表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚魔王の俺  作者: まひる
第1章
53/248

5.魔王に噛み付いてはダメです─9


「獣人族には比較的多いのですが、首筋を情を(もっ)甘噛(あまがみ)する事で、相手に好意と執着を示します。あ…勿論、攻撃的な噛み付きは論外ですが。」

 ダミアンのその説明を聞き、慌てて少女を見る。が、遅かった。

 しっかりと首筋に抱き付かれたのである。

 ()ろそうとしたのが、バレたのか?


「え…っと、ど、どうすれば良いんだっ?」

 まさか噛み付く事が告白だとは、思っていなかった俺。

 当たり前だが、(ことわ)り方も知らない訳で。

 視線で助けを求めると、ダミアンがより苦い顔をした。


「求婚の直後、視線を合わせない事で拒絶を表すのですが…魔王様の場合、既に見つめ合っていましたからね。この、獣人族が一堂(いちどう)(かい)している場所で、今更なかったは認められないでしょう。」

 淡々と答えて答えてくれるダミアンだが、この件を認めている訳ではなさそうである。


「け、けどこんな小さい子をだなっ?」

「小さく、ない…です。僕、13歳ですもん。」

 抱き上げたままの少女が、いきなりのカミングアウトだ。

 え?このナリで?


「…今、疑いましたね?ひ、酷いですっ。魔王様とも()ろう御方(おかた)が、外見で魔族を判断するなんて…っ。」

 胡乱(うろん)な視線を向けた事がいけなかったのか、両手で顔を覆い、肩を揺らし始めた。


 う…っ。お、俺が泣かせたのか?

「わ、悪かったよ。小さいって言って、すまなかった。ってか、マジで13歳?ここの結婚年齢って、幾つ?」

 仕方なく少女に謝罪しつつ、またしても助けをダミアンに求める。

 ってか、ここには俺の味方が他にいない気がするんだな。


「獣人族は繁殖期も関係してきますので、(よわい)10を過ぎれば婚約者を。15で子連れは当たり前かと。」

 淡々と答えるダミアン。


 違った。

 俺の味方は、誰一人としていなかったようである。

 あぁ、そうかよ。お前は物知り過ぎるよっ。


 ってか、どうしてこうなった?

 俺は、無実の罪で処刑されようとしている少女を、助ける為にここへ来たんだ。

 断じて、こんな訳の分からない理由で婚約者を(あて)がわれる為に、危険を(おか)してまで刀の下に飛び込んだ訳じゃないっ。


「俺は…っ。」

 (みずか)らの不満をぶちまけるべく、俺は口を開いた。

 が、その先に言葉を続ける事が出来なくなる。


「ありがとうございます、魔王様。」

 何故か周囲にいた獣人の民衆が、(そろ)って大地に平伏(ひれふ)したのだ。

 そして、口々に感謝の言葉を()べている。


 はい?

 意味不明の俺は、相変わらず少女を抱き上げたまま、民衆に向かってフリーズした。


 ってか、地味に重いよな。

 30キロはないと思うが、いったいどんな罰ゲームだよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ