表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚魔王の俺  作者: まひる
第1章
59/248

6.魔王は売約済みです─5

「魔王様?」

 いつまで()っても声が掛からない事に(しび)れを切らしたのか、扉の向こうからリミドラが顔を出す。

 右側の白い犬耳が(せわ)しなく、それでも不安げにピクピク動いていた。


「おぉ、リミドラ。やっぱり着飾ると、女の子は綺麗だな。」

 俺は視界に映った彼女の姿に、素直に感想を口にする。

「ワフッ!?」

 だがその瞬間、ボンと首まで赤くなるリミドラ。


 ん?俺、変な事を言ったか?

 思わず小首を(かしげ)るが、すぐにミカエラに俺の気が引かれた。

 マジ、腕にいきなりしなだれ掛かってこられたら、嫌でも意識を持ってかれるって。


「もぅ~、蒼真(そうま)ぁ。わっちも、そんな嬉しい言葉を、掛けてほしいのぉ~。」

「こらっ、ミカエラ!離れなさいっ。」

 慌てて引き離そうとするダミアンとミカエラの攻防になり、俺は二人から腕を取り合われる。


「っ!」

 痛みと羞恥と怒りを取り混ぜた複雑な感情により、俺は無意識に闇魔力を発動した。

 自身の内側から溢れ出した黒い炎が、両腕を拘束するダミアンとミカエラを(はじ)き飛ばす。

 二人は咄嗟(とっさ)に受け身を取りながらも、左右の壁に叩き付けられたのである。


「…うるさい、二人共。」

 ゆらりと薄い黒炎を(まと)った俺に、ダミアンとミカエラが目を見開く。

「も、申し訳ございません、魔王様。」

「ごめんなさい、蒼真ぁ。」

 深く頭を下げるダミアンと、首を(すく)めるミカエラ。

 勿論二人共強靭(きょうじん)な肉体を持つ魔族なので、これくらいでは(かす)り傷一つしないだろう。


 うん、喧嘩両成敗ってやつだな。

 あれ?違ったか?


「あの…魔王様?」

 そんなやり取りをしていた俺達に、おずおずと声を掛ける強者(つわもの)

 いや、この場合はリミドラしか動けなかったか。

 衛兵は目を見開いたまま、硬直しているし。


「どうした?リミドラ。」

 普段通りの対応で、俺はリミドラに応じる。

 勿論、纏った黒炎は消失させた─怖がられるからな。

「あの…、ありがとう…ございます。」

 胸の辺りで両手をモジモジ合わせながら、酷く小さな声で告げられた。


 …礼?……………あぁ、さっきの可愛いって言った事に対して…か?

 あまりの時間差に、俺自身も何の事だか分からなかったぞ。


「いや、マジ可愛いから。…馬子にも衣装?あ、違うか。これはダメな方だった。ん~…、悪い。俺、そんなにボキャブラリーが豊富じゃなかった。」

 色々考えたあげく、俺は片手を後頭部に当ててギブアップする。


 必死に誉めようとしたのだが、俺自身、的確に女子を口説けるスキルは持ち合わせていない。

「でも、可愛いのは本当。」

 そのまま歩み寄り、羞恥で(うつむ)くリミドラの顔を覗き込んだ。


 これで13歳?ってか、俺と婚約するんだよな…。

 リミドラの頭の位置は、俺の肘辺り。

 …大人と子供?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ