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召喚魔王の俺  作者: まひる
第1章
51/248

5.魔王に噛み付いてはダメです─7

 俺の顔が引きつった時、慌ただしく宰相執務室の扉が叩かれる。

「何ですか、騒々しい。」

 入り口のすぐ前に立っていたダミアンは、返答すると同時に扉を開けた。


 突然扉が開いて驚いたのか、俺を見て驚いたのか。

 とにかく、こちらを見て硬直する、昆虫型の衛兵がそこにいた。


「早く入って用件を言いなさい。」

 (わず)かに苛立ちをみせるダミアンに、その魔族は慌てて報告をする。

 八つ当たりはダメだよ、ダミアン。


「はっ。中央広場におきまして、獣人族が大掛かりな運動をしておりますっ。」

 執務室に入って扉を閉めてから、その場にビシッと直立で立ち、敬礼をする昆虫型衛兵。


「運動、ですか?言葉通りでない事は分かりますが、何をされているのですか?」

 ダミアンは表情を変える事なく、立て続けに質問をした。

 そりゃいくら俺だって、それがラジオ体操だとは思わんけどな。


「はっ。現在の犬種(いぬしゅ)(おさ)を、此度(こたび)の責任追及の為、公開処刑とするようです。」

 続けられた昆虫衛兵の言葉に、俺は後先(あとさき)考える余裕はなくなる。

 宰相執務室を飛び出し、驚愕に目を見開くダミアンと昆虫衛兵を残して、中央広場へと走っていた。


 冗談じゃねぇぞっ?!

 何で、別の誰かが処刑される事になるんだよっ。


 ◆ ◆ ◆


 俺が中央広場に到着した時、既に人集(ひとだか)りが出来ていた。

 しかも腹立たしい事に、基本的に俺より背の高い種族が相手である。


「くそっ、見えんっ。」

 ピョンピョン跳んでも知れている訳で、かといって隙間を縫っていける程、俺は小さくはない。

 仕方なく周囲を見回し、広場用の物見(やぐら)(のぼ)る事にした。


 その間にも、民衆の興奮が増してくるのが伝わってくる。

 10メートル程の高さの(やぐら)(のぼ)ると、監視の為の衛兵が二人いた。

「誰だっ、お前っ!」

「お、おいっ。魔王様だ、バカっ。失礼致しましたっ。」

 トンボのような羽根がある衛兵が誰何(すいか)の声をあげたが、隣にいたトカゲ型の衛兵が制しつつ、謝罪する。


「あぁ、ちょっと見させてくれ。」

 必死に平生(へいぜい)(よそお)いつつも、身体は返答を聞く前に広場が見える方へ向かっていた。


 そして(ようや)く見た光景に、愕然(がくぜん)とする。


 確か執務室に来た衛兵は、現犬種(いぬしゅ)(おさ)が処刑されるって話だった。

 けどあれは、明らかにおかしいっ。

 何で10歳くらいにしか見えない少女が、こんな民衆の前に張り付けにされているんだっ?!


 犬種(いぬしゅ)の獣人って言っても、耳と鼻が犬っぽいだけで、顔立ちは人に近い。

 だからこそ、俺の中の何かを酷く刺激した。


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