表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚魔王の俺  作者: まひる
第1章
41/248

4.魔王にサカらないで下さい─7


 何の抵抗も出来ないまま、何者かの肩で荷物のように(かつ)ぎ上げられ、俺は無様(ぶざま)に運ばれていた。

 ってかここ、魔王城だったよな?何で魔王の俺が、こんな目にあってんの?


 状況が全く分からず、尚且(なおか)つ、今の俺はただの(しかばね)風体(ふうてい)─指先一つ、まともに動かせやしない。

 …いったい、俺に何を飲ませやがったんだ。ってか、腹に当たる肩が痛いっての。

 痺れてるけど、痛みは分かるんだよっ。


 ◆ ◆ ◆


 どのくらい移動したのか、突然身体に息を()む程の衝撃を受ける。

 くそっ、落としやがったな?!

 声も出せない為、(うめ)く事すら出来ない。歯を食い縛って短く呼気(こき)()らし、痛覚を逃がすしかなかった。


 身体の痺れは特に手足に集中しており、末端部分程に症状が酷い─と自己解析をしていると、何者かに顎を掴み上げられた。

 そして目隠しを取られた瞬間、いきなり強力な光を当てられる。

 反射的に目を閉じても、さすがに光源を防げないらしい。完全に目を(くら)まされた。


 その()目を開いても、真っ白に焼けた視界には何も映らない。そしてその不意をついて、今度は薬のような物─明らかに良い目薬じゃない─を瞳に落とされた。


 もう、踏んだり蹴ったりの俺。

 痛みはなかったものの、それは瞳の上に薄い膜を作るらしく、今度こそ完全に視界を奪われたのである。


「…ククク…こうなっては、何も出来まい。」

 (ようや)く、犯行に荷担(かたん)したと思われる人物が口を開いた。

 声からするに、若い男。

 低めだが、張りのある声である。


「新しい魔王が人族から選抜されるなど、あって良い筈がない…っ。」

 怒りと憎しみが溢れんばかりの言葉と、掴まれた顎に物理的な力が込められる。

 いや、俺が決めた訳じゃないんだけど。それに、コイツが主犯?


「この黒い髪は美しいが…、身体つきは貧弱。そして簡単に捕縛される程に、弱い。」

 ビリビリッ。

 言葉と共に、力任せに服を引き裂かれた。


「コレが魔王を名乗る(など)、あって良い筈がないっ。」

 押し殺すかのような声。

 ギリギリと胸部を走る熱に、爪で切り裂かれているのだと、他人事(ひとごと)のように思う。


 とりあえず、コイツは魔族だな。しかも、人族出身である俺を(こころよ)く思わない者。

 …まぁ、いるとは思ってた。こんな暴挙に出るとは、さすがに予想してなかったけど。


「人族と同じように、体液を流すこの身体…。果たして、何処まで耐えられるかな?」

 それまでの憤怒(ふんぬ)状態から、何故か快楽を見出(みいだ)したようだ。

 勿論、俺には悪い予感しかしない。

 体液を流す…ってとこ、個人的に気になったけど。

 今は自分の血の色より、コイツにオモチャにされて壊されそうで嫌だった。


 ってか、おいっ!俺の─魔王の危機に、何で誰も駆け付けないんだっ。…いや、待てよ。

 俺…今、激しくみっともないんじゃね?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ