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召喚魔王の俺  作者: まひる
第2章
66/248

1.魔王は人ではありません─2

 伸びてくるフランツの手に視線を取られながらも、俺は歯を食い縛る。


 パシッ。

 だが突然、目の前でフランツの手が叩き落とされた。


「…アル?」

 間の抜けた顔で、手を振り下ろした相手を見るフランツ。


 そこには、さっきまでいなかった筈のアルフォシーナがいた。しかも、鴉羽根のある腰に手を当て、怒っているぞのポーズである。


「何やってる、フランツ。魔王様に近付き過ぎ。」

「…嫌だな~、アル。そんなに怖い顔をしてると、シワが出来ちゃうぞ~?」

 彼女を宥めようとしているのか、フランツが1歩後退つつも、両手を軽く上げた。


「魔王様に呼ばれた。あたしが守る。」

 150センチ程の小さな背丈ながら、玉座に腰掛けたままの俺を背に庇う。


 何か俺、立場ない感じ?


 内心苦笑いを浮かべるが、実際に顔には出さない。

 ここでの呼ばれたは、連結(リンク)によってSOSを感じ取ったという意味だ。


「大丈夫だよ~、俺も次期宰相候補だし~?」

「フランツは魔王様を虐める。だからあたしが守る。」

 無実を訴えるフランツの言葉にも、アルフォシーナは全く引かない。

 まぁ、ほぼ現行犯だったがな。


「ありがとう、アルフォシーナ。けど次期宰相候補の素質判断は、俺がやるって言った事だからさ。」

 とりあえずというか、当たり前にフランツを庇う気は全くないが、俺の前にずっと立ち塞がられても困る。


 どのみち宰相でなくとも、四魔将軍にはなるんだ。

 忠臣であれとは思っていないが、俺に対する忠誠心が全くないのもどうだろう。


「魔王様。あたしが守ったら…困る?」

 クルリと俺に向き直ると、青いショートカットの髪を揺らして小首を傾げた。

 うん、リミドラとは違う可愛さだよな。


「いや、困らない。でもアルフォシーナは、弱い魔王は嫌だろ?」

「…うん。あたしは強い魔王様が良い。べ、別に好きとは言ってないんだからねっ。」

 自分で答えておきながら、急に照れくさくなったのか。

 ツンデレ発動だな。


「あ~…、うん。だからさ、フランツ相手に、俺は守られてちゃダメな訳。」

 とりあえず、穏便に説得だ。

 俺自身は力で言う事を聞かすのは好きではないが、魔王だし、いざとなったら実力行使も考えている。


「…分かった。」

 アルフォシーナが渋々ではあるが頷き、俺とフランツの間から退く。

 あ~…、フランツの視線が痛い。

 正面にして、物凄い視線を向けられている俺。


 実はフランツ、アルフォシーナの事を憎からず思ってたりする?


「とりあえず、フランツの周囲をウロウロするから。必要以上に近付くと、次は俺も黙ってないからな。」

 睨み付けてくるフランツに対し、俺も言い分だけは言っておく。

 本当は穏便に済ませたいんだがな。


「…勝手にすれば~。」

 フランツはそれだけ告げると、踵を返して謁見の間から退室する。


「はぁ………。あ、アルフォシーナ、本当にごめんな?それと、ありがとう。」

「うん。魔王様が良いなら、あたしは良い。」

 思い切り溜め息をついてしまったが、取り繕うようにアルフォシーナに謝罪と礼を口にする。


 この子は本当に、良い子だよな。


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