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召喚魔王の俺  作者: まひる
第1章
57/248

6.魔王は売約済みです─3


「とりあえずミカエラ。今は宰相執務室に行く途中で、俺は忙しい。いずれちゃんとミカエラ()()仕事を用意してやるから、それまでは好きに過ごすと良い。」

 今はそれだけ告げると、ミカエラをその場に残して背を向ける。


「では、ミカエラ。失礼します。」

 ダミアンも軽く目礼する事でミカエラを振り切り、俺の後方についてきた。

 その位置は、相変わらずの斜め左後ろである。


 しかし、ミカエラの役割には驚いた。

 何処の姫だっての。


 宰相執務室に着くと、すぐさまダミアンが扉を開ける。

 勿論、先に中に入り、安全確認を(おこた)らない。

「どうぞ、魔王様。」

「あぁ。」

 フランツの件以降、一番の頼れる部下、といったところか。


 俺は自分の執務室がない訳ではないが、今は宰相執務室の一角(いっかく)を間借りしている。

 が、 回ってくる書類等は知れている。

「また()りもせず…。」

 俺は机上に積み上げられた羊皮紙(ようひし)の束に、大きく溜め息をついた。

 そこには、崩れそうな程の姿絵があったのである。


「お会いする事も()けられていますからね。高位魔族達も、他に手段を見付けられないのでしょう。」

 苦笑しつつも、ダミアンが答える。

 俺だって分かってはいるが、納得が出来ないんだ。


「どいつもこいつも、自分のところの大切な娘だろ?それを何で()(この)んで魔王の嫁に出したがるんだ?」

 俺は羊皮紙の束へ、バンバンと手の甲で不満をぶつける。


 魔族の王である存在に嫁に出すって事は、政治とか権力とかが関わってくるのだ。

 穏やかに過ごせない事など、分かりきっているじゃないか。


「娘の将来などを考えている者は、王妃候補に出さないでしょうね。金と権力が目的だからこそ、側室でもという話も上がっているのです。王子を(はら)んだもの勝ちですからね。…だからこそ、我々は警戒をしていたのです。無駄になりましたが。」

 後半の言葉に棘を感じたものの、事実上、俺の単独行動が原因なのだ。

 何も言えなくなった俺に、ダミアンは綺麗な笑顔を向ける。


「大丈夫です、魔王様。まだ幾らでも方法はあります。とりあえず、最早避けられないリドミラ嬢との婚約を発表します。ですが、魔王様が次期宰相を選出すれば、少し流れが変わります。」

 ハッキリと断言するダミアン。

 何故か黒く見える笑みが、怖い気がする。


 何を(たくら)んでいるかは知らないが、俺に不利になるような事じゃないよな?

 ってか、本当に早く次期宰相候補者達を知らなきゃならないのに。

 どうしてこうも、邪魔ばっか入るんだ?


 俺の召喚魔王人生は、波瀾万丈なのかっ。


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