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召喚魔王の俺  作者: まひる
第1章
64/248

6.魔王は売約済みです─10


「では、魔王様。これにて婚約式は、全て(とどこお)りなく完了致しました。」

 中央庭園へと続く扉が閉まった後、静かにダミアンが告げる。

 まだ外では、インゴフが観衆に向けて何やらしているらしい。が、俺の仕事は終わりだ。


「あぁ。やっとこの窮屈な服から解放される…。」

 俺はそう言うが早いか、首元の詰め襟に手を掛ける。


「お待ちください、魔王様。」

「…何だよ。」

 ダミアンに制され、俺は不機嫌を隠さずに睨み付けた。

 だが当たり前のように、そんな不穏な空気をものともせずに告げてくる。


「まだ、この後の高位魔族達へのお披露目があります。」

「はあ?まだあるのかよ。これで終わりって言っただろっ。」

「婚約式は終わりました。ですが、本来の目的は次に控えております。…リミドラ嬢の安全と平穏を確保したいのでしたら、高位魔族達へのお披露目は外せないかと思われます。」

 不機嫌を通り越して怒りさえ湧いていた俺に、ダミアンが淡々と紡いだ言葉。


 さすがに俺も、自分の感情にストップをかける。

 そうだった。俺の平穏の為もあるんだが、婚約者としてのリミドラの、実質的安寧も保護しなくてはならない。


「…分かった。」

「魔王様?」

 声を押し殺すように応えた俺に、リミドラが不安げな表情で見上げてきた。

 んだよ、可愛いな。この生き物。


「大丈夫だ。リミドラも、もう少しだけ頑張れよな。」

「はい、魔王様。」

 俺はフッと表情を緩め、リミドラの頭を撫でる。

 茶と白の犬耳が、俺の撫でる手の動きにフワフワと動いた。


「よし。行くぞ、ダミアン。他の候補者達も集めておけ。」

「はっ。」

 そして俺は、リミドラのフワフワ犬耳に癒され、面倒な高位魔族達との披露宴に臨むのだった。


 ◆ ◆ ◆


 漸く終わった~。マジ、キレなかった俺、エライ!

 ベッドにダイブし、柔らかな肌触りを堪能する。


 ぶっちゃけ、披露宴なんてものは高位魔族の自慢大会だった。

 今まで顔を出さなかった俺に、リミドラそっちのけで高位魔族達が群がってくる。ハエのごとき習性に、俺は顔がひきつりそうになった。


 リミドラは終始不安がっていたが、アルフォシーナとミカエラを張り付けていたので、何の問題もなかったようである。ってか、あったらマジで俺がキレる。


 あ、そうそう。高位魔族達の言い分は、獣人のリミドラは魔王に相応しくないとかなんとか。

 勿論、俺はハッキリと言ってやった。

「魔王である俺の決定に異を唱えるのならば、証しを示せ」と。


 ダミアンから聞いた話と魔王記憶からするに、獣人であっても魔王に選ばれる者はいる。

 前魔王なんかがその例で、狼系の獣人だったらしい。確かに、黒い毛むくじゃらだったしな。


 フランツが犬歯がどうとか誉めてたし、力が強ければ魔王になれるようだ。あ、闇魔力の存在もあるかもしれないがな。


 ともあれ、その後は誰も文句は言わなかった。…側室の話にはなってたけどさ。くそっ。


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