないとダメだろ。


 全体を見回す意識、能力を見抜く目。数多く多種族が集まるが故、あちらこちらで発生するいざこざを聞き取る耳。人を惹き付ける声、最適な策を練る頭。


 インゴフが言うように、次期宰相候補者は現魔族の中で、本当に優秀な人物が選出されているようだ。


 問題は、魔王が俺って事。

 これが一番問題だと、改めて思う。─まぁ、今更変更不可なんだろうけどさ。


 その時不意に、フランツの視線が俺に向けられる。

 ん?

 (あや)うく首を(かし)げそうになったが、とりあえずセーフ。


 俺は、次期宰相候補者達と連結(リンク)している。だがそれは、感情と魔力を大きく揺さぶられない限り、これは個として有り得るという事実である。

 ってか、内心の全てを監視されたくないっての。


 そんな必死にポーカーフェイスを保っている俺に、事もあろうか、フランツの奴が名指しして来た。

「…ってな感じでぇ。魔王様と模擬戦だよ~?」

 大仰に両手を振り、騎士団達に告げるフランツ。


 どうやら騎士団の各部隊長を相手に、手合わせと言う名のリンチを俺に仕掛けるらしい。

 いやいや、冗談だろ。

 日本人の悲しい(さが)か、俺は突然の事態にヘラッと愛想笑いをしてしまった。

 そして結論、それが不味かったようである。


 俺がバカにしたかのように取った各部隊長達は、一斉に武器を構えて前に踏み出した。

 勿論先程も言った通り、大きさはそれぞれである。

 ビル3階くらいから、掌に軽く乗る奴まで─多種多様な魔族のオンパレードだ。


「さぁ、魔王様?軽く準備体操くらいにしかならないだろうけど、各部隊長達も魔王様の力がみたいんだってさ~。まぁ、当たり前だけどねぇ。自分達が守るべき相手か、彼等も見極めたいだろうからさぁ?」


 ニッコリと笑顔を浮かべるフランツには、全くといって良い程、悪意がない。

 つまりは本気でそう思われている訳で、フランツ以外の魔族からの評価も同じなのだろう。


 冗談としか言いようがないが、実際に俺もこれから先の人生─魔王生がある。

 常に仲間となる周囲から敵意を浴びたくはないし、前魔王を倒した勇者の事もあるのだ。


 いずれ大きな力を持つ者と戦う定めならば、味方は確実につけておきたい。ってか、そう出来なければ俺の存在価値がないだろう。


「…分かった。」

 そう言わざるを得ない状況だろうが、もう知った事か。

 俺はハッキリと了承の意を示したのだった。


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