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召喚魔王の俺  作者: まひる
第1章
38/248

4.魔王にサカらないで下さい─4


「あぁぁ…ぁ…。」

 不意に押し殺した様なダミアンの声が聞こえ、自嘲気味に(うつむ)いていた俺は顔を上げる。


 何故こうなった?

 俺は呆然(ぼうぜん)とダミアンを見てしまう。


 いや、待て。今のは明らかにおかしくはないか?何でコイツ、イってやがる?

 執務机に向かって立っているダミアン。それは先程立ち上がったからであって、問題ない。

 だが己の身体を両腕で抱き締め、恍惚(こうこつ)と在らぬ方を見て、全身を痙攣させているのは何故だ。


「ダミアン…?」

 様々な感情をおさえ、俺は静かにダミアンに声を掛ける。

「は…っ!申し訳ございません、魔王様っ。思わずイっ…。」

「うるさい。」

 我に返ったダミアンの言葉を途中で(さえぎ)り、俺は溜め息をつきながら額を押さえた。


「してないのか。」

「していますっ。ですが…。」

「黙れ。」

 俺の問いに即答したダミアン。

 そうか、アレだけでは完璧ではないのか。


「言い訳はいらない。で、原因は。俺がいるからではないだろ。」

 そもそも、随分前から俺はダミアンと二人でいた。

 今までは普通に─真面目に仕事をしていた筈。

「は…い…。あの…魔王様、の…お心の内を…聞きまして…、その…。」

「それだけでか?」

「は…い…。申し訳ございません、魔王様。」

 シュンと項垂れるダミアン。


 叱られる大型犬に見えなくもない。

 見えなくもないがっ。

「…着替えてこい。そして今日一日、俺に接近禁止。」

「あ…ぁぁぁ…、魔王様…。」

 可能な限り感情を抑え、言い捨てた。


 すがり付くようなダミアンの視線を無視し、椅子から立ち上がる。

 約束は約束だからな。ってか、大丈夫かよ、コイツ。

 内心の(あき)れは見せず、無表情を徹する。


 ともあれ、やる事がなくなってしまったな。

 空を見上げるが、まだ中天にも差し掛かっていない。

 自然と(こぼ)れそうになる溜め息を堪え、俺は蔵書庫─この魔王城の図書館みたいなものだ─に向かう。


 ◆ ◆ ◆


 そこはさすがというか魔王城なだけあって、置いてある本は紙ではない。尚且つ、内容も普通の本でもない。

「ま、魔王様っ。」

 扉を開けると、カウンターのような場所で座っていた所管の山羊顔獣人が慌てて立ち上がる。

 身体つきはほぼ人間なのに、頭部は完全に山羊の魔族。


「やぁ…。中を見させてもらうけど、問題ない?」

 とりあえず、愛想良く言ってみた。

 魔王知識で来てみたけど、大丈夫だったかな。

「はははははいっ。どどどどうぞっ。」

 もう、これ以上ないと思うほど、噛みまくりの山羊だ。

 何処かで聞いた事のある焦り方だな…と思ったけど、つい先程、ダミアンの執務室で会った熊耳のアルドだと気付く。


 そんなに俺、怖がられてるのか?


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