表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚魔王の俺  作者: まひる
第4章
244/248

6.魔王と並び立つもの─8


 勿論彼女への話の内容とは、先程の会議の件だった。

「悪いな、リミドラ。とりあえず座ってくれ。」

 リミドラにソファーを勧めながら、深呼吸を繰り返して強制的に走る心音を落ち着けようとする。

「あの、隼人様は宜しかったのですか?僕、追い出してしまう形になってしまったのではありませんか?」

 耳を横に倒し、不安そうにリミドラが問い掛けてきた。

 俺の挙動不審な態度が、更に彼女を不安にさせているようである。


「いや、そうではないんだ。そもそも隼人の来訪の方が予定外だからな。」

「そう……なのですか?」

「あぁ。」

 (ようや)く少しだけ落ち着いた俺は、リミドラの向かいに腰を掛けて紅茶の用意を始めた。

 招いたのは俺だし、テーブルに準備してあるお茶を出すくらいは出来る。思い返せば初めの頃、それすらもリミドラに遠慮された。


「ところで話というのはだ。」

「……はい。」

 カップを差し出し、面と向かってリミドラと視線を合わせる。

 彼女の左側茶色右側白色の犬耳がピンとこちらを向いていた。鼻先が犬っぽい以外は(ほとん)ど人と変わらない見た目の、外見的には幼い少女である。

 それでも俺と正式に婚約をしてからというもの、日に日に少女としてではない──女としての魅力を開花してきていた。


「結婚しよう、リミドラ。」

「ワフッ?!」

 相対して実感した彼女への思いに、俺は気負う事なく告げる。

 リミドラの方は心の準備が整っていなかったらしく、毛を逆立てて動揺を(あら)わにしていた。

 ──まぁ、俺も謁見の間で似たような感じだったしな。

 先程の自分を思い返して苦笑いを浮かべつつも、俺はゆっくりと席を移動してリミドラの隣に腰掛ける。


「まぁ、戸惑うのも分かるけどな。」

 硬直している彼女の頭部をそっと撫でながら、リミドラの身体が拒絶反応をしていない事を確かめた。

 ──驚いてはいるものの、()れられる事が嫌ではないようだな。

「嫌か?」

 そう判断しつつも、俺は更に言葉で確認をとった。

 そもそも、ここで拒絶されては俺の心が折れる。

「ち、違いますっ。」

 再起動したリミドラは、首がもげそうな程の勢いで首を横に振った。

 一瞬、俺に頭を撫でられるのが嫌なのかと手を浮かせたが、それすら彼女から両手で頭部に押さえつけられる。


「あ、あのっ……違います、撫でられるのも気持……ち……良い……です……。」

 そしてフェードアウトしていく言葉だった。

 確かに、異性に『気持ち良い』とか──面と向かって言うのは恥ずかしいと、俺も顔が熱くなる。

「……で、返答をまだもらってないんだが?」

 俯いているリミドラはそんな俺に気付いていないようなので、口では平静(へいせい)を保って問い掛けた。

「し、します、結婚……っ。」

 そして弾かれたように顔を上げたリミドラと視線が合う。

 つまりは赤面しているだろう俺を見て、彼女の言葉が止まったようだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ