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召喚魔王の俺  作者: まひる
第1章
28/248

3.魔王の補佐は誰ですか─4


「魔王様、お(はつ)にお目に掛かります。私はコンラート。次期宰相候補に名を連ねております、コンラート・ルティン・ケルナと申します。夜分遅く申し訳ございませぬが、入室の許可を下さいませぬか。」

 低い良い声で、茶髪筋肉のコンラートが、部屋の外に立っていた。


 いや、正しくは廊下であるが…何というか、壁をぶち壊したらダメだろ。

 俺は扉の横に大穴の開いた壁を見て、ガックリと肩を落としそうになった。

 そもそも、ここにも結界があった筈である。


「…うん、そうだな。コンラートは良いよ。何ていうか、意味がなさそうだから。」

「はっ。有り難き幸せ、痛み入ります。」

 (あき)れ果ててではあるが、項垂(うなだ)れながらも許可すると、至極丁寧な物腰で頭を下げるコンラート。

 顔の横にある大きな巻き角が、いっそう堅物感を出している。


 そして再び顔を上げると、真っ直ぐ俺に視線を向けながら、ゆっくりと部屋に入ってきた。

 デカいな、マジで。ダミアンより、頭一つ分はサイズアップだろ。

 俺は間近(まぢか)に立ち止まったコンラートの顔を見上げながらも、その50センチ以上の身長差に、もはや溜め息すら出なかった。


「この(たび)無事に認証の儀を()て、魔王様になられました事、おめでとうございます。」

「あ、あぁ…ありがとう?」

 大きな身体を折り、俺の前に片膝をついたコンラートから、堅苦しい言葉で祝われた…と思う。

 良く分からず、礼が疑問系になったがな。


「我々次期宰相候補は、魔王様にお祝いの言葉を述べると共に、ご尊顔を拝し…。」

「ちょっと待て。あのさ…堅苦しすぎて、言ってる事が良く分かんねぇの。もう少し崩して話してくれる?」

 コンラートの言葉を(さえぎ)り、俺は片手を額に当てながら告げる。

 本当に、頭の中で通訳が必要だっての。


「はっ…、では。魔王様へ初顔合わせと、ご挨拶に伺ったのでございます。この様なお時間に申し訳ございませぬ。」

「あ~…うん、分かった。時間が遅くなったのは、各々(それぞれ)が人族討伐に出てたからだって分かってるから、問題ないよ。…ってか、ダミアンっ。んなとこで泣いてんな!」

 少しだけ口調を(やわ)らげてくれたコンラートの話を聞いていたのだが、その背後で号泣しているダミアンが視界に入った。

 服の袖口を顔に当てているが、意味がない程の水分量である。

 感動?それとも嫉妬?

 本当にコイツの頭の中は、どうなってるんだよ。


「コンラート、卑怯だよ。一人だけ魔王様に挨拶するなんて、ズルいっ。でも、あたしが一番に挨拶するつもりだったなんて、お、思ってなかったんだからねっ。」

 甲高い声でアルフォシーナが(わめ)く。

 ん?ツンデレか?

「わっちだってぇ、一番に魔王様のお手付きになりたかったのにぃ。」

 ミカエラは艶っぽく言いながら、上目遣いだ。


 いやいや、お手付きって何だよ。そもそも、俺は誰にも何もしてないぞっ!?


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