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召喚魔王の俺  作者: まひる
第1章
62/248

6.魔王は売約済みです─8


「まだこちらにいらしたのですか?」

 来た方向─後ろから声を掛けられ、俺は視線だけ移す。


 勿論、相手はダミアン。

 先程と変わらず、普段は真面目な側近といった感じである。


「あぁ、リミドラと久し振りに会ったからな。色々と積もる話もあるんだよ。」

 俺は繋いだ手を上げ、仲の良さをアピールした。

 いや、そこで変に悲し()な顔をするなよ、変態。


「わっちも、蒼真(そうま)と手を繋ぎたい~。」

 ダミアンの背から顔を出したミカエラは、唇を突き出して訴える。

 いや、繋がないから。


 俺の内心の突っ込みは届く訳もなく、繋いだリミドラの小さな手に(わず)かに力が入った。

 ぅわ~、庇護欲を刺激される。


「さ…行こうか、リミドラ。」

 (かが)んで顔を覗き込み、視線が合った事を確かめてから、立ち上がり際に抱き上げた。

「っ!ま、魔王様?」

 慌てて俺の首にしがみつくリミドラ。


「せっかくの服がシワになっちゃうかもしれないけど、こうすればちゃんと目線が合うもんな。」

 ニッと笑みを向ければ、リミドラは真っ赤になった顔で小さく頷く。


 そして俺はリミドラを抱き上げたまま、中央庭園と接する扉の前に立つ。

 すると、扉脇に立っていた二人の衛兵が動き、何も言わずとも扉を両側から押し広げた。


 ザワザワとした空気が、一瞬にしてピリッと引き締まる。

 魔王としての俺は、意識せずとも(あふ)れ出す魔力で、魔族達の緊張感を煽るらしい。


「では、これから婚約式を()(おこな)います。」

 インゴフの宣言により、既に準備の整っている周囲で魔族達が動き出した。

 次期宰相候補達は、それに(ともな)って進行をしていく。いつになく真面目じゃないか。


 俺はリミドラを抱き上げたまま、それらを見るともなしに立っている。

 元々役割なんてなかったし、リミドラと婚約する事に対する嫌悪もなくなった。

 ただここに魔王がいて、獣人族の犬種(いぬしゅ)(おさ)であるリドミラ・アブソーヴァと婚約するのだという事実が必要なだけ。


「なぁ、リミドラ。お前が小柄なのは、食の問題か?」

 俺は小さな声で、リミドラに問い掛ける。


 実はあまりに暇なので、俺は周囲の魔族を見渡していた。

 そして気付いた、種族の違い。


 大きさが違うのは当たり前で、竜族はファンタジー丸出しの巨大トカゲ、羽根付き。勿論、20メートルは(くだ)らない。


 で、次に大きな魔族が鬼族巨人種だろうか。10メートル程の体格を持ち、頭には─形は様々だが─数本の角を持つ。鬼族の外見は一般的に人形(ひとがた)に近く、ダミアン達次期宰相候補者も(しゅ)は違うが、この分類になる。

 ちなみに同じ鬼族でも、吸血種のフランツなんかには角はない。


 亜族は大小様々だが、(しゅ)が多すぎて一括(ひとくく)りになっているようだ。

 獣人族は大まかな形で(しゅ)分けされていて、実際には犬種(いぬしゅ)の中にも派閥のようなものがあるらしい。しかしながら混血も多く、見た目で確実な分類に分ける事は難しそうだ。


 と、長々とした説明になったが、とにかく一言で魔族と表すが、実際は複雑なのだった。


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