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召喚魔王の俺  作者: まひる
プロローグ
4/248

プロローグ─4

「とにかく、何処かに()ろせ。」

 俺は必死に感情を抑え込む。

 下半身が湿っている奴にこれ以上、屈辱の姫抱きをされ続ける訳にもいかない。


「申し訳ございません。ただ今、魔王城以外に安全な場所は皆無にございます。」

 再び変態─ダミアンは、(うやうや)しく俺に頭を下げる。

 ってか、これに関しては本当に頑固だな。

 もしかして、本当に危ないのか?それとも○○詐欺(さぎ)のように、安心させて根刮(ねこそ)ぎふんだくるとか?


「まぁ、良い。そこでも良いから、さっさと連れていけ。」

「はっ、(かしこ)まりました。」

 俺の投げ()りな言葉に何も思わないのか、再度一礼をすると、ダミアンは真っ直ぐ何処かを目指して翼を動かした。


 何が狙いかは分からないが、今の俺には何もない。仮にこの命が目当てでも、どうせ一度死を覚悟…いや、二度死を覚悟した俺だ。

 なるようになれってんだ!


 お前も開き直ったのかって?いや、違う。これは、戦略的撤退だ。

 …ってか、これ以上この変態に、姫抱きされてたくないんだよぉ!

 これは俺の、心の叫びなんだっ。


「どうかなされましたか?」

 俺を姫抱きしたまま、平然と飛行する変態…ダミアン。

 コイツの特殊な(へき)を知らなければ、この見た目から、女から見ればかなりの良物件なんだろう。

 うん、あくまでも知らなければ、だ。


「いや…。そう言えば、ダミアンのその羽根、てん…鳥みたいに綺麗だな。」

「はぅ…っ。」

 心の内を誤魔化す為、ふと気になった事を告げたのだが。…いや、俺が悪いのか?

 これでも、天使と言いそうになるのを、とりあえずやめてみたんだぞ?クワガタ角が一対あって、天使もクソもないからな。


 けど、ダミアンは空中を飛びながら、意識が何処かにトンでいってしまった。

「お、おいっ。ダミアン?!」

 焦って声を掛けるも、なかなか戻ってこない。

 俺は姫抱き。ダミアンは身体をほぼ水平に倒した状態で、かなりの速度で飛行中だ。

 勿論、高度もかなりある。


 またかよ…。って、簡単に諦めると思ったら大間違いだっての!

 もう俺には怖いもんはないんだっ。いや、やっぱり死ぬのとか怖いけど。い、痛いのとかも嫌だし…。

 だ、だが、しかしっ!

 現状打破の行動だけは、しようと決めた。今、決めたっ。


 俺は、思い切りダミアンの両耳を横に引っ張った。

 もう、これ以上ない程に、だ。

「フニャッ!」

 効果覿面(てきめん)。変な声が聞こえたが、これは無視。

 正気(しょうき)を失っていたダミアンは、即座に我に返った。己の両手で、しっかりと痛覚を覚えた両耳を押さえたのである。


 そうだな。そうくるよな。

 ダミアンに通常ではない痛みを与える。我に返り、その部分を押さえる。抱き上げられている俺は、勿論落ちる。

 はい、さようなら、と。


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