3.魔王の補佐は誰ですか─8
「で、俺等はこれからどうすんのぉ?クビぃ?」
怠惰な態度でフランツが問い掛けてくる。
そうしたいのはやまやまだっての。
「それは出来ないようだ。とりあえず、次期宰相候補としての器をみる事にする。ってか、今の宰相は?」
俺の意見を告げつつ、不意に疑問に思った。
そもそもの現宰相や魔将軍?は、どうしたんだよ。
「居りませぬ。前魔王様のお命と共に、闇と消えました。」
深々と頭を下げ、コンラートが答える。
ヤミと…消えた?
疑問に思った途端、魔王の知識が頭の中で再生された。
あぁ…、その為の連結?
自分の命可愛さもあって、魔王を絶対に守ると義務付けるもの。
「…お前等はそれで良いのかよ。」
思わず口に出た言葉だった。
魔王の右腕となるべく選ばれる、宰相と四魔将軍。だが核を魔王と結び付ける為、名実共に命を預ける事になる。
逆に言えば─宰相と四魔将軍は替えが利くが、魔王危機の場合は、その命と共に消えるのだ。
「んなの、今更だってのぉ。俺等は命と引き替えに、地位と名誉を手にするんだぜ~?勿論、相手が気に食わなかろうがなぁ。」
事も無げに答えたのはフランツ。
コイツが真っ先に拒否しそうだったが、まさかの肯定だった。
それほど、宰相と四魔将軍の立場には、利があるという事なのだろう。
ってか何気に、俺が気に入らないとハッキリ言いやがった。
「我々はどの立場になろうとも、魔王様に仕え、お守りする所存でございます。」
「私も同じく。」
「あたしが守る。」
「わっちも自分が可愛いけど、蒼真を一番にするわぁ?」
続けてダミアン、コンラート、アルフォシーナ、ミカエラが宣言した。
どうやらその覚悟がなかったのは、俺だけらしい。
魔王とは、つくづく不自由な存在だ。
「分かった。では一人ずつ暫く行動を共にして、見極めさせてもらう。宜しく頼む。」
俺は五人を見回し、そう告げる。
歴代の魔王達はそんな面倒な事をしていないが、俺としては適材適所を目指したい。
宰相ともなれば、本当に四六時中傍にいる事になる。変態はいらない。
俺だって、自分が一番可愛いからな。
「インゴフ。宰相の仕事は、今は誰がやってるんだ?」
俺は再びインゴフに問い掛けた。
「それは、半分程を、ヘイツ次期宰相候補が。そして残りは、我々魔法士が、行っております。」
事も無げに答える。
やはり、魔法士最強じゃね?
そう思った時、魔王知識が教えてくれた。
魔法士は現在10人しかいないが、その力は一人で国土の結界を維持する程。けどその分、物理的攻撃力は弱いらしい。
それ故、魔法士を守る為の魔法騎士がいるのだとか。
ってか、魔族に騎士って…似合わないよな。
まぁ、魔法士が重要な役割を担っている事は分かったけどさ。
それでも魔族に騎士…ない、ない。