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召喚魔王の俺  作者: まひる
第1章
58/248

6.魔王は売約済みです─4


 それからの俺は、高位魔族の(なか)ば強引な接触を上手く()けつつ、いよいよ婚約発表当日を迎えていた。

 マジ、長かった…。


「…本当に、俺は何も喋らなくて良いんだな?」

 最終確認とばかりに、強めの口調でダミアンに問う。

 今の俺は光沢感のある黒い服を身に(まと)い、同じく黒いマントを装備中。

 全身が黒いのは魔王のみに許された色らしいが、どうしても中学の学ランかよ、と思ってしまう。

 それほど、詰襟の窮屈さに嫌気がさしていた。


「はい、魔王様。今回は我々次期宰相候補5名と、筆頭魔法士様とで進行を()(おこな)わさせていただきます。(たみ)への発表が目的ですので、魔王様はリミドラ嬢と共にいらっしゃるだけで問題ございません。」

 つらつらと(よど)みなく告げるダミアン。


 とうとう…いや、結婚式をする訳じゃないから、俺はまだ独身だな。

 誰に告げるでもなく言い訳じみた考えが浮かぶのは、男だからか。それとも、好きでもない相手を(あて)がわれた腹いせか。


「婚約って、特別重いものじゃないのか?」

 ただの約束なのではと、俺は(かす)かな希望を見出(みい)だす。

「いいえ。余程の事がない限り、婚約とその後の結婚は同一の相手と(おこな)います。一方的な婚約解消は処罰の対象となる場合も多く、手続きが必要となります。」

 たがそんな俺の問いに、ダミアンは当然のように答えた。


 ダメか…。

 だいたい、約束を簡単に反故(ほご)にする事自体、論外ではあるんだがな。


「分かった。俺も、いい加減覚悟を決めないとな。」

 大きく息を吐き、心の中を整理する。

 OKだ、なるようになるさ。


「式典の準備は整ってるのか?」

「はい。現在はリミドラ嬢の準備待ちです。あちらにはアルフォシーナとミカエラがおります(ゆえ)、ご安心くださいませ。」

 (うやうや)しく頭を下げるダミアン。

 いや、別に心配なんかしてないっての。


 コン、コン。

 その時、静かに扉が叩かれた。

「何だ。」

「リミドラ様の準備が整いました。」

蒼真(そうま)、いるぅ?」

 衛兵らしき声と共に、ミカエラが勢い良く扉を開ける。


 おいおい、勝手に開けるなよ。


「ミカエラ。魔王様に対して、何と言う言葉遣いですか。」

 俺の前に立っていたダミアンが、すぐに鋭く告げた。

「そんなに怖い顔をしないでよぉ、ダミアンちゃん。」

 それでもミカエラは、フワリと笑みを浮かべながら言い返す。


 真顔の銀髪ストレートと、笑顔の金髪ウエーブ。

 相反する相性なのか、表情を変えずに視線を合わせたまま、双方とも動かなかった。


 はぁ…。暖簾(のれん)に腕押し、だな。

 ってか、気付いてやれよ。後ろで衛兵が、この場をどう切り抜けようか困惑中だっての。


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