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召喚魔王の俺  作者: まひる
第1章
39/248

4.魔王にサカらないで下さい─5

「俺、怖い?」

 疑問に思っていても解決しないので、ストレートに山羊顔に聞いてみる。

「ととととととんでもないですっ。たたたただその…魔王様のお力(ゆえ)、その…いい威圧感がありまして…。」

 左右に視線を迷わせながらも、山羊顔は必死に答えてくれた。

 威圧感…ね。つまりは、魔王独自の気配みたいなもんか?


「あ~…、悪い。俺、まだそのコントロールを知らないや。ってか、ダミアンとか普通だったしな。気付かんかった。」

 あまりの挙動不審ぶりに、こちらが申し訳なくなってくる。

 それに、俺と対した魔族はまだ、ごく少数なのが実情だ。


「ももももも申し訳ございませんっ。まままま魔王様を責めている訳ではないのですが、そそそその…わわわ我々獣人型は気配に敏感でしてっ。」

 (ふところ)からハンカチを出し、アセアセと額に当てる山羊─えっと名前は…。

 知ろうとして知識を検索するが、さすがに魔王とて、全魔族の名前を記憶している訳ではなさそうである。


「そっか。なら、尚更悪かったな。えっと…?」

「は…っ、申し訳ございませんっ。オレ…いや、ボクはアハボ・ハルヴァと申します。」

 ビシッと両腕を脇につけ、自称を直して名乗る山羊顔─アハボ。

 一生懸命だから、見ていて面白いな。


「アハボね、オーケー。アハボは、この蔵書庫の所管?」

「はははははいっ。」

「紙は食べないの?」

「え…?」

 真面目な顔して問い掛けると、物凄い緊張しながら返答をくれる。なので、少しからかってみた。

 すると、()で間抜け顔を(さら)してくれる。


「ああああのっ、たた食べないですよっ?よ羊皮紙は動物の皮なので、植物性ではないですから。」

 すぐに我に返り、訂正してきた。

 うん、真面目だな。

 それよりも、植物性かどうかが重要なのか。

「そっか、そりゃ良かった。ご飯になりそうな物が目の前にたくさんあると、気が散るだろうからさ。」

 クククッと笑いが(こぼ)れるが、本人にしてみれば死活問題だろう。

 魔族とはいえ、皆が遊んで暮らしている訳ではないのだ。


「まま魔王様は、そそそその、お茶目な方なのですね。ボクが気配で、か勝手に緊張しているだけなのに、それをフワリと(やわ)らげてくれたりするのですから。」

 ポッと顔を赤らめるアハボ。

 いや、毛色が白いから、分かったんだけどな?

「おぉ~、顔色が分かる。獣人魔族でも、変化が見えるんだ?」

 思わず顔を覗き込む。

 ダミアンは変態過ぎて比較対象にならないけど。インゴフは蛇顔過ぎて、判別不可能だったんだよな。


 人と違って、こういった多種族の感情表現を把握するのは難しいぜ。


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